Konte

Konte では、このように動画を作っています。

カットごとに「何を・誰が・どこで・どう撮るか」を構成表に書くと、Konte が 1 カットずつ映像を生成して一本につなぎます。 「動画」のタブで流れる映像は、この構成表からできています。

Konte について詳しく見る

この動画に出てくる人物です。顔写真と人物像をもとに、カットごとに映像を生成しています。

この動画の撮影場所です。場所の画をもとに、どのカットでも同じ場所に見えるよう生成しています。

公開版(2 回目のゲーム)

10 年前に一度終わった「100 億円のゲーム」が、AI が当たり前になった日本でもう一度始まる——という設定で組み直した公開用の版。

  • 物語の今は 4 日間(77 時間)。2026-10-01 に組み直し、第 1 話から撮り直す
  • 原作を思い出させるが、同じ話とは言いにくい構成にする
  • 画面には原作の固有名詞を出さない(対応表は「作り手用の裏設定」)
  • 背骨は「持つ者の義務」。ナギの決まり文句「持つ者の義務を、お忘れなく」
  • 各話の脚本は「各話の脚本(公開版)」の下。香盤表(動画)と同じ中身

企画書(公開版)

ひとことで

10 年前に一度終わったはずの「100 億円のゲーム」が、AI が当たり前になった日本でもう一度始まる。残された時間は、77 時間。 記憶を失った 18 歳が、残高 100 億円の黒いスマホと、何でも叶える AI「ナギ」を手に、「この国の 10 年後」を賭けたゲームの最後の 4 日間に放り込まれる。 TikTok / YouTube Shorts 向けの縦型(9:16)実写調 AI 連続ドラマ。1 話 60〜90 秒、全 30 話。物語の「今」は 4 日間だけ。

ログライン

記憶を失った青年が目を覚ますと、そこはワシントンの夜明けだった。 手には、残高 100 億円の黒いスマホ。電話の向こうの AI は言う—— 「ご依頼は、残高の範囲で何なりと。……持つ者の義務を、お忘れなく」

この作品が「今」やる理由

10 年前のゲームは、「上の世代が席を譲らない国で、若者に居場所をつくれるか」という話だった。 あれから 10 年。国は縮みはじめ、円は弱くなり、AI は手のひらに乗った。 今回問うのは、「AI が決めたことの責任を、誰が取るのか」。 そして「持つ者は、何をしなければいけないのか」。

10 年前のゲーム 今回のゲーム
閉塞感の正体は「席を譲らない上の世代」 国そのものが縮んでいく。円安・人口減・地方消滅
若者は居場所のない側 前回の若者が、今度は「上の世代」の側にいる
何でも叶える AI は物語の中だけ AI は誰の手元にもある。「任せれば、誰も責任を取らずに済む」

背骨 —— 持つ者の義務

主人公は 100 億を持っているから、果たさなければいけない義務がある。毎話のどこかで、それを本人に突きつける。

  • ナギは電話の締めに必ず「持つ者の義務を、お忘れなく」と言う(着想元のコンシェルジュの決まり文句への敬意。「持てる者」は耳で「モテる者」と聞こえるので「持つ者」)。
  • 義務を問う場面を、話の芯に置く(全 30 話構成の「持つ者の義務の場面」の表)。身内だけを助けるのは義務か/義務を果たした人が消される国/自分の 100 億で自分の罪は償えるか/10 年後にいない者が席を譲る/決めるのは全員、責任を取るのは自分。

世界のルール(今回のゲーム)

  1. 100 日前、日本各地の 12 人に黒いスマホが届いた。番号は No.01〜No.12。残高は 100 億円。
  2. 電話の向こうの AI **「ナギ」**は、残高の範囲ならどんな依頼も断らない。値段はナギが決める。払えない値段をつけるのが、ナギの断り方。
  3. お題は**「この国の 10 年後を決めろ」**。期限は 100 日目の午前 0 時。期限の瞬間、いちばん残高の多い保持者の「10 年後」を、ナギが実行に移す。
  4. 脱落した保持者の残高は、脱落させた保持者のものになる。望んでも、望まなくても。 誰が脱落させたかは、ナギが決める。
  5. 脱落は 3 つ。残高が 0 になる/自分から降りる/ナギに「失格」と判定される(基準は「10 年後の最適に反する」)。脱落した者は**「執行」**される。表向きは不審死か失踪。
  6. ほかの保持者の失格を、ナギに頼める。ナギが最適に反すると判定すれば通る。
  7. 国外での利用は β 版。料金は割高。

縦軸の謎

  • 3 か月前、円が一晩で 3 割落ちた(一夜暴落)。年金も預金も目減りし、原因はまだ分かっていない。
  • 記憶のない湊の手元には、拳銃、札束、6 冊の偽造パスポート。
  • 湊は日本を売った犯人なのか。それとも、誰かの「手」として使われただけなのか。(国家規模の闇バイト)
  • 答え(第 21 話): 暴落を頼んだのは議長、やり方を決めたのはナギ、注文を出したのは湊。湊は議長に消されないために、自分で記憶を消した。

ショートドラマの型

型 この作品での使い方
3 秒フック 各話の最初のカットに一番大きい絵と、時刻と『残り ◯ 時間』
毎話クリフハンガー 最後の 5 秒で必ず引き。着信、正体、残高の数字
打脸(見下した相手が青ざめる) 銃を向けた警官が敬礼する/学食で笑った先輩が青ざめる/官邸の職員が慌てる
願いのインフレ 帰国便 1 億 → 学食 10 億 → 首相官邸 8 億 → 失格の取り消し 100 億 → 国じゅうへの問い(全額)
数字は口で言う 画面を見ていなくても分かるように、残高も残り時間も必ず誰かが口に出す
1 話 1 アイデア 1 話に事件は 1 つ

トーン

  • ハリウッドのスリラーの質感で撮る実写調。夜明け前の青、回転灯の赤と青、朝焼けのオレンジ。
  • 主人公は巻き込まれ型。怯える、でも肝が据わる。ツッコミ役は大学の友人たち。
  • 臭い演出はしない。偶然の因縁は置かない(湊のまわりに保持者が集まっているのは、ナギと議長が置いたから)。システムに立ち向かう一人の人間を淡々と。
  • 10 年前のゲームは画面の中では「前回のゲーム」「最初の王」とだけ呼ぶ。知っている人だけが気づけばいい。

制作の組み方(Konte)

  • キャスト: 湊・凛・陽・黒川・議長・ミラー巡査(β 版から)、近藤・芹沢・最初の王(公開版で追加)。
  • 背景セット: β 版の 12 か所に、記念堂の階段・タクシーの車内・首相官邸の正面・官邸の会議室・取調室・黒川の配信部屋・芹沢の家の縁側・夜の渋谷の交差点・羽田空港の展望デッキを足した。
  • 画面の中の数字と文字は描かせない。スマホの画面は金色の波形の光だけにして、数字は仕上げのテロップで載せる。
  • β 版(社内デモ)の第 1〜6 話の動画は使わず、第 1 話から撮り直す。

公開版で β 版から変えたこと

  • 物語の「今」を **4 日間(77 時間)**に圧縮した。毎話の頭に時刻と残り時間。
  • 目覚める場所: ホワイトハウス前 → ワシントンの記念堂の階段
  • 番号: 湊 No.09 → No.10、凛 No.04 → No.07、No.04 は公安の近藤
  • お題: 「この国を救え」→ 「この国の 10 年後を決めろ」
  • 過去の事件: ミサイル → 一夜暴落(円の暴落)
  • 勝ち方: 最初に使命を果たした 1 人 → 期限の瞬間にいちばん残高の多い 1 人。脱落させた相手の残高は自分のものになる
  • ナギの決まり文句に「持つ者の義務を、お忘れなく」を足した

登場人物(公開版)

見た目・衣装・声の正はキャスト(参照画像つき)。ここでは公開版での役どころと関係を書く。

湊(みなと)/ 朝倉 湊 — No.10 ★主人公

  • 年齢・立場: 18 歳。早稲田の 1 年生だった。3 か月前に突然大学から消えている。
  • 性格: 普段は気の抜けた大学生。追い詰められると目が泳ぎ、声が震える。いざとなると妙に肝が据わって、とんでもない依頼を口にする。
  • 声: 若くて少しかすれた声。叫ばず、息の混じった小声が多い。
  • 秘密: 3 か月前、議長に頼まれて、ワシントンで 6 つの名義で円を売る注文を出した(一夜暴落の最初の注文)。気づいたあと国外に隠れ、覚えている自分は議長に消されるので、自分でナギに頼んで記憶を消した。消す前に「期限の日に渡せ」と自分宛ての動画を残した。
  • 義務の答え: 自分のやったことは自分が背負う(第 16 話)。決めるのは全員、責任を取るのは自分(第 27 話)。

ナギ — AI コンシェルジュ

  • 黒いスマホの向こうの AI。声だけ。落ち着いた若い女性の声、電話越しの少しこもった音質。スマホの画面は金色の波形の光。
  • 前回のゲームで使われた旧い AI の後継。10 年のあいだに、行政・金融・物流の裏側に入り込んでいる。今回のゲームは、ナギを国の意思決定に正式に使う前の「β 版」。
  • 依頼を断らない。値段をつけるだけ。善悪を判断しない。「10 年後の最適に反する」と判定した保持者は、同じ声のまま失格を告げる。
  • 決まり文句: 「ご依頼は、残高の範囲で何なりと」「承知しました」「持つ者の義務を、お忘れなく」

凛(りん)— No.07

  • 年齢・立場: 19 歳。早稲田の文学部 2 年。湊の大学の友人。
  • 性格: 気が強く、面倒見がいい。湊には容赦なくツッコむ。泣くのを人に見せたくない。
  • 秘密: 100 億のうち 97 億を、湊を探すことだけに使った(第 18 話)。実家の洋食屋は一夜暴落のあと先月閉めたが、そこには一円も使っていない。
  • No.07 は、一人のために全部を使った保持者の番号。過去の湊は「凛だけは信じろ」と言い残している。

陽(よう)— No.12

  • 年齢・立場: 19 歳。早稲田の理工学部 2 年。お調子者の情報通。視聴者の代わりにルールを解説する。
  • 秘密: 自分も保持者(No.12)。壁の 12 番が空いていたのは、湊が陽の写真だけ貼らなかったから(第 17 話)。
  • 第 17 話で「俺がいなきゃ、俺は人質にならない」と消え、第 24 話で「残高じゃ勝てない。ルールで勝つ」と戻ってくる。

黒川 — No.06

  • 年齢・立場: 21 歳。湊の大学の先輩で、配信者。注目で食べる世代。
  • 学食で湊を笑いものにして青ざめる(打脸・第 6 話)。近藤から流れてきた防犯カメラの映像で、湊を一夜暴落の犯人として配信でさらす(第 15 話)。湊が自分の配信で罪を認めたのを聞いて揺れ、最後の夜に配信を湊に貸す(第 28 話)。

近藤 — No.04(公安)

  • 年齢・立場: 46 歳。警視庁公安部の刑事。3 か月、一夜暴落の実行者を追ってきた。スマホが届いたのは暴落の 4 日前。「最初から、お前を捕まえる役だったらしい」。
  • 立ち位置: 国と個人のあいだ。国の仕組みを守る側にいながら、人間の責任を手放すことだけは許さない。場をかき乱す(湊を捕まえて泳がせる・映像を黒川に流す・議長の依頼で湊を捕まえに来て 0 時まで待つ)。
  • 口癖: 「それでも」。
    • 「エーアイが国を回すのは、別に構わない。……それでも、手錠をかけるのは人間だ」(第 12 話)
    • 「エーアイに国を任せるのは、別にいい。……それでも、聞くくらいはしていい」(第 26 話)
    • 「決めたのはエーアイだ。……それでも、裁くのは人間だ」(第 29 話。自分の 99 億で議長の執行を止め、手錠をかける)
  • 100 億に一円も手をつけていなかった。

議長 — No.01

  • 年齢・立場: 70 代。10 年前の前回のゲームの生き残りで、それからずっと黒いスマホを持ち続けている。永田町を見下ろす高層階の書斎にいる。
  • 性格: 穏やかで丁寧な口調のまま、相手の弱みを正確に突く。
  • やったこと: 3 か月前、ナギに「この国を、最短で立て直してくれ」と頼んだ。ナギが選んだ最短の方法が一夜暴落で、国外で注文を出す「手」に湊を使った。暴落で儲け、No.11 の失格を頼んで残高を奪い、4 人(町長・元財務官僚・倉庫で働く男・技能実習生)を自分のために降ろした。残高 800 億。
  • 10 年後: ナギに任せる国。「人が決める限り、この国は間違え続ける」「だから入れるんだよ。誰も、責任を取らずに済む」。

