第1話「帰国便」脚本・カット表
縦型 9:16 / 約 125 秒 / 32 カット。香盤表(動画「第1話「帰国便」」)と同じ中身。
ログライン
記憶を失った 18 歳の青年が目を覚ますと、そこはホワイトハウスの前だった。手には、残高 100 億円の黒いスマホ。電話の向こうの AI は言う——「ご依頼は、残高の範囲で何なりと」。
読み方
- 「…」は画面の人物が口にするセリフ。ナギ(声)は画面に映らない声。『…』は画面の中に映る文字。
- テロップは仕上げで動画の上に載せる文字(生成には渡らない)。
- 着信画面・明細・タイトルは、文字を崩さないよう UI の静止画を先に作り、その 1 枚から動かす。
1. 目覚め
夜明け前の青い光と、パトカーの赤と青の回転灯。何が起きているのか分からない不安を、手持ちの揺れと浅いピントで見せる。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 01 目覚め |
3.0 |
湊の閉じていたまぶたがゆっくり開き、焦点の合わない瞳に赤と青の光が揺れて映る。 |
— |
湊 |
— |
| 02 ホワイトハウスの前 |
5.0 |
夜明け前、誰もいない歩道。黒い鉄柵の前にひとり立ち尽くす湊。右手に黒いスマホを握っている。湊の背後に白いホワイトハウスがそびえている。湊が小さくつぶやく「……どこだ、ここ」 |
— |
湊 |
ワシントン D.C. / 午前 5 時 42 分 |
| 03 名前が出てこない |
4.0 |
湊が自分の手のひらと黒いスマホを見下ろし、顔を上げて不安そうにあたりを見回す。呼吸が浅い。湊「俺……誰だ?」 |
— |
湊 |
朝倉 湊(18) / 記憶、なし。 |
| 04 包囲 |
4.0 |
パトカー2台がタイヤを鳴らして急停止し、制服の警官2人がドアを開けて銃を構えながら飛び出してくる。赤と青の回転灯。先頭のミラー巡査が叫ぶ「Freeze! Hands where I can see them!」 |
— |
ミラー巡査 |
「動くな! 両手を見せろ!」 |
| 05 逃げる |
3.0 |
湊が両手を半分上げかけて……次の瞬間、踵を返して全力で走り出す。 |
— |
湊 |
— |
2. 逃走
路地は冷たい青と、奥のナトリウム灯のオレンジ。濡れた路面に回転灯の赤と青が反射する。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 06 追跡 |
4.0 |
濡れた裏路地を全力で走る湊。水たまりを蹴って水しぶきが上がる。路地の入口に回転灯の赤と青の光。 |
— |
湊 |
— |
| 07 身を潜める |
4.0 |
大きな緑のゴミコンテナの陰にしゃがみ込み、口を手で押さえて息を殺す湊。懐中電灯の白い光が壁をなめて、湊のすぐ上を通り過ぎていく。 |
— |
湊 |
— |
| 08 ルームキー |
4.0 |
湊がパーカーのポケットから真鍮の鍵を取り出し、目の前にかざす。赤いプラスチックのタグに白い文字で『ROOM 09』と書いてある。湊がつぶやく「……09?」 |
— |
湊 |
— |
3. アジト
部屋は薄暗く、ブラインドの隙間から差す冷たい朝の光と、ほこりっぽい暖色の影。静かで息苦しい。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 09 09号室 |
4.0 |
古いドアが開いて湊が滑り込むように入ってくる。背中でドアを閉めてチェーンを掛け、ドアにもたれて荒い息をつく。 |
— |
湊 |
— |
| 10 黒いバッグ |
4.0 |
薄暗い部屋。ブラインドの隙間から細い光が差し込み、乱れたベッドの上に黒いダッフルバッグが置いてある。湊がゆっくりベッドに近づいていく。 |
— |
湊 |
— |
| 11 中身 |
4.0 |
湊の手がベッドの上の黒いダッフルバッグのジッパーを開ける。中から黒い拳銃、帯のついた札束、パスポートの束がのぞく。 |
— |
湊 |
— |
| 12 拳銃 |
4.0 |
湊が拳銃をおそるおそる持ち上げ、その重さに固まる。拳銃を持つ手が小刻みに震えている。 |
— |
湊 |
— |
| 13 6冊のパスポート |
4.0 |
湊の手が、ベッドの上にパスポートを1冊ずつ開いて並べていく。どのパスポートの顔写真も湊の顔。表紙の色も国もバラバラ。 |
— |
湊 |
6 冊のパスポート。 / 名前は、全部ちがう。 |
| 14 疑い |
5.0 |
ブラインドの影が縞になって湊の顔に落ちる。目に涙がにじみ、震える声で湊「俺……何やったんだよ。まさか、悪いやつだったのか……?」 |
— |
湊 |
— |
4. 着信
スマホの画面の光が湊の顔を下から照らす。ナギの声は電話越しに聞こえる、落ち着いた若い女性の声(少しこもった通話の音質)。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 15 着信 |
3.0 |
ベッドの上に置かれた、細い金の縁取りのマットブラックのスマホが震え、画面がぱっと明るく点く。 |
— |
— |
— |
| 16 着信画面 |
3.0 |