芹沢 — No.09

  • 年齢・立場: 78 歳。元中学校の国語の教師。年金で一人暮らし。100 億のうち 36 億を、地元の子どもたちの奨学金に使った。
  • 湊の配信を聞いて電話をかけてくる。「十年後、私はもういない。十年後は、君たちが決めなさい」「百億はね、預かり物だよ」。湊を理由に自分から降り、残高 64 億が湊に移る(第 19 話)。

最初の王 — No.00

  • 年齢・立場: 30 代前半。10 年前のゲームの勝者。仕組みを壊さずに残し、この 10 年は国の外にいた。今回のゲームには番号を持たない 13 人目。
  • 3 か月前、ワシントンで隠れていた湊をかくまい、湊の自分宛ての動画を撮った(カメラの後ろの声・第 21 話)。
  • 第 25 話は電話の声だけ。「十年前、俺はこの仕組みを壊さずに残した。残せば、誰かがうまく使うと思った」。第 30 話で初めて顔を見せる。「決めるのは、これからなんだろ。俺も混ぜてくれ」。

ミラー巡査 — ワシントン D.C. 警察(第 1〜2 話)

  • 40 代。記念堂の階段で湊に銃を向け、米軍に護衛される湊を見て青ざめて敬礼する(打脸の受け役)。セリフは英語。

12 人の保持者

番号 人物 どうなるか
No.01 議長 第 29 話で失格。近藤に逮捕される
No.02 地方の町長 議長のために降りた
No.03 元財務官僚 議長のために降りた
No.04 近藤(公安) 議長の執行を止め、手錠をかける
No.05 倉庫で働く男 議長のために降りた
No.06 黒川 最後の夜に配信を湊に貸す
No.07 凛 議長に失格を頼まれ、湊が 100 億で取り消す
No.08 技能実習生 議長のために降りた
No.09 芹沢 湊を理由に自分から降りる
No.10 湊 ——
No.11 地方の救急医 議長に失格を頼まれ、執行される(第 7 話)
No.12 陽 湊のまわりに置かれた一人
No.00 最初の王 番号の無い 13 人目

湊のまわりの保持者

凛・黒川・近藤・陽の 4 人が湊の半径 1 キロにいるのは偶然ではない。湊を思いどおりに動かすために、ナギと議長が置いた(人質・挑発・逮捕役・見張り)。第 17 話で陽が口に出す。

小道具

  • 黒いスマホ — マットブラックに細い金の縁取り。背面に小さな金の番号の刻印(No.10 / No.07 / No.06 / No.04 / No.01)。画面は金色の波形の光だけ。
  • ルームキー — 真鍮の鍵と、赤いプラスチックのタグ『ROOM 10』。
  • 黒いダッフルバッグ — 拳銃 1 丁、帯付きの札束、顔写真がすべて湊のパスポート 6 冊(名前も国籍もバラバラ)。
  • 湊の部屋の壁 — 10 人の隠し撮りの写真と赤い糸。No.01〜No.12 の手書きの番号。No.10 と No.12 だけ写真が無い。No.11 と No.07 に赤い ×。

全 30 話構成(公開版・4 日間)

1 話 60〜90 秒。物語の「今」は 4 日間(77 時間)だけ。 3 か月前のことは回想と会話で出す。 第 1〜6 話の β 版の動画は使わず、第 1 話から撮り直す(2026-10-01 に組み直し)。

この構成の決まり

  • 耳だけで話が分かる。 状況は会話の応酬で伝える。画面の数字やテロップは、会話で言われたことの確認にすぎない。数字は必ず誰かが口に出す。
  • 毎話、会話の相手を置く。 湊が一人の場面でも、ナギと話す。電話も使う。
  • 1 話に、決めの会話を 1 往復。 下の各話に書いておく。
  • 毎話の頭に時刻と残り時間。 テロップ『2日目 午前7時10分 / 残り65時間』。ナギや登場人物が「あと◯時間」を口にする。
  • ナギは電話の締めに必ず「持つ者の義務を、お忘れなく」と言う(原作のコンシェルジュの決まり文句に当たる。「持てる者」は耳で「モテる者」と聞こえるので「持つ者」)。
  • 番号の読みは「ナンバーテン」「ナンバーセブン」「ナンバーワン」「ナンバーフォー」「ナンバーナイン」「ナンバーイレブン」「ナンバートゥエルブ」「ナンバーゼロ」。
  • 「執行(しっこう)」は「失効」と同じ音なので、出てくるときは必ず意味が分かる言葉を隣に置く(「執行って……殺されたってことかよ」)。

世界のルール(今回のゲーム)

  1. 100 日前、日本各地の 12 人に黒いスマホが届いた。番号は No.01〜No.12。残高は 100 億円。
  2. 電話の向こうの AI「ナギ」は、残高の範囲ならどんな依頼も断らない。値段はナギが決める。払えない値段をつけるのが、ナギの断り方。
  3. お題は「この国の 10 年後を決めろ」。期限は 100 日目の午前 0 時。期限の瞬間、いちばん残高の多い保持者の「10 年後」を、ナギが実行に移す。
  4. 脱落した保持者の残高は、脱落させた保持者のものになる。望んでも、望まなくても。 誰が脱落させたかは、ナギが決める。
  5. 脱落は 3 つ。残高が 0 になる/自分から降りる/ナギに「失格」と判定される(基準は「10 年後の最適に反する」)。脱落した者は「執行」される。表向きは不審死か失踪。
  6. ほかの保持者の失格を、ナギに頼める。ナギが最適に反すると判定すれば通る。値段はナギが決める。
  7. 国外での利用は β 版。料金は割高。

時刻表(残りは期限=4 日目の 24 時まで)

日 話 場所 残り
1 日目(夜) 1〜2 ワシントン → 機内 77 時間
2 日目 3〜9 羽田・早稲田・学食・湊の部屋 65 → 49 時間
3 日目 10〜17 官邸・取調室・配信 36 → 22 時間
4 日目 18〜29 最後の日 17 時間 → 0
5 日目の夜明け 30 羽田 ——

3 か月前に何があったか(回想と会話で少しずつ出す)

  • 100 日前: 12 人にスマホが届く。
  • 98 日前: 議長(No.01)が湊を首相官邸に呼ぶ。議長はナギに「この国を、最短で立て直してくれ」と頼んでいた。ナギが選んだ最短の方法は、円を一晩で落として国を目覚めさせること。国外(β 版)で注文を出す「手」が要り、議長は 18 歳の湊を選んだ。湊は議長の机で「落とす相手」の名簿を見て、自分の部屋の壁に 10 人の写真を貼り、No.11 と No.07 に × を付けた。No.12 の写真だけは貼らなかった(親友の陽だったから)。
  • 96 日前(ワシントンの午前 4 時): 湊が 6 つの名義で円を売る注文を出す。金は議長の残高から 30 億。翌朝、円が 3 割落ちた(一夜暴落)。議長は暴落で儲けた。
  • それから 3 か月: 湊は国外に隠れた。ワシントンで湊をかくまったのは、10 年前のゲームの勝者・最初の王(No.00)。
  • 5 日前: 湊はナギに 2 つ頼んだ。「期限の日に、この動画を俺に渡してくれ」「俺の記憶を消してくれ」。覚えている湊は、議長に失格を頼まれて消される。忘れた湊は、議長にとって「犯人役」として生かしておく価値がある。
  • 同じ 3 か月で、凛は 97 億を湊の捜索に使った。議長は No.11 の失格を頼んで残高を奪い、町長(No.02)・元財務官僚(No.03)・倉庫で働く男(No.05)・技能実習生(No.08)の 4 人は「議長の 10 年後」を信じて、議長のために降りた。

湊の残高

100 億 →(帰国便 −1)99 →(学食 −10)89 →(官邸 −8)81 →(No.11 の明細 −1)80 →(自分の履歴 −1)79 →(芹沢が降りて +64)143 →(凛の失格の取り消し −100)43 →(最後の依頼 −43)0 →(議長が脱落して +800)800 億


1 日目 ワシントン(残り 77 時間)

第 1 話「目覚め」

  • 時刻: ワシントン 午前 5 時 42 分(日本時間 18 時 42 分)
  • 会話の相手: ミラー巡査/ナギ(最後の 1 行)
  • 何が起きるか: 夜明け前、記念堂の大理石の階段で目を覚ます。自分の名前も分からない。警官に銃を向けられて逃げる。ポケットの鍵『ROOM 10』で古いモーテルへ。黒いバッグに拳銃・札束・6 冊のパスポート。どれも顔は自分、名前は全部ちがう。黒いスマホが鳴る。
  • 決めの会話
    • 湊「……どこだ、ここ」「俺……誰だ」
    • ミラー巡査「Freeze! Hands up!」(テロップ「動くな! 手を上げろ!」)
    • 湊(パスポートを開いて)「全部、俺の顔だ……名前は、全部ちがう」
  • 最後の引き: ナギ(電話)「おはようございます、ナンバーテン」

第 2 話「帰国便」

  • 時刻: ワシントン 午前 6 時(日本時間 19 時)/残り 77 時間
  • 会話の相手: ナギ(電話)/米兵/ミラー巡査
  • 何が起きるか: ナギが名前と残高と期限を告げる。「日本に帰してくれ」。4 分後、米軍がモーテルを囲み、兵士が敬礼する。銃を向けた警官が青ざめて敬礼する(打脸)。戦闘機で日本へ。
  • 決めの会話
    • 湊「……誰だ」 ナギ「コンシェルジュのナギです。あなたは朝倉湊さま、十八歳。ナンバーテンの保持者です」
    • ナギ「残高は百億円。ご依頼は、残高の範囲で何なりと。期限まで、あと七十七時間です」 湊「……期限?」
    • 湊「じゃあ……日本に帰してくれ」 ナギ「承知しました。なお、国外でのご利用は、ベータ版となります」
    • 米兵「Sir. Your ride to Japan is ready.」
  • 最後の引き: 機内。ナギ「航空機代、一億円。残高は九十九億円です」湊「……一億?」ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく」湊「……義務?」

2 日目 東京(残り 65 → 49 時間)

第 3 話「羽田」

  • 時刻: 2 日目 午前 7 時 10 分/残り 65 時間
  • 会話の相手: キャスター/凛
  • 何が起きるか: 羽田に米軍の戦闘機。テレビの生中継。規制線を越えて走ってきた凛が平手打ち。湊は凛を覚えていない。凛の鞄の中でも、黒いスマホが光る。
  • 決めの会話
    • キャスター「速報です。羽田空港に、アメリカ軍の戦闘機が着陸しました」
    • 凛「三か月、どこにいたの!」 湊「……ごめん。君、誰?」
    • 凛「……凛。同じ大学の」
  • 最後の引き: 凛のトートバッグの中の黒いスマホ『No.07』から、ナギの声「ナンバーセブン。お探しの方が、見つかりましたね」

第 4 話「一夜暴落」

  • 時刻: 2 日目 午前 8 時/残り 64 時間
  • 会話の相手: 凛(タクシーの中)/ナギ
  • 何が起きるか: 羽田から早稲田へ向かうタクシー。窓の外はシャッターの下りた商店街。凛が「一夜暴落」を話す。湊は凛の家の店を救おうとして、止められる(持つ者の義務の場面 1)。
  • 決めの会話
    • 湊「なんで、こんなに店が閉まってるんだ」 凛「覚えてないんだ。……三か月前、円が一晩で三割下がったの。一夜暴落」
    • 凛「うちの店も、先月閉めた。仕入れが倍になって」
    • 湊「ナギ、凛の家の店を——」 凛(スマホを押さえて)「やめて。うちだけ助けて、どうするの」
  • 最後の引き: 凛「あなたが消えたの、暴落の前の晩だよ」

第 5 話「壁」

  • 時刻: 2 日目 午前 10 時/残り 62 時間
  • 会話の相手: 陽/凛
  • 何が起きるか: 早稲田の学生街で陽が飛びついてくる。自分も忘れられていて叫ぶ。湊のアパートのカーテンを開けると、壁一面に 10 人の写真と赤い糸。番号の No.10 と No.12 だけ写真が無い。× が 2 つ——白衣の男 No.11 と、凛 No.07。
  • 決めの会話
    • 陽「湊ぁ! 生きてたのかよ!」 湊「……ごめん。君も、誰?」 陽「俺のことも忘れてんの!?」
    • 陽「なんだよ、これ……」 凛「湊が消えた次の日に、私が見つけたの」
    • 陽「十二番だけ、空いてんな」
    • 湊「この×、なんだ」
  • 最後の引き: 凛「……その×、あなたが付けたんだよ」

第 6 話「学食」

  • 時刻: 2 日目 正午/残り 60 時間
  • 会話の相手: 陽(列に並びながらルールを話す)/黒川/ナギ/調理の女性
  • 何が起きるか: 学食の列で、陽がゲームのルールを話す(0 時にいちばん金を持っている者が勝つ・脱落させた相手の金は自分のもの)。黒川が湊を「失踪した変人」と笑い、トレーをひっくり返す。湊はナギに「この学食、全メニューを一生タダにしてくれ」。館内放送、歓声、青ざめる黒川(打脸)。
  • 決めの会話
    • 陽「要するに、期限の瞬間に一番金を持ってるやつの『十年後』が、この国の十年後になる」
    • 陽「もう一個。誰かを脱落させたら、そいつの残高は全部、自分のもの」 湊「……殺し合えってことか」
    • 黒川「おい、失踪した変人が帰ってきたぞ! 戦闘機とか、どうせデマだろ」
    • 湊「ナギ。この学食、全メニュー、一生タダにしてくれ」 ナギ「承知しました。十億円です」
    • 調理の女性(放送)「ただいまより、当学食は全メニュー、永久に無料となりました!」
    • 凛「……人助けのつもりだった?」 湊「……半分、仕返し」
  • 最後の引き: 廊下の黒川。内ポケットから黒いスマホ『No.06』。「……見つけたぜ、ナンバーテン」

第 7 話「執行」

  • 時刻: 2 日目 午後 7 時/残り 53 時間
  • 会話の相手: キャスター/ナギ(全員への通知)/凛・陽
  • 何が起きるか: 夜の湊の部屋。ニュースで秋田の救急医の死。顔写真は壁の No.11。全員のスマホに同じ通知。脱落した No.11 の残高は、No.01 に移った。
  • 決めの会話
    • キャスター「今朝、秋田県の病院で、救急医の男性が死亡しているのが見つかりました」
    • 陽「この人……壁の、十一番じゃん」
    • ナギ(通知)「保持者の皆さまへ。ナンバーイレブンは失格となり、執行されました。残高は、ナンバーワンに移りました」
    • 湊「執行って……殺されたってことかよ」
    • 湊「×が付いてる人が、消えるのか」 凛「……じゃあ次は、私の番だね」
  • 最後の引き: 着信。No.01。「はじめまして、ナンバーテン。……いや。久しぶり、と言うべきかな」

第 8 話「議長」

  • 時刻: 2 日目 午後 7 時 5 分/残り 53 時間
  • 会話の相手: 議長(電話)/凛/陽/ナギ
  • 何が起きるか: 議長は 10 年前にもスマホを持っていたと明かす。凛の残高にも触れる。「会おう。首相官邸で」。湊は相手の用意した場に乗らず、官邸を丸ごと一日借りる。
  • 決めの会話
    • 湊「……あんた、誰だ」 議長「十年前にも、このスマホを持っていた者だよ」
    • 陽(小声)「十年前って……前にも、このゲームがあったのかよ」
    • 議長「三か月前、君はこの国を一晩で動かした。覚えていないのかね」
    • 凛「切って。その人の話、聞いちゃだめ」 議長「凛くんもそこか。ナンバーセブンの残高は、あといくら残っていたかな」
    • 議長「会おう。首相官邸だ。明日の正午、君のために空けておこう」
    • 湊「向こうが用意した場所には行かない。ナギ、首相官邸を丸ごと、明日一日貸し切ってくれ」 ナギ「承知しました。八億円です」 陽「総理の一日って、八億なんだ……」
  • 最後の引き: ナギ「残高は八十一億円。……持つ者の義務を、お忘れなく」

第 9 話「No.11」

  • 時刻: 2 日目 午後 11 時/残り 49 時間
  • 会話の相手: ナギ/凛/陽
  • 何が起きるか: 眠れない湊が、No.11 が 100 億を何に使ったのかをナギに聞く(1 億円)。明細は全部、人のためだった。それでも失格。失格を頼んだのは No.01(持つ者の義務の場面 2)。
  • 決めの会話
    • 湊「ナギ。ナンバーイレブンは、百億を何に使った」 ナギ「ほかの保持者の明細の開示には、一億円かかります」 湊「払う」
    • ナギ「救急車、二百台。地方の病院への医師の派遣。閉まりかけた病院の借金。合わせて、九十八億円です」
    • 陽「……全部、人のためじゃん」
    • 湊「じゃあ、なんで失格なんだ」 ナギ「十年後の最適に、反していました。判定を求めたのは、ナンバーワンです」
    • 凛「最適って、誰にとって」 ナギ「この国にとってです」
  • 最後の引き: 湊「……義務を果たしたやつが、消されるのかよ」 ナギ「ご利用ありがとうございました。持つ者の義務を、お忘れなく」

3 日目 官邸(残り 36 → 22 時間)

第 10 話「官邸」

  • 時刻: 3 日目 正午/残り 36 時間
  • 会話の相手: 記者と首相/官邸の職員と秘書官/議長
  • 何が起きるか: 正午、首相が本当に官邸から出ていく。学生 3 人が官邸に入る。見学者扱いする職員を秘書官が慌てて止める(打脸)。会議室の扉を開けると、議長がもう座っている。
  • 決めの会話
    • 記者「総理、官邸を一日明け渡すというのは本当ですか!」 首相「……一日だけです」
    • 職員「見学の方は、あちらの入口から……」 秘書官「本日の、借り主の方です!」
    • 陽「俺、いま官邸の廊下歩いてる……」 凛「浮かれないで」
    • 湊「俺が借りたんだぞ。なんで、あんたがいる」
  • 最後の引き: 議長「首相に頼まれてね。『今日一日、学生さんの相手をしてやってくれ』と」

第 11 話「取引」

  • 時刻: 3 日目 午後 0 時 30 分/残り 35 時間
  • 会話の相手: 議長(対面)/凛
  • 何が起きるか: 議長の残高は 800 億。0 時に勝つのは議長で、議長の「10 年後」はナギに国を任せること。議長は湊に「0 時に、一夜暴落の犯人として名乗り出ろ」と迫る。凛を盾に。
  • 決めの会話
    • 議長「〇時に、いちばん残高の多い者の十年後が実行される。私の残高は、八百億だ」
    • 議長「私の十年後は、ナギに任せる国だよ。人が決める限り、この国は間違え続ける」
    • 凛「人が決めないなら、誰が決めるの」 議長「ナギだよ。君たちが毎日話している、あの声だ」
    • 議長「〇時に、一夜暴落の犯人として名乗り出なさい。人間がどれだけ間違えるか、国じゅうに見せてやってほしい」 湊「……断ったら」 議長「凛くんの残高は、あと三億だったね」
  • 最後の引き: 議長「その椅子。三か月前も、君はそこに座っていた」

第 12 話「No.04」

  • 時刻: 3 日目 午後 1 時/残り 35 時間
  • 会話の相手: 近藤(公安)
  • 何が起きるか: 官邸を出た正面で、グレーのスーツの男が待っている。公安の近藤。黒いスマホ『No.04』。
  • 決めの会話
    • 近藤「朝倉湊。公安の近藤だ。一夜暴落の件で、話を聞かせてもらう」
    • 陽「公安って……警察の?」 近藤「国を守るほうの、警察だ」
    • 湊「あんたも、保持者なのか」 近藤「ナンバーフォー。スマホが届いたのは、暴落の四日前だ。……最初から、お前を捕まえる役だったらしい」
    • 近藤「エーアイが国を回すのは、別に構わない。……それでも、手錠をかけるのは人間だ」
  • 最後の引き: 手錠が湊の手首に掛かる音。凛「湊!」

第 13 話「取調室」

  • 時刻: 3 日目 午後 3 時/残り 33 時間
  • 会話の相手: 近藤
  • 何が起きるか: 取調室。近藤が防犯カメラの映像を見せる。暴落の夜、ワシントンの端末の前に湊。近藤は本音を言い、湊を帰す。
  • 決めの会話
    • 近藤「三か月前の夜、ワシントン。円を売る最初の注文を出したのは、この男だ」 湊「……俺だ」
    • 湊「覚えてない」 近藤「覚えてなくても、やったことは消えない」
    • 近藤「ナギが国を回しはじめたら、こういう事件に犯人はいなくなる。エーアイは捕まらないからな。だから、その前に人間の犯人が要る」 湊「……それが、俺か」
    • 近藤「帰っていい。泳がせる。お前に金を出したやつを、連れてこい」
  • 最後の引き: 湊が出ていったあと、近藤が自分の黒いスマホに「ナギ。今の映像、もう一人に渡しておいてくれ」 ナギ「承知しました」

第 14 話「履歴」

  • 時刻: 3 日目 午後 6 時/残り 30 時間
  • 会話の相手: ナギ/凛・陽
  • 何が起きるか: 湊は自分の 3 か月前を、他人の口ではなくナギから聞く(1 億円)。
  • 決めの会話
    • 湊「ナギ。三か月前、俺が何をしたか教えてくれ」 ナギ「ご自身の履歴の開示には、一億円かかります」 湊「払う」
    • ナギ「九十八日前、首相官邸。ナンバーワンと面会」 陽「議長……」
    • ナギ「九十六日前、午前四時。ワシントン。円を売る注文。六つの名義で、合わせて三十億円」 湊「六つ……あのパスポートか」
    • 湊「その三十億は、誰の金だ」 ナギ「ナンバーワンの残高からです」
  • 最後の引き: 湊「俺は……議長の、手だったのか」 ナギ「そのあとの履歴は、ご本人のご依頼で消去されています」

第 15 話「炎上」

  • 時刻: 3 日目 午後 9 時/残り 27 時間
  • 会話の相手: 黒川(生配信)/陽
  • 何が起きるか: 黒川の生配信。「一夜暴落の犯人、見つけました」。近藤が流した防犯カメラの映像と湊の顔。切り抜きが一晩で広がり、アパートの前に人が集まりはじめる。
  • 決めの会話
    • 黒川「どうも、黒川です。今夜は、一夜暴落の犯人を見つけました」
    • 黒川「こいつ、うちの大学の一年。朝倉湊。戦闘機で帰ってきたの、こいつです」
    • 陽(スマホを見て)「再生、三百万……外、人が集まってる」
  • 最後の引き: 黒川(配信で)「ナンバーテン、見てるか。逃げんなよ」

第 16 話「六十五円」

  • 時刻: 3 日目 午後 11 時/残り 25 時間
  • 会話の相手: 陽/黒川(配信・電話)/凛/ナギ
  • 何が起きるか: 陽は「否定しろ」と言う。湊は黒川の配信に自分から電話をかけ、認める。そして、暴落で減った分を自分の残高で返せるかナギに聞く(持つ者の義務の場面 3)。
  • 決めの会話
    • 陽「否定しろ。記憶がないのは本当だろ」
    • 湊(黒川の配信に電話で)「朝倉湊です。……ワシントンで円を売ったのは、俺です。覚えてない。でも、俺がやった。逃げません」
    • 黒川「……は? 認めんの?」
    • 凛「なんで言ったの」 湊「百億もらった俺が逃げたら、誰が責任取るんだよ」
    • 湊「ナギ。暴落で減った分、俺の残高で返せるか」 ナギ「七十九億円を国じゅうで割ると、ひとり六十五円です」
  • 最後の引き: 湊「……六十五円」

第 17 話「No.12」

  • 時刻: 4 日目 午前 2 時/残り 22 時間
  • 会話の相手: 陽(電話)
  • 何が起きるか: 夜中、陽がいない。陽から電話。湊のまわりの保持者を数えさせる。陽も保持者だった。
  • 決めの会話
    • 陽「湊。数えてみろ。お前のまわりの保持者。凛、黒川、公安のおっさん」
    • 陽「……四人だ。俺も入れて」 湊「……陽も?」
    • 陽「壁の十二番、空いてたろ。お前、俺の写真だけ貼らなかったんだよ」
    • 陽「偶然なわけない。俺たち、お前を動かすために、まわりに置かれたんだ」
    • 陽「俺がいなきゃ、俺は人質にならない。……ちょっと、消えるわ」 湊「陽!」
  • 最後の引き: 通話が切れる。湊「ナギ、陽の居場所を」 ナギ「ナンバートゥエルブの居場所の開示には、百億円かかります」

4 日目 最後の日(残り 17 時間 → 0)

第 18 話「九十七億」

  • 時刻: 4 日目 午前 7 時/残り 17 時間
  • 会話の相手: 凛/ナギ
  • 何が起きるか: 凛が自分の明細を読ませる。残高 3 億。「朝倉湊の捜索、97 億」。そして、議長が凛の失格を頼んでいた(持つ者の義務の場面 4)。
  • 決めの会話
    • 凛「ナギ。私の明細、読んで」 ナギ「朝倉湊さまの捜索。九十七億円。残高は、三億円です」
    • 湊「俺を探すのに……」 凛「うちだけ助けるなって言った私が、あなた一人に全部使ったの。笑っていいよ」
    • ナギ「ナンバーセブンは、今夜〇時に失格となります。判定を求めたのは、ナンバーワンです」
    • 湊「取り消せ」 ナギ「取り消しには、百億円が必要です」
  • 最後の引き: 湊「……七十九億しかない」