スマホの着信画面。画面はそのまま、NAGI の名前の上の金色の波形だけがゆっくり脈打つ。(UI 静止画から) |
— |
— |
— |
| 17 ナギ |
4.0 |
湊がおそるおそるスマホを耳に当てる。画面の光が湊の顔を照らす。 |
おはようございます、No.09。コンシェルジュのナギです。 |
湊 |
ナギ / 残高の範囲で、何でも叶える AI |
| 18 何でも? |
4.0 |
スマホを耳に当てたまま、湊が疑うように小声で聞く「……何でも、してくれるのか?」 |
— |
湊 |
— |
| 19 残高の範囲で |
4.0 |
スマホを耳に当てた湊が、息をのんで目を見開く。 |
残高の範囲でしたら、何なりと。 |
湊 |
— |
| 20 帰してくれ |
4.0 |
湊が意を決して顔を上げ、スマホに向かってはっきり言う「じゃあ今すぐ……俺を、日本に帰してくれ」 |
— |
湊 |
— |
| 21 承知しました |
3.0 |
スマホを耳に当てたまま固まる湊。通話が切れて静まり返り、窓ガラスが細かく震え始める。 |
承知しました。 |
湊 |
— |
5. 帰国便
ここから一気にスケールが上がる。轟音、サーチライト、朝焼け。ハリウッドのアクション映画の画作り。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 22 光 |
4.0 |
ブラインドの外が真っ白に光り、部屋じゅうが揺れる。湊が窓に駆け寄り、指でブラインドの羽を押し下げて外をのぞく。 |
— |
湊 |
— |
| 23 包囲網 |
4.0 |
古いモーテルの駐車場を軍用トラックと装甲車が埋め尽くし、武装した米兵がずらりと並んでいる。上空では軍用ヘリが3機ホバリングし、サーチライトでモーテルを照らしている。夜明けの青い空。 |
— |
— |
依頼から、4 分。 |
| 24 お迎え |
5.0 |
部屋のドアが開き、完全装備の米兵4人が入ってきて湊の前に整列し、揃って敬礼する。先頭の兵士がはっきり言う「Sir. Your ride to Japan is ready.」湊はぽかんと口を開けて固まっている。 |
— |
湊 |
「日本行きの便のご用意ができております」 |
| 25 青ざめる警官 |
4.0 |
モーテルの駐車場。米兵に両脇を守られて歩いていく湊を、パトカーの横に立つミラー巡査が見つける。ミラー巡査は口を開けたまま青ざめ、慌てて制帽を取り、ぎこちなく敬礼する。 |
— |
ミラー巡査・湊 |
(……何者なんだ、あいつは) |
| 26 滑走路 |
4.0 |
朝焼けの空軍基地。キャノピーの開いた複座の戦闘機の横で、両脇を米兵に固められた湊が、パイロット用のヘルメットを手渡される。 |
— |
湊 |
— |
| 27 後席 |
4.0 |
戦闘機の後席に座らされ、パイロット用のヘルメットをかぶった湊(バイザーは上げていて顔が見える)。頭上でキャノピーがゆっくり閉まっていく。湊があわてて「ちょ、ちょっと待っ——」 |
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湊 |
— |
| 28 離陸 |
4.0 |
灰色の戦闘機がアフターバーナーのオレンジの炎を噴いて滑走路を走り、機首を上げて急上昇していく。 |
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— |
| 29 東へ |
4.0 |
雲海の上、朝日を浴びながら灰色の複座の戦闘機が東へ飛んでいく。 |
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行き先:日本 |
6. 明細
オチ。100 億の残高から、帰国便の代金として 1 億が引かれる。
| カット |
尺 |
画とセリフ |
ナギ(声) |
出演 |
テロップ |
| 30 明細 |
4.0 |
スマホのご利用明細の画面。画面はそのまま、残高の金色の数字だけがかすかに光る。(UI 静止画から) |
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| 31 一億? |
4.0 |
戦闘機の後席。バイザーを上げた湊がスマホの画面を見つめ、あっけにとられて小さくつぶやく「……一億?」キャノピーの外には雲海と朝日。 |
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湊 |
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| 32 タイトル |
3.0 |
黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) |
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次回 第 2 話「羽田」 |
次話への引き
羽田の滑走路に米軍の戦闘機が降りる。規制線を越えて走ってきた凛が、タラップを降りた湊を平手打ち。「3 か月、どこにいたの!」——その鞄の中で、黒いスマホが光る。