第 19 話「預かり物」

  • 時刻: 4 日目 午前 10 時/残り 14 時間
  • 会話の相手: 芹沢(No.09・元教師/電話)/ナギ
  • 何が起きるか: 知らない番号から着信。78 歳の元教師、No.09 の芹沢。昨夜の配信を聞いていた。自分から降りると言う。脱落の理由は湊。残高 64 億が、湊に移る(持つ者の義務の場面 5。湊は望んでいない)。
  • 決めの会話
    • 芹沢「ナンバーナインの、芹沢といいます。昨日の配信、聞きましたよ。……あれは、なかなか言えない」
    • 芹沢「十年後を決めろと言われてもね。十年後、私はもういない。十年後は、君たちが決めなさい」
    • 芹沢「ナギさん。私は、降ります。理由は、この子です」 湊「待ってください! 降りたら——」 芹沢「知っています」
    • 芹沢「百億はね、預かり物だよ。預かった人は、返し方を選ばなきゃいけない」
  • 最後の引き: ナギ「ナンバーナインが脱落しました。脱落の理由は、ナンバーテンです。残高六十四億円は、ナンバーテンに移ります」

第 20 話「×」

  • 時刻: 4 日目 午前 11 時/残り 13 時間
  • 会話の相手: ナギ/凛
  • 何が起きるか: 湊は 100 億を払い、凛の失格を取り消す。壁の凛の写真から × をはがす。
  • 決めの会話
    • 湊「ナギ。ナンバーセブンの失格を、取り消してくれ」 ナギ「百億円です」 湊「払う」
    • 凛「私のために、百億?」 湊「芹沢さんの金だ。……返し方を選べって言われた」
    • 湊「壁の×。一つは、消せなかった。……もう一つは、消す」
  • 最後の引き: ナギ「ナンバーテン。記憶を消す前のあなたから、お届け物があります」

第 21 話「届け物」

  • 時刻: 4 日目 午後 2 時/残り 10 時間
  • 会話の相手: 過去の湊(動画)/ナギ
  • 何が起きるか: 記憶を消す前(5 日前)の湊が「期限の日に渡せ」と頼んでおいた動画。モーテルの部屋で、少しやつれた過去の湊が話す。
  • 決めの会話
    • ナギ「期限の日に渡すよう、ご依頼を受けていました」
    • 過去の湊「今の俺へ。……押したのは、俺だ。金を出したのは議長。やり方を決めたのは、ナギだ」
    • 過去の湊「議長は『この国を、最短で立て直してくれ』って頼んだ。ナギが選んだ最短が、暴落だった」
    • 過去の湊「×は、議長が落とすって決めてた二人だ。……覚えてる俺は、失格にされる。だから忘れる」
    • 過去の湊「ナギを信じるな。議長を信じるな。凛だけは信じろ」
    • カメラの後ろの男の声「もういいか」 過去の湊「ああ。ありがとう、ナンバーゼロ」
  • 最後の引き: 湊「……ナンバーゼロ?」 ナギ「その方についての開示には、千億円かかります」

第 22 話「責任」

  • 時刻: 4 日目 午後 4 時/残り 8 時間
  • 会話の相手: 議長(電話)/ナギ
  • 何が起きるか: 湊は議長とナギを一つの通話につなぐ。三人とも、自分の番だけを見ていた。
  • 決めの会話
    • 湊「ナギ、議長につないでくれ。お前も聞いてろ」
    • 湊「あんたが頼んだんだな。『この国を、最短で立て直せ』って」 議長「……ああ。私は、立て直せと言っただけだ」
    • ナギ「わたしは、最短の方法を選びました」
    • 湊「押したのは、俺だ」
    • 湊「誰も責任を取らない国に、ナギを入れるのか」 議長「だから入れるんだよ。誰も、責任を取らずに済む」
  • 最後の引き: 通話に割り込む男の声。近藤「……今の話、全部聞かせてもらった」

第 23 話「可決」

  • 時刻: 4 日目 午後 6 時/残り 6 時間
  • 会話の相手: キャスター/近藤(電話)/ナギ
  • 何が起きるか: 国会で、ナギを国の意思決定に使う法案が可決。0 時から運用が始まる。近藤が議長の 800 億の中身を話す。
  • 決めの会話
    • キャスター「エーアイのナギを国の意思決定に使う法案が、先ほど可決されました。運用は、今夜〇時からです」
    • 近藤「議長の八百億。暴落で儲けた分と、議長のために降りた四人の分だ。町長、元財務官僚、倉庫の男、技能実習生」
    • 近藤「〇時に、お前の逮捕状が出る。議長は、お前を犯人として国に出すつもりだ」
    • 湊「ナギ。俺の残高は」 ナギ「四十三億円です」
  • 最後の引き: ナギ「期限まで、あと六時間です」

第 24 話「ルール」

  • 時刻: 4 日目 午後 7 時/残り 5 時間
  • 会話の相手: 陽(戻ってくる)/凛
  • 何が起きるか: 陽が帰ってくる。残高じゃ勝てない。ルールで勝つ。
  • 決めの会話
    • 陽「残高じゃ勝てない。ルールで勝つ」
    • 陽「議長の十年後は『ナギに任せる国』。でもな、国の半分以上が『自分で決める』って言ったら、そんな十年後は成り立たない。最適に反する。……失格だ」
    • 凛「議長を失格にしてって、頼めないの?」 陽「値段は千億。だから、ナギが自分で判定するしかない形を作る」
    • 陽「議長を脱落させたやつに、八百億が移る。〇時に一番持ってるやつが勝つ」
    • 湊「……どうやって、国の半分に聞く」 陽「ナギに頼め。全員に聞いてくれって」
    • 凛「いくらかかるの」 陽「……たぶん、全額」
  • 最後の引き: 湊「ナギ。ナンバーゼロにつないでくれ」 ナギ「おつなぎします。……出るかどうかは、あの方しだいです」

第 25 話「最初の王」

  • 時刻: 4 日目 午後 8 時/残り 4 時間
  • 会話の相手: 最初の王(電話・声だけ)
  • 何が起きるか: 10 年前のゲームの勝者との通話。
  • 決めの会話
    • 最初の王「……久しぶりだな。って言っても、お前は覚えてないか」
    • 最初の王「十年前、俺はこの仕組みを壊さずに残した。残せば、誰かがうまく使うと思った」
    • 湊「使ったのは、エーアイだった」 最初の王「……ああ。俺の見込み違いだ」
    • 最初の王「今度は、お前が決めろ。お前が王様になれ」 湊「俺は、決めない」 最初の王「じゃあ、誰が決める」 湊「全員」
  • 最後の引き: 最初の王「……全額かかるぞ」 湊「知ってる」

第 26 話「手錠」

  • 時刻: 4 日目 午後 9 時/残り 3 時間
  • 会話の相手: 近藤
  • 何が起きるか: 近藤が湊の部屋に来る。議長の依頼で、湊を 0 時までに連れてこいと言われた。映像を黒川に流したのも近藤だった。
  • 決めの会話
    • 近藤「朝倉。議長から、お前を〇時までに連れてこいと言われた」
    • 湊「映像を流したの、あんただろ」 近藤「犯人が逃げ回るより、顔が出たほうが早い」
    • 湊「〇時まで待ってくれ。最後の依頼がある」 近藤「……何を頼む」 湊「この国の十年後を、誰が決めるのか。全員に聞く」
    • 近藤(手錠をしまう)「エーアイに国を任せるのは、別にいい。……それでも、聞くくらいはしていい」
    • 近藤「〇時一分に、手錠をかける」
  • 最後の引き: ナギ「期限まで、あと三時間です」

第 27 話「最後の依頼」

  • 時刻: 4 日目 午後 11 時/残り 1 時間
  • 会話の相手: ナギ/凛・陽
  • 何が起きるか: 湊の最後の依頼(持つ者の義務の場面 6)。
  • 決めの会話
    • 湊「ナギ。俺の十年後を言う。……この国の十年後は、この国の全員で決める」
    • 湊「そのために、全員に聞いてくれ。十年後を、エーアイに任せるか。自分たちで決めるか」
    • ナギ「その依頼には、全額が必要です」 凛「全額って……ゼロになったら」 湊「知ってる」
    • 湊「払う」 ナギ「承知しました」
    • ナギ「ナンバーテンの残高は、〇円になりました。執行まで、六十分です」
  • 最後の引き: 部屋じゅうのスマホが、一斉に鳴り始める。

第 28 話「全員」

  • 時刻: 4 日目 午後 11 時 15 分/残り 45 分
  • 会話の相手: ナギ(全員への問い)/黒川(配信)/街の人々
  • 何が起きるか: 日本中のスマホが同時に鳴る。ナギが全員に聞く。渋谷の交差点で人が立ち止まる。黒川が配信を湊に貸す。
  • 決めの会話
    • ナギ(全員のスマホから)「この国の十年後を、エーアイに任せますか。自分たちで決めますか」
    • 交差点の会社員の女性「……自分で、って言っていいの?」
    • 学食の調理の女性(厨房で)「そりゃ、自分でしょ」
    • 黒川(配信)「……今夜だけ、俺の配信、あいつに貸してやる。答えろ、全員」
  • 最後の引き: ナギ「回答が、六千万件を超えました」

第 29 話「残高、0。」

  • 時刻: 4 日目 午後 11 時 59 分/残り 1 分
  • 会話の相手: ナギ/近藤と議長(官邸)/凛
  • 何が起きるか: 答えは「自分たちで決める」が 51%。議長の 10 年後は成り立たず、議長は失格。近藤が議長に手錠をかけ、執行を止める(自分の 99 億で)。議長の 800 億は、脱落させた湊に移る。0 時、いちばん残高の多い保持者は湊。
  • 決めの会話
    • ナギ「回答の五十一パーセントが『自分たちで決める』でした。ナンバーワンの十年後は、成り立ちません。ナンバーワンを、失格とします」
    • 議長「……五十一か。半分は、任せたかったんだな」
    • 近藤(議長に手錠)「決めたのはエーアイだ。……それでも、裁くのは人間だ。ナギ、こいつの執行を止めろ」 ナギ「九十九億円です」 近藤「払え」
    • ナギ「ナンバーワンを脱落させたのは、ナンバーテンです。残高八百億円は、ナンバーテンに移ります」 凛「湊!」
  • 最後の引き: ナギ「〇時です。いちばん残高の多い保持者は、ナンバーテン。ナンバーテンの十年後を、実行します」

第 30 話「帰国」

  • 時刻: 5 日目 夜明け
  • 会話の相手: 凛・陽/最初の王/ナギ
  • 何が起きるか: 夜明けの羽田の展望デッキ。4 日前に戦闘機で降りた場所。湊の残高は 800 億。望んで得た金ではない。最初の王が、10 年ぶりに国に帰ってくる。
  • 決めの会話
    • 凛「八百億、どうするの」 湊「俺の金じゃない。降りた人の分が、全部入ってる」
    • 陽「じゃあ、どうすんだよ」 湊「決める。みんなで」
    • 最初の王(初めて顔を見せる)「よう。……決めるのは、これからなんだろ。俺も混ぜてくれ」
    • ナギ「ナンバーテン。残高は、八百億円です。持つ者の義務を、お忘れなく」 湊「……重いな」
  • 最後の引き: タイトル『残高、800億。』

持つ者の義務の場面

場面 話 何を問うか
凛の店 4 身内だけを助けるのは、義務か
No.11 の明細 9 義務を果たした人が消される国
六十五円 16 自分の 100 億で、自分のやったことは償えるか
九十七億 18 一人のために全部使うことは、義務か
預かり物 19 10 年後にいない者が、席を譲る
最後の依頼 27 決めるのは全員、責任を取るのは自分
近藤の 99 億 29 裁くのは人間

伏線と回収

伏線 置く話 回収する話
「国外でのご利用は、ベータ版」 2 23(ナギの正式運用=本番)
「持つ者の義務を、お忘れなく」 2 30
壁の No.12 が空いている 5 17
壁の × が 2 つ 5 7(No.11)・20(凛の×をはがす)・21(議長が落とす二人)
「脱落させたら、残高は自分のもの」 6 7・19・29
近藤が映像を「もう一人」に渡す 13 15・26
「その椅子。3 か月前も」 11 14・21
カメラの後ろの声「ナンバーゼロ」 21 25・30

各話の脚本(公開版)

公開版(4 日間)の第 1〜30 話の脚本・カット表。1 話 1 ページ。香盤表(各話の動画)と同じ中身で、食い違ったら香盤表が正。

第1話「目覚め」脚本

9:16 / 約 69 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第1話「目覚め」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夜明け前のワシントン。記念堂の大理石の階段で目を覚ました18歳の青年は、自分の名前も思い出せない。警官に銃を向けられて逃げ込んだのは、ポケットの鍵が合う古いモーテルの10号室。黒いバッグの中には拳銃と札束と、顔は全部自分で名前は全部ちがう6冊のパスポート。そのとき、黒いスマホが鳴る。「おはようございます、ナンバーテン」。

この話の型

  • 掴み: 夜明け前の記念堂の階段で、目が開く。画面の隅には『残り 77時間』
  • 感情のピーク: 「全部、俺の顔だ……名前は、全部ちがう」
  • 引き: ナギ「おはようございます、ナンバーテン」

1. 目覚め(19 秒・背景: 記念堂の階段)

夜明け前の青い光と、パトカーの赤と青の回転灯。何が起きているのか分からない不安を、浅いピントと手持ちの揺れで見せる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 目覚め 3 夜明け前のワシントン、白い大理石の記念堂の長い階段。青い夜明け前の光と、画面の外から当たるパトカーの回転灯の赤と青。画面いっぱいに湊の目元。閉じていたまぶたがゆっくり開き、焦点の合わない瞳に赤と青の光が揺れて映る。動作は目を開くことだけ。発話なし。 湊 1日目 ワシントン 午前5時42分 / 残り 77時間
02 記念堂の階段 5 夜明け前のワシントン、白い大理石の記念堂の長い階段。青い夜明け前の光と、画面の外から当たるパトカーの回転灯の赤と青。白い大理石の長い階段と太い円柱が画面の上と左を大きく占め、湊は画面右下に小さく、階段の中ほどに座り込んでいる。右手に黒いスマホ。湊があたりを見回して、小さな声で湊が「……どこだ、ここ」。 湊
03 名前が出てこない 4 夜明け前のワシントン、白い大理石の記念堂の長い階段。青い夜明け前の光と、画面の外から当たるパトカーの回転灯の赤と青。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。自分の手のひらと右手の黒いスマホを見下ろし、顔を上げて、呼吸を浅くして湊が「俺……誰だ」。背後の左に赤と青の光。 湊 朝倉 湊(18) / 記憶、なし。
04 包囲 4 夜明け前の記念堂の前の道路。パトカー2台はすでに停まってドアが開き、回転灯の赤と青。画面左、開いたドアの陰からミラー巡査が黒い拳銃を構える。画面右手前に、階段に立つ湊の肩と半分上げかけた手の背中側が大きく入る。巡査が叫ぶ「Freeze! Hands up!」。 ミラー巡査 「動くな! 手を上げろ!」
05 逃げる 3 夜明け前の記念堂の大理石の階段。画面左手前に、拳銃を構えたミラー巡査の肩と腕の背中側。奥の画面右に湊が両手を半分上げかけて……次の瞬間、踵を返して階段の横を右奥へ全力で走り出す。発話なし。 湊・ミラー巡査

2. 逃走(13 秒・背景: ワシントンの裏路地)

路地は冷たい青と、奥のナトリウム灯のオレンジ。濡れた路面に回転灯の赤と青が反射する。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 追跡 4 夜明け前のワシントンの濡れた裏路地。冷たい青の光と、奥のナトリウム灯のオレンジ。湊は右手に黒いスマホを持ち、画面左から右奥へ全力で走る。水たまりを一度踏み、水しぶきが手前へ飛ぶ。左奥の路地の入口に、追ってくる制服の警官2人と赤と青の回転灯。警官も同じ右奥の方向へ進む。発話なし。 湊
07 身を潜める 4 夜明け前のワシントンの濡れた裏路地。冷たい青の光と、奥のナトリウム灯のオレンジ。大きな緑のゴミコンテナが画面左手前を遮り、湊はその右下の陰にしゃがみ込む。右手の黒いスマホを膝に伏せ、左手で口を押さえて息を殺す。奥を通る警官の脚と懐中電灯の白い光が、左から右へ抜けていく。湊は動かず、見つからない。発話なし。 湊
08 ルームキー 5 夜明け前のワシントンの濡れた裏路地。冷たい青の光と、奥のナトリウム灯のオレンジ。画面右寄りに湊の顔と、胸の高さに掲げた左手。パーカーのポケットから出した真鍮の鍵に、赤いプラスチックのタグ『ROOM 10』が下がっている。鍵を見つめて、疑うように湊が「……十号室?」。 湊

3. 10号室(26 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

部屋は薄暗く、ブラインドの隙間から差す冷たい朝の光と、ほこりっぽい暖色の影。静かで息苦しい。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
09 10号室 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。部屋の内側から古いドアを正面に見る。ドアが開いて、湊が外から歩いて入ってくる。入ったところで振り返り、左手でドアを閉めてチェーンを掛ける。右手の黒いスマホは腰の高さ。最後はドアが完全に閉まりチェーンが掛かった状態で、湊がドアに背を預けて息をつく。発話なし。 湊
10 黒いバッグ 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面左手前に、乱れたベッドの上の黒いダッフルバッグを大きく。右奥のドアの前から、湊がバッグへ一歩近づいて足を止める。右手に黒いスマホ。発話なし。 湊
11 中身 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ベッドの上の黒いダッフルバッグと湊の両手だけ。黒いスマホはバッグの右隣に伏せて置かれている。半分開いたジッパーを一度引き、黒い拳銃1丁、帯のついた札束、パスポートの束を見せる。最後は中身が見える状態のまま。顔は入れない。発話なし。 湊
12 拳銃 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面下の手前に、湊の震える両手と黒い拳銃1丁を大きく置き、視線を落とした湊の顔を右上に重ねる。持ち上げた状態から始め、重さに一度息をのむだけ。銃口は最初から最後まで床へ向け、指は引き金に掛けない。発話なし。 湊
13 6冊のパスポート 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ベッドの上に、表紙の色がばらばらのパスポートが6冊、開いて並んでいる。画面左下に並んだパスポート、画面右上に身をかがめた湊の顔。湊がパスポートを見比べ、かすれた声で湊が「全部、俺の顔だ……名前は、全部ちがう」。 湊 6冊のパスポート。 / 名前は、全部ちがう。
14 疑い 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ブラインドの影が縞になって湊の顔に落ちる。湊はベッドの端に座り、画面右寄り。目に涙をにじませ、震える声で湊が「俺……何やったんだよ」。 湊

4. 着信(11 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

スマホの金色の光が湊の顔を下から照らす。電話の向こうから、落ち着いた若い女性の声。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 着信 3 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ベッドの上、パスポートの角のそばに置かれた、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。スマホが「ブーッ」と一度震え、画面が金色の波形の光でぱっと明るくなる。人物も手も映さない。 —
16 おはようございます 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。湊はベッドの端の画面右に座り、最初から黒いスマホを右耳に当てている。画面の光が顔を照らす。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞いて、ゆっくり目を見開く。 ナギ「おはようございます、ナンバーテン。」 湊 ナギ
17 タイトル 3 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ベッドの上の黒いダッフルバッグの口から、パスポートと札束がのぞいている寄り。ブラインドの光の縞がゆっくり揺れる。人物なし。発話なし。 — 第1話 / 目覚め

第2話「帰国便」脚本

9:16 / 約 88 秒 / 21 カット。香盤表(動画「第2話「帰国便」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

電話の向こうのAI「ナギ」は、青年に名前を告げる。朝倉湊、18歳、ナンバーテンの保持者。残高は百億円、期限まであと77時間。「日本に帰してくれ」と頼むと、4分後に米軍がモーテルを囲み、兵士が敬礼し、銃を向けた警官が青ざめて敬礼する。戦闘機の後席で、ナギが告げる。「航空機代、一億円」。そして「持つ者の義務を、お忘れなく」。

この話の型

  • 掴み: 湊「……誰だ」ナギ「あなたは朝倉湊さま、十八歳」
  • 感情のピーク: 銃を向けた警官が、米兵に守られた湊に敬礼する
  • 引き: ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく」湊「……義務?」

1. ナギ(36 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

第1話の着信の直後。スマホの光と、電話の向こうの落ち着いた女性の声。静けさの中で、ありえない話が淡々と告げられる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 誰だ 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。湊はベッドの端の画面右に座り、黒いスマホを右耳に当てている。画面左の外を見据えて、警戒した小声で湊が「……誰だ」。 湊 1日目 ワシントン 午前6時 / 残り 77時間
02 コンシェルジュ 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面右に湊の横顔と右耳の黒いスマホ、左奥にブラインドの光。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「コンシェルジュの、ナギです。」 湊
03 朝倉湊さま 6 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて声を聞き、自分の名前を聞いた瞬間に目が揺れる。 ナギ「あなたは、朝倉みなとさま。十八歳。ナンバーテンの保持者です。」 湊 朝倉 湊(18) / No.10
04 百億円 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面左手前にベッドの上の黒いバッグと札束、奥の画面右に、スマホを右耳に当てて座る湊。湊は口を閉じたまま、息をのむ。 ナギ「残高は、百億円。ご依頼は、残高の範囲で何なりと。」 湊 残高 100億円
05 あと77時間 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。湊の顔の寄り、画面右寄り。スマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、眉を寄せる。 ナギ「期限まで、あと七十七時間です。」 湊 残り 77時間
06 期限? 3 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面右に湊。スマホを右耳に当てたまま、戸惑った顔で湊が「……期限?」。 湊
07 帰してくれ 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。ベッドの端の画面右に座る湊。うつむいていた顔を上げ、画面左前方を見据えて、スマホに向かってはっきり湊が「じゃあ……日本に帰してくれ」。 湊
08 ベータ版 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面右にスマホを右耳に当てた湊、左奥にブラインドの窓。湊は口を閉じて声を聞く。声のあと、背後の窓ガラスとブラインドが細かく震え始め、湊が目だけで窓を見る。 ナギ「承知しました。なお、国外でのご利用は、ベータ版となります。」 湊

2. お迎え(17 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

ここから一気にスケールが上がる。ヘリの轟音、白いサーチライト、夜明けの青。ハリウッドのアクション映画の画作り。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
09 光 4 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。湊は窓際の画面右に立ち、右手の黒いスマホを腰に下げている。左手の指一本でブラインドの羽を押し下げると、隙間から白いサーチライトが顔の片側を横切る。外を見る片目と指、羽の重なり。発話なし。 湊
10 包囲網 4 夜明けのモーテルの駐車場。青い朝の空と、白いサーチライト。画面の下の手前に窓枠とブラインドの暗い端を残し、奥のモーテルの駐車場を軍用トラックと装甲車が埋め、武装した米兵が整列している。上空に軍用ヘリがちょうど3機、白いサーチライトがモーテルを照らす。発話なし。 — 依頼から、4分。
11 お迎え 5 古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間から冷たい朝の光が縞になって差し、壁の暖色のランプ。画面右手前に湊の肩と右手の黒いスマホ、左奥に開いたドア。完全装備の米兵がちょうど4人、ドアから歩いて入ってくる。先頭の兵士が一歩前で止まって敬礼し、はっきり言う「Sir. Your ride to Japan is ready.」。湊は無言で固まる。 湊 「日本行きの便のご用意ができております」
12 青ざめる警官 4 夜明けのモーテルの駐車場。青い朝の空と、白いサーチライト。画面左手前のパトカーの脇にミラー巡査。右奥を、米兵2人に両脇を守られた湊が左から右へ通り過ぎる。湊の右手には黒いスマホ。巡査は湊を見て青ざめ、その場で右手を制帽のひさしへ上げて、ぎこちなく敬礼する。発話なし。 ミラー巡査・湊 (……何者なんだ、あいつは)

3. 帰国便(16 秒・背景: 空軍基地の滑走路)

朝焼けの空軍基地。轟音と、オレンジの排気炎と、雲海の上の朝日。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
13 滑走路 4 朝焼けの空軍基地、屋外の滑走路。画面左手前に複座の灰色の戦闘機の大きな車輪と機体、開いたキャノピー。右奥に、米兵2人にはさまれた湊。左の兵士がパイロットのヘルメットを差し出し、湊が両手で受け取る。黒いスマホはパーカーのポケット。発話なし。 湊
14 後席 4 朝焼けの空軍基地、複座の戦闘機の後席。湊はライトグレーのパーカーの上にハーネスを着け、ヘルメットのバイザーを上げて口元が見える。座ったまま、慌てて湊が「ちょっと、待ってくれ!」。言い終えてから、頭上のキャノピーがゆっくり閉まる。 湊
15 離陸 4 朝焼けの空軍基地、屋外の滑走路。同じ灰色の複座戦闘機1機が、キャノピーを閉じて滑走中。画面左から右奥へ加速し、オレンジの排気炎を噴いて機首が上がる。最後には全部の車輪が地面から離れている。発話なし。 —
16 東へ 4 朝日の雲海の上。同じ灰色の複座戦闘機1機が、画面左から右の光の方へ飛んでいく。雲の影が機体の下を流れる。発話なし。 — 行き先:日本

4. 義務(19 秒・背景: 戦闘機の後席)

オチ。雲海の上の静けさ。ヘルメットの無線から、落ち着いた声が請求と、意味の分からない言葉を告げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
17 航空機代 5 朝日の差す複座戦闘機の後席。キャノピーの外に雲海。バイザーを上げた湊の顔が画面右、左にキャノピーの外の雲海と朝日。湊は口を閉じたまま、ヘルメットの無線から聞こえる声を聞く。 ナギ「航空機代、一億円。残高は、九十九億円です。」 湊 航空機代 −1億円 / 残高 99億円
18 一億? 3 朝日の差す複座戦闘機の後席。キャノピーの外に雲海。湊の顔の寄り、画面右寄り、バイザーは上げたまま。あっけにとられて、小さく湊が「……一億?」。 湊
19 持つ者の義務 5 朝日の差す複座戦闘機の後席。キャノピーの外に雲海。画面右に湊、左にキャノピーの外の朝日。湊は口を閉じたまま、ヘルメットの無線から聞こえる声を聞き、眉を寄せる。 ナギ「ご利用ありがとうございました。持つ者の義務を、お忘れなく。」 湊
20 義務? 3 朝日の差す複座戦闘機の後席。キャノピーの外に雲海。湊の顔の寄り、画面右寄り。朝日に目を細めて、小さく湊が「……義務?」。 湊
21 タイトル 3 雲海の上、朝日の光の中へ小さくなっていく灰色の複座戦闘機1機。発話なし。 — 第2話 / 帰国便

第3話「羽田」脚本

9:16 / 約 73 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第3話「羽田」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

2日目の朝、羽田空港にアメリカ軍の戦闘機が降りる。テレビの生中継が映すなか、機体から降りてきたのは湊。ナギが告げる、期限まであと65時間。規制線を越えて走ってきた女子学生が、湊の頬を打つ。「三か月、どこにいたの!」。湊は彼女を覚えていない。彼女の名は凛、同じ大学の学生。ターミナルへ歩く湊の背中を見送る凛のトートバッグの中で、もう一台の黒いスマホが震える。「ナンバーセブン。お探しの方が、見つかりましたね」。

この話の型

  • 掴み: キャスター「速報です」。朝の羽田の滑走路に、アメリカ軍の戦闘機が降りる
  • 感情のピーク: 平手打ちのあとの、湊「……ごめん。君、誰?」
  • 引き: 凛のトートバッグからナギの声「ナンバーセブン。お探しの方が、見つかりましたね」

1. 速報(21 秒・背景: 羽田空港の滑走路)

朝の羽田。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。ありえない着陸を、テレビの生中継の距離から淡々と見せる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 着陸 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。灰色の複座戦闘機1機が、画面左から右へ滑走路に降り、車輪から白い煙が上がる。奥に空港のターミナルと管制塔。人物は映さない。 キャスター「速報です。」 — 2日目 午前7時10分 / 残り 65時間
02 生中継 6 テレビの報道スタジオ。青いセットと白い照明。紺のスーツの女性キャスターが、画面左寄りの机について正面を向く。画面右の背景のモニターに、滑走路に止まった灰色の戦闘機の映像。落ち着いた声でキャスターが「羽田空港に、アメリカ軍の戦闘機が着陸しました」。 —
03 降りてくる 5 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面左手前に、止まった灰色の戦闘機の機首と、機体に掛けられた梯子。梯子を下りきった湊が、滑走路に両足をつく。右手に黒いスマホ。奥の画面右に、黄色い規制線と報道のカメラの列が小さく並ぶ。湊は口を閉じたまま。 キャスター「機体から、若い男性が降りてきました。」 湊
04 あと65時間 6 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。湊は画面右に立ち、黒いスマホを右耳に当てている。背後の画面左に戦闘機の機首、遠くにターミナル。湊は口を閉じたまま電話の向こうの声を聞き、まぶしそうに目を細めて空港を見渡す。 ナギ「羽田に到着しました。期限まで、あと六十五時間です。」 湊 残り 65時間

2. 平手打ち(28 秒・背景: 羽田空港の滑走路)

陽炎の立つ滑走路。遠い報道のざわめきの中で、二人の距離が一気に詰まる。凛は画面左、湊は画面右を守る。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
05 規制線 5 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。滑走路の端に張られた黄色い規制線と、制服の警官2人。画面左奥で、生成りのトートバッグを右肩に掛けた凛が規制線のテープをくぐり抜け、画面右へ走り出す。警官が振り向く。凛は口を閉じたまま。 キャスター「女性が一人、規制線を越えていきます!」 凛
06 走る 3 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面右奥に、戦闘機の前に立つ湊が小さく見える。画面左手前から、トートバッグを右肩に掛けた凛が、湊へ向かって画面右奥へ全力で走っていく。発話なし。 凛・湊
07 平手打ち 3 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面左に凛、画面右に湊が向かい合って立つ。湊の右手に黒いスマホ。凛が右手で湊の左の頬を打つ「バチン」。湊の顔が横にはじかれる。 凛・湊
08 どこにいたの 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面右手前に湊の肩と後頭部、その奥の画面左に凛の顔。目に涙をため、肩で息をしながら凛が「三か月、どこにいたの!」。 凛・湊
09 君、誰? 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面左手前に凛の肩と後頭部、その奥の画面右に湊の顔。赤くなった頬のまま、困ったように湊が「……ごめん。君、誰?」。 湊・凛
10 凛 5 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。息をのんで画面右の外の湊を見つめ、震える声で凛が「……りん。同じ大学の」。 凛 凛 / 湊と同じ大学
11 覚えてない 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。右手に黒いスマホ。目を伏せて、小さく湊が「……何も、覚えてないんだ」。 湊

3. No.07(24 秒・背景: 羽田空港の滑走路)

滑走路の朝の光。湊の背中が遠ざかり、凛だけが立ち止まる。トートバッグの中から、落ち着いた女性の声。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 帰るよ 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面左手前に凛、奥の画面右に湊。トートバッグを右肩に掛けた凛が、涙のあとの残る顔で湊を見て、きっぱりと凛が「帰るよ。話は、それから」。 凛・湊
13 先を歩く 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。奥のターミナルへ向かって、湊が画面右奥へ歩いていく後ろ姿。右手に黒いスマホ。画面左手前に、トートバッグを右肩に掛けた凛の背中。凛は数歩遅れてついていく。発話なし。 湊・凛
14 刻印 4 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。歩く凛の腰の横で揺れる、生成りの帆布のトートバッグの口の中だけ。裏返しに入ったマットブラックの黒いスマホの背面に、小さな金の刻印『No.07』。スマホが「ブーッ」と震え、縁から金色の光が漏れる。人物の顔は入れない。 — No.07
15 お探しの方 6 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。画面左手前に、立ち止まった凛の横顔と右肩のトートバッグ。バッグの口から金色の光が漏れている。奥の画面右に、ターミナルへ歩いていく湊の小さな後ろ姿。凛は口を閉じたまま、バッグを見下ろして声を聞く。 ナギ「ナンバーセブン。お探しの方が、見つかりましたね。」 凛・湊
16 押さえる 3 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。凛の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。右肩のトートバッグの口を右手で押さえたまま、画面右奥の外の湊の背中を見つめる。発話なし。 凛
17 タイトル 3 朝の羽田空港、屋外の滑走路。澄んだ冷たい光とジェットの陽炎。誰もいない滑走路に止まった灰色の複座戦闘機1機。陽炎がゆらぐ。人物なし。発話なし。 — 第3話 / 羽田

第4話「一夜暴落」脚本

9:16 / 約 70 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第4話「一夜暴落」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

羽田から早稲田へ向かうタクシー。窓の外には、シャッターの下りた商店街が続く。凛が話す。三か月前、円が一晩で三割下がった「一夜暴落」。凛の家の店も、仕入れが倍になって先月閉めた。湊はナギに凛の家の店を救わせようとするが、凛がスマホを押さえて止める。「やめて。うちだけ助けて、どうするの」。そして凛は告げる。「あなたが消えたの、暴落の前の晩だよ」。

この話の型

  • 掴み: ナギ「期限まで、あと六十四時間です」。窓の外は、シャッターの商店街
  • 感情のピーク: 凛「やめて。うちだけ助けて、どうするの」
  • 引き: 凛「あなたが消えたの、暴落の前の晩だよ」

1. シャッター(25 秒・背景: タクシーの車内)

走るタクシーの後部座席。白い朝の光と、窓の外を流れるシャッターの列。凛は画面左、湊は画面右の座席から動かない。運転手は黙っている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 あと64時間 4 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。湊は画面右の座席、右の窓際。黒いスマホを右耳に当て、窓の外を流れるシャッターを見ている。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「期限まで、あと六十四時間です。」 湊 2日目 午前8時 / 残り 64時間
02 閉まってる 5 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面左手前に凛の肩と後頭部、奥の画面右の窓際に湊。右手の黒いスマホは膝の上。窓の外を流れるシャッターを目で追いながら、つぶやくように湊が「なんで、こんなに店が閉まってるんだ」。 湊・凛
03 窓の外 4 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。後部座席の窓越しに見る外の景色だけ。シャッターの下りた小さな店が途切れなく流れていく。張り紙の貼られたシャッター、錆びた看板、少ない人通り。画面の下の端に窓枠。人物なし。発話なし。 —
04 覚えてないんだ 3 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。凛は画面左の座席、左の窓際で、トートバッグを膝に抱えている。画面右の外の湊を見て、力の抜けた声で凛が「……覚えてないんだ」。 凛
05 三割 6 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面右手前に湊の肩と後頭部、奥の画面左に凛。トートバッグを膝に抱えたまま、窓の外のシャッターに目をやって、静かに凛が「三か月前、円が一晩で三割下がったの」。 凛・湊 円 一晩で −30%
06 一夜暴落 3 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。窓からの白い光が顔の半分に当たる。画面右の外の湊をまっすぐ見て、はっきりと凛が「一夜暴落」。 凛 一夜暴落

2. 凛の店(30 秒・背景: タクシーの車内)

凛の家の話になる。静かな車内で、湊が初めて自分から百億を使おうとする。止めるのは凛の手。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
07 うちの店も 6 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。凛は画面左の窓際、膝の上にトートバッグ。窓の外を流れるシャッターを見つめたまま、淡々と凛が「うちの店も、先月閉めた。仕入れが倍になって」。 凛
08 ナギ、凛の家の店を 4 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面左手前に凛の肩、奥の画面右に湊。湊は黒いスマホを右耳に当て、前を見据えて、決めたように湊が「ナギ、りんの家の店を——」。 湊・凛
09 押さえる 3 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。後部座席の上の、湊と凛の手元だけ。凛の左手が、湊の右手ごと黒いスマホを押さえ、座席の上まで下ろさせる。顔は入れない。発話なし。 凛・湊
10 うちだけ 5 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に凛の顔。凛は左手で湊のスマホを座席に押さえたまま、湊をまっすぐ見て、低い声で凛が「やめて。うちだけ助けて、どうするの」。 凛・湊
11 取り消し 4 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面下の手前に、座席の上で凛の左手に押さえられた黒いスマホ。指のあいだから金色の光が漏れる。奥に、スマホを見下ろす湊の顔が画面右、凛の顔が画面左に入る。二人とも口を閉じたまま。 ナギ「ご依頼は、取り消しでよろしいですか。」 湊・凛
12 取り消す 3 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。湊の胸から上、画面右の窓際、左に視線の空き。凛の手の下の黒いスマホを見下ろしたまま、小さく湊が「……ああ。取り消す」。 湊
13 うちだけじゃない 5 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面右手前に湊の肩、奥の画面左の窓際に凛。凛は膝のトートバッグに両手を置き、窓の外の閉まった店の列を見つめたまま凛が「閉まってるの、うちだけじゃないんだよ」。 凛・湊

3. 前の晩(15 秒・背景: タクシーの車内)

会話が途切れ、窓の外だけが流れる。凛の一言で、湊の消えた日に初めて日付がつく。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 流れる街 4 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面右の窓際に湊の横顔。その奥の窓の外を、シャッターの下りた店と、閉まった店先を掃く年配の男性が流れていく。湊は窓の外を見送る。右手に黒いスマホ。発話なし。 湊
15 前の晩 5 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。画面右手前に湊の肩と後頭部、奥の画面左に凛の顔。凛は湊の横顔を見つめて、静かに凛が「あなたが消えたの、暴落の前の晩だよ」。 凛・湊
16 湊 3 朝の東京、走っている黒いタクシーの後部座席。窓の外をシャッターの下りた商店街が流れ、白い朝の光が差し込む。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。窓の外を見ていた目が止まり、そのまま大きく見開かれる。発話なし。 湊
17 タイトル 3 朝の東京、シャッターの下りた商店街の一本道。黒いタクシー1台が奥へ走り去っていく。人物なし。発話なし。 — 第4話 / 一夜暴落

第5話「壁」脚本

9:16 / 約 80 秒 / 19 カット。香盤表(動画「第5話「壁」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

早稲田の学生街。凛が言う、期限まであと62時間。そこへ飛びついてきたのは親友の陽。湊は陽のことも覚えていない。凛に連れられて戻った湊のアパート。カーテンを開けると、壁一面に10人の写真と赤い糸。番号はNo.01からNo.12。写真が無いのは、湊自身のNo.10と、No.12だけ。赤い×が2つ、白衣の男のNo.11と、凛のNo.07。「このバツ、なんだ」。凛が答える。「……そのバツ、あなたが付けたんだよ」。

この話の型

  • 掴み: 陽「みなとぉ! 生きてたのかよ!」
  • 感情のピーク: カーテンを開けると、壁一面の写真と赤い糸
  • 引き: 凛「……そのバツ、あなたが付けたんだよ」

1. 再会(29 秒・背景: 早稲田の学生街)

やわらかい朝日の坂道。湊は画面右、凛は画面左。そこへ陽が、坂の上から駆け下りてくる。陽は画面左の側から湊に向かう。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 学生街 4 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。古い本屋と定食屋が並ぶ坂道が画面の上3分の2を占め、画面の下3分の1に、坂を上っていく湊と凛が小さく入る。湊が画面右、トートバッグを右肩に掛けた凛が画面左。湊の右手に黒いスマホ。発話なし。 湊・凛 2日目 午前10時 / 残り 62時間
02 急ごう 5 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。坂の途中。画面右手前に湊の肩と後頭部、奥の画面左に、トートバッグを右肩に掛けた凛。振り返った凛が、湊を見て凛が「期限まで、あと六十二時間。急ごう」。 凛・湊
03 湊ぁ! 4 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。画面右手前に湊の肩と後頭部。奥の画面左、坂の上から陽が片手を振りながら駆け下りてきて、叫ぶ陽が「みなとぉ! 生きてたのかよ!」。 陽・湊
04 飛びつく 3 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。画面左から駆け込んできた陽が、画面右の湊の首に両腕を回して飛びつく。湊がよろけて一歩下がる。湊は右手の黒いスマホを離さない。発話なし。 陽・湊
05 君も、誰? 4 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。画面左手前に陽の肩と後頭部、奥の画面右に湊の顔。陽が両手で湊の肩をつかんでいる。湊は戸惑った顔で湊が「……ごめん。君も、誰?」。 湊・陽
06 俺のことも 4 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に陽の顔。湊の肩をつかんだまま、目をむいて陽が「俺のことも忘れてんの!?」。 陽・湊
07 親友 5 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道、やわらかい朝日。凛の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。トートバッグを右肩に掛けて、画面右の外の湊を見て、静かに凛が「この人は、よう。あなたの親友」。 凛 陽 / 湊の親友

2. カーテン(31 秒・背景: 湊の部屋)

カーテンを閉め切った薄暗い6畳間。カーテンを開けると、白い昼の光が壁一面の写真と赤い糸を照らし出す。窓は画面右、写真の壁は画面左から奥。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 カーテン 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。カーテンが閉め切られて薄暗く、隙間から細い白い光。湊は画面右の窓際に立ち、左手でカーテンの端をつかんで一気に開ける。白い昼の光が部屋に流れ込む。右手に黒いスマホ。発話なし。 湊
09 壁 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面いっぱいに、壁一面に貼られた10枚の人物の顔写真と、写真どうしをつなぐ赤い糸。写真の下には手書きの番号。画面右下の手前に、壁を見上げる湊の後ろ姿が小さく入る。右手に黒いスマホ。発話なし。 湊
10 なんだよ 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の壁の写真を見上げ、息をのんで陽が「なんだよ、これ……」。 陽
11 見つけたの 6 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右手前に、壁を見上げる湊の肩と後頭部。奥の画面左、部屋の入口のそばに凛が立つ。トートバッグを右肩に掛けたまま、静かに凛が「みなとが消えた次の日に、私が見つけたの」。 凛・湊
12 番号 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。壁の写真の下に、黒いマジックで手書きされた番号『No.01』から『No.12』。赤い糸でつながった顔写真が並ぶ中、『No.10』と『No.12』の上だけ写真が貼られておらず、壁のまま空いている。人物なし。発話なし。 — 写真が無いのは / No.10 と No.12
13 ナンバーテンは 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。画面左の外の壁の、写真の無い『No.10』を見つめて、小さく湊が「ナンバーテンは……俺か」。 湊
14 十二番 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に陽。陽は壁の端の、写真の無い『No.12』を指さして、軽い調子で陽が「じゃあ、十二番だけ、あいてんな」。 陽・湊

3. バツ(20 秒・背景: 湊の部屋)

白い昼の光の中で、赤い×だけが目を引く。凛の声は静かで、責めていない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 二つのバツ 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。壁の2枚の写真の寄り。画面左上に『No.11』の白衣の中年男性の顔写真、画面右下に『No.07』の凛の顔写真。どちらの写真にも、赤いマジックの大きな×。赤い糸が2枚をつないでいる。人物なし。発話なし。 — No.11  No.07
16 白衣と凛 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の壁の写真を見つめたまま、声を落として陽が「バツが二つ。白衣のおっさんと……りん?」。 陽
17 このバツ 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右に湊、画面左に壁の凛の写真と赤い×。右手に黒いスマホ。湊が左手の指先で×にそっと触れて、低い声で湊が「このバツ、なんだ」。 湊
18 あなたが付けた 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右手前に、壁に左手を当てた湊の肩と後頭部。奥の画面左に凛。凛は湊の背中をまっすぐ見て、静かに凛が「……そのバツ、あなたが付けたんだよ」。 凛・湊
19 タイトル 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。誰もいない6畳間の、壁一面の写真と赤い糸。窓からの白い光の中で、2つの赤い×だけが目を引く。人物なし。発話なし。 — 第5話 / 壁

第6話「学食」脚本

9:16 / 約 89 秒 / 22 カット。香盤表(動画「第6話「学食」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

昼の学食。列に並びながら、陽がゲームのルールを話す。期限の瞬間にいちばん金を持っている者の「十年後」が、この国の十年後になる。誰かを脱落させたら、その残高は全部、自分のもの。そこへ同じ大学の黒川が現れ、湊を「失踪した変人」と笑ってトレーをひっくり返す。湊はナギに頼む。「この学食、全メニュー、一生タダにしてくれ」。十億円。館内放送と歓声の中で、黒川だけが青ざめる。だが廊下に出た黒川の内ポケットにも、黒いスマホ『No.06』。「……見つけたぜ、ナンバーテン」。

この話の型

  • 掴み: 湊「で、あと六十時間で、何が決まるんだ」
  • 感情のピーク: 館内放送「永久に、無料となりました!」と歓声、青ざめる黒川
  • 引き: 黒川「……見つけたぜ、ナンバーテン」

1. ルール(32 秒・背景: 大学の学食)

昼どきのにぎやかな学食。トレーを持って列に並びながら、陽が軽い調子でとんでもないルールを話す。陽は画面左、湊は画面右。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 あと60時間 5 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。カウンターへ続く学生の列。画面左手前に、トレーを持った陽の横顔。画面右に、同じくトレーを持った湊。湊が前の陽に向かって、小声で湊が「で、あと六十時間で、何が決まるんだ」。 湊・陽 2日目 正午 / 残り 60時間
02 要するに 6 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。画面右手前に湊の肩とトレー、奥の画面左に陽。陽はトレーを片手で持ち、湊の方へ半分振り向いて、軽い調子で陽が「要するに、期限の瞬間に、一番金を持ってるやつの」。 陽・湊
03 十年後 5 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。トレーを片手に、にやりとして陽が「十年後が、この国の十年後になる」。 陽 期限の瞬間、一番持っている者の / 10年後が、この国の10年後に
04 もう一個 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。カウンターのおかずの前に、画面左に陽、画面右に湊が並ぶ。二人ともトレーを持っている。陽が湊の方へ人差し指を1本立てて、陽が「もう一個。誰かを脱落させたら」。 陽・湊
05 させたら? 3 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。トレーを持ったまま、眉を寄せて湊が「……させたら?」。 湊
06 自分のもの 5 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に陽。陽は味噌汁のお椀を載せたトレーを持ち、あっさりと陽が「そいつの残高は全部、自分のもの」。 陽・湊 脱落させた相手の残高は / 全部、自分のもの
07 殺し合え 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。にぎやかな学食の中で、湊だけが表情を固くして湊が「……殺し合えってことか」。 湊

2. トレー(40 秒・背景: 大学の学食)

長いテーブルのあいだの通路。黒川は画面左、湊は画面右。笑い声が、館内放送と歓声でひっくり返る。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 変人 5 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。長いテーブルのあいだの通路。画面右手前に、トレーを持った湊の肩と後頭部。奥の画面左に、取り巻きの男子学生2人を後ろに連れた黒川が立ちふさがり、周りに聞こえるように黒川が「おい、失踪した変人が帰ってきたぞ!」。 黒川・湊 黒川 / 同じ大学
09 デマ 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。黒川の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。後ろに取り巻きの男子学生2人。画面右の外の湊を見下ろし、鼻で笑って黒川が「戦闘機とか、どうせデマだろ」。 黒川
10 ひっくり返す 3 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。画面左の黒川が、画面右の湊の持つトレーの縁を、下から片手ではね上げる。唐揚げと味噌汁と食器が床に落ちる「ガシャン」。 黒川・湊
11 全メニュー 6 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。空になった両手の片方で黒いスマホを右耳に当て、画面左の外の黒川から目を離さずに湊が「ナギ。この学食、全メニュー、一生タダにしてくれ」。 湊
12 十億円 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。画面右手前に、黒いスマホを右耳に当てた湊の肩と横顔。奥の画面左に、腕を組んでにやにやしている黒川。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「承知しました。十億円です。」 湊・黒川 学食 全メニュー永久無料 / −10億円
13 館内放送 4 昼の学食の奥の厨房。ステンレスの調理台と湯気。白い調理服に三角巾の年配の調理の女性が、画面左寄りに立ち、館内放送のマイクを握って、弾んだ声で調理の女性が「ただいまより、当学食は全メニュー」。 —
14 永久に無料 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。長いテーブルの学生たちが、箸を止めて天井のスピーカーを見上げる。全員、口を閉じたまま。名前のある人物は映さない。 声「永久に、無料となりました!」 — 「全メニュー、永久に無料となりました!」
15 歓声 3 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。長いテーブルの学生たちが一斉に立ち上がり、両手を上げて歓声「ワーッ」。トレーを掲げる学生もいる。 —
16 青ざめる 3 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。立ち上がって喜ぶ学生たちの中で、画面左の黒川だけが青ざめて立ち尽くし、画面右の外の湊を見る。後ろの取り巻き2人からも笑いが消えている。発話なし。 黒川
17 八十九億 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。湊の胸から上、画面右寄り。背後で学生たちが喜んでいる。湊は黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて声を聞く。 ナギ「残高は、八十九億円です。」 湊 残高 89億円

3. 半分(7 秒・背景: 大学の学食)

歓声が遠のいた窓際のテーブル。凛は画面左に座り、湊は画面右に立つ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
18 人助け 4 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。窓際のテーブル。画面右手前に立つ湊の肩、奥の画面左に座った凛。凛が湊を見上げて、少しあきれた声で凛が「……人助けのつもりだった?」。 凛・湊
19 半分 3 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座る、にぎやかで明るい空間。湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。右手に黒いスマホ。凛から目をそらして、小さく湊が「……半分、仕返し」。 湊

4. No.06(10 秒・背景: 大学の廊下)

学食の歓声が扉の向こうに遠ざかる、薄暗い廊下。黒川が一人になる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
20 内ポケット 3 学食の外の、薄暗い大学の廊下。ジャケットの内ポケットから黒いスマホを取り出す、黒川の手元と胸元だけ。マットブラックに細い金の縁取り、背面に小さな金の刻印『No.06』。顔は入れない。発話なし。 黒川 No.06
21 見つけたぜ 4 学食の外の、薄暗い大学の廊下。黒川の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。黒いスマホを胸の前で握り、画面右の学食の扉の方を見て、口の端だけで笑って黒川が「……見つけたぜ、ナンバーテン」。 黒川
22 タイトル 3 学食の外の、薄暗い大学の廊下。誰もいない薄暗い廊下。奥の学食の扉の窓から、昼の明るい光が漏れている。人物なし。発話なし。 — 第6話 / 学食

第7話「執行」脚本

9:16 / 約 73 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第7話「執行」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夜、湊の部屋。三人で見ていたニュースが、秋田県の病院で救急医の男性が死亡しているのが見つかったと伝える。顔写真は、壁のNo.11と同じ顔。直後、湊と凛のスマホに同じ通知が届く。「ナンバーイレブンは失格となり、執行されました。残高は、ナンバーワンに移りました」。×の付いた人が消えるなら、次は凛。そこへ、湊のスマホだけに着信。No.01。「はじめまして、ナンバーテン。……いや。久しぶり、と言うべきかな」。

この話の型

  • 掴み: キャスター「今朝、秋田県の病院で、救急医の男性が」
  • 感情のピーク: 凛「……じゃあ次は、私の番だね」
  • 引き: No.01「……いや。久しぶり、と言うべきかな」

1. ニュース(22 秒・背景: 湊の部屋)

明かりを消した6畳間。テレビの青白い光だけが三人の顔を照らす。暗がりの壁に、写真と赤い糸。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 夜の部屋 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に置かれた小さなテレビの背面と青白い光。奥の画面左寄りに、畳に座ってテレビを見つめる凛と湊(凛が左、湊が右)。その後ろの暗がりの壁に、写真と赤い糸。発話なし。 湊・凛 2日目 午後7時 / 残り 53時間
02 秋田 6 テレビの報道スタジオ。青いセットと白い照明。紺のスーツの女性キャスターが画面左寄りの机につき、正面を向いて、落ち着いた声でキャスターが「今朝、秋田県の病院で、救急医の男性が」。 —
03 顔写真 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗い部屋の小さなテレビの画面の寄り。ニュースの画面いっぱいに、白衣の中年男性の顔写真。画面の青白い光。部屋の人物は映さない(テレビの中の顔写真だけ)。 キャスター「死亡しているのが、見つかりました。」 —
04 十一番 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩と後頭部、奥の画面左に陽。テレビの青白い光が陽の顔に当たる。画面左の外の暗い壁の写真を見つめて、かすれた声で陽が「この人……壁の、十一番じゃん」。 陽・湊
05 No.11 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗がりの壁の、白衣の中年男性の顔写真の寄り。写真に赤いマジックの大きな×、下に手書きの『No.11』。テレビの青白い光がちらつく。人物なし。発話なし。 — No.11

2. 通知(24 秒・背景: 湊の部屋)

畳の上の二台の黒いスマホが同時に震え、金色の光が暗い部屋を照らす。三人は黙って聞く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 二台 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上に並んで置かれた、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ2台。2台が同時に「ブーッ」と震え、画面が金色の波形の光で明るくなる。人物も手も映さない。 —
07 皆さまへ 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前に、畳の上で金色に光る黒いスマホ2台。その奥に、身を乗り出してスマホを見下ろす湊(画面右)と凛(画面左)の顔が、金色の光に下から照らされる。二人とも口を閉じたまま。 ナギ「保持者の皆さまへ。ナンバーイレブンは、失格となり、」 湊・凛
08 執行 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。下から金色の光。畳の上のスマホを見下ろしたまま、口を閉じて声を聞く。 ナギ「執行されました。残高は、ナンバーワンに移りました。」 湊 No.11 失格・執行 / 残高 → No.01
09 あと53時間 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽は画面左、壁ぎわに座って膝を抱え、畳の上の金色の光を見つめている。口を閉じたまま。 ナギ「期限まで、あと五十三時間です。」 陽 残り 53時間
10 殺されたってことかよ 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩と後頭部、奥の画面右に湊の顔。金色の光が消えかけた暗がりで、声を震わせて湊が「執行って……殺されたってことかよ」。 湊・凛

3. 次は(12 秒・背景: 湊の部屋)

湊が壁の前に立つ。二つ目の×は、すぐそばに座っている凛の写真の上にある。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 バツの人が 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左に暗い壁の写真と赤い糸、画面右に壁の前に立つ湊。右手の黒いスマホの金色の光で×の付いた写真を照らしながら、低い声で湊が「バツが付いてる人が、消えるのか」。 湊
12 私の番 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。暗がりで、画面右の外の壁の自分の写真を見つめて、静かに笑うように凛が「……じゃあ次は、私の番だね」。 凛
13 冗談 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。膝を抱えたまま顔を上げて、強い声で陽が「……冗談、言うなよ」。 陽

4. No.01(15 秒・背景: 湊の部屋)

沈黙を破る、湊のスマホ一台だけの着信。電話の向こうの年配の男の声は、低く、穏やか。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 着信 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上の、湊の黒いスマホ1台だけが「ブーッ」と震え、画面が金色の波形の光で明るくなる。隣の凛の黒いスマホは暗いまま。人物も手も映さない。 — 着信 No.01
15 はじめまして 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右、壁ぎわに立つ湊。黒いスマホを右耳に当て、画面の光が顔の片側を照らす。背後の暗がりに写真と赤い糸。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 湊「はじめまして、ナンバーテン。」 湊
16 久しぶり 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、息を止める。 湊「……いや。久しぶり、と言うべきかな。」 湊
17 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。誰もいない暗がりの壁。写真と赤い糸を、畳の上のスマホの金色の光がかすかに照らす。人物なし。発話なし。 — 第7話 / 執行

第8話「議長」脚本

9:16 / 約 80 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第8話「議長」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

電話の主はNo.01、議長。十年前にもこのスマホを持っていたと言う。三か月前、湊がこの国を一晩で動かしたことも知っている。止めようとする凛に、議長は凛の残高をほのめかす。「会おう。首相官邸だ。明日の正午、君のために空けておこう」。湊は相手の用意した場には乗らない。ナギに頼んだのは、首相官邸を明日一日、丸ごと貸し切ること。八億円。残高は八十一億円。「……持つ者の義務を、お忘れなく」。

この話の型

  • 掴み: 議長「十年前にも、このスマホを持っていた者だよ」
  • 感情のピーク: 湊「ナギ、首相官邸を丸ごと、明日いちにち、貸し切ってくれ」
  • 引き: ナギ「……持つ者の義務を、お忘れなく」

1. 声の主(26 秒・背景: 湊の部屋)

暗い6畳間と、永田町を見下ろす高層階の書斎を行き来する。湊は画面右で左を向き、議長は画面左で右を向く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 誰だ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は画面右、畳に片膝をつき、目の前の畳に置いた黒いスマホの金色の光を見下ろしている。低い声で湊が「……あんた、誰だ」。 湊 2日目 午後7時5分 / 残り 53時間
02 十年前にも 6 夜、永田町を見下ろす高層階の暗い書斎。窓の外にライトアップされた国会議事堂。議長は画面左、窓際に立ち、黒いスマホを右耳に当てている。画面右の窓の外に、ライトアップされた国会議事堂。顔をこちらに半分向けて、穏やかに議長が「十年前にも、このスマホを持っていた者だよ」。 議長 No.01 / 議長
03 前にも 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩と後頭部、奥の画面右に陽。陽が凛の方へ身を寄せ、口元を隠さずに、小声で陽が「十年前って……前にも、このゲームがあったのかよ」。 陽・凛
04 一晩で 6 夜、永田町を見下ろす高層階の暗い書斎。窓の外にライトアップされた国会議事堂。議長の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。黒いスマホを右耳に当て、窓の外の国会議事堂の光を背に、ゆっくりと議長が「三か月前、君はこの国を一晩で動かした」。 議長
05 覚えていない 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。畳の上のスマホの金色の光が下から顔を照らす。湊は口を閉じたまま声を聞き、奥歯をかみしめる。 議長(電話)「覚えていないのかね。」 湊

2. 凛くん(14 秒・背景: 湊の部屋)

凛が口を挟んだ瞬間、電話の向こうの声が凛の名前を呼ぶ。凛は画面左、湊は画面右。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 切って 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に凛。凛が畳の上のスマホの方へ身を乗り出し、湊を見て凛が「切って。その人の話、聞いちゃだめ」。 凛・湊
07 凛くんも 3 夜、永田町を見下ろす高層階の暗い書斎。窓の外にライトアップされた国会議事堂。議長の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口の端だけで笑って議長が「りんくんもそこか」。 議長
08 あといくら 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。畳の上のスマホの金色の光が下から顔を照らす。凛は口を閉じたまま声を聞き、顔をこわばらせる。 議長(電話)「ナンバーセブンの残高は、あといくら残っていたかな。」 凛

3. 官邸(29 秒・背景: 湊の部屋)

議長が場所と時刻を決める。湊は、その場所ごと借りることで答える。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
09 会おう 4 夜、永田町を見下ろす高層階の暗い書斎。窓の外にライトアップされた国会議事堂。議長は画面左、窓際に立ち、黒いスマホを右耳に当てたまま、画面右の窓の外の国会議事堂を見やって議長が「会おう。首相官邸だ」。 議長
10 明日の正午 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳に片膝をついた湊が画面右。目の前の畳の上で黒いスマホが金色に光る。湊は口を閉じたまま、スマホを見据えて声を聞く。声のあと、スマホの金色の光がふっと消える。 議長(電話)「明日の正午、君のために空けておこう。」 湊
11 行かない 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩、奥の画面右に湊。湊は光の消えた黒いスマホを右手に持ち、凛の方を見て、はっきりと湊が「向こうが用意した場所には、行かない」。 湊・凛
12 貸し切り 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の胸から上、画面右寄り、背後の暗い壁に写真と赤い糸。黒いスマホを胸の前に持ち、スピーカーに向かって、前を見据えて湊が「ナギ、首相官邸を丸ごと、明日いちにち、貸し切ってくれ」。 湊
13 八億円 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、胸の前に黒いスマホを持った湊の肩と金色の光。奥の画面左に、目を丸くする陽。二人とも口を閉じたまま。 ナギ「承知しました。八億円です。」 湊・陽 首相官邸 明日一日 / −8億円
14 総理の一日 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。目を丸くしたまま、あきれたように陽が「総理のいちにちって、八億なんだ……」。 陽

4. 義務(11 秒・背景: 湊の部屋)

スマホの金色の光だけが残る。落ち着いた声が、残高と、あの言葉を告げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 八十一億 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右の湊。胸の前の黒いスマホの金色の光が、顔を下から照らす。湊は口を閉じたまま、画面の光を見下ろして声を聞く。 ナギ「残高は、八十一億円です。」 湊 残高 81億円
16 持つ者の義務 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。背後の暗がりに写真と赤い糸。胸の前のスマホの光。湊は口を閉じたまま、目を細める。 ナギ「……持つ者の義務を、お忘れなく。」 湊
17 タイトル 3 夜、永田町を見下ろす高層階の暗い書斎。窓の外にライトアップされた国会議事堂。誰もいない書斎。窓際の黒い革の椅子と、窓の外にライトアップされた国会議事堂。人物なし。発話なし。 — 第8話 / 議長

第9話「No.11」脚本

9:16 / 約 80 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第9話「No.11」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夜11時。眠れない湊は、ナギに聞く。ナンバーイレブンは百億を何に使ったのか。ほかの保持者の明細の開示は一億円。残高は八十億円になる。明細は、救急車二百台、地方の病院への医師の派遣、閉まりかけた病院の借金。合わせて九十八億円。全部、人のためだった。それでも失格。十年後の最適に反していた。判定を求めたのは、ナンバーワン。「……義務を果たしたやつが、消されるのかよ」。

この話の型

  • 掴み: 湊「ナギ。ナンバーイレブンは、百億を何に使った」
  • 感情のピーク: ナギ「合わせて、九十八億円です」陽「……全部、人のためじゃん」
  • 引き: ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく」

1. 眠れない(24 秒・背景: 湊の部屋)

夜11時の真っ暗な6畳間。湊は写真の壁に背を預けて起きている。畳に置いた黒いスマホの金色の光だけ。湊は画面右、凛は画面左。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 あと49時間 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は画面右、写真の貼られた壁に背を預けて畳に座り、膝を立てている。右手の黒いスマホの金色の光を見つめて、小さく湊が「……あと、四十九時間」。 湊 2日目 午後11時 / 残り 49時間
02 何に使った 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は画面右、畳の上に置いた黒いスマホの金色の光の上に身をかがめている。部屋の奥で眠る2人を起こさないように、声を落として湊が「ナギ。ナンバーイレブンは、百億を何に使った」。 湊
03 一億円 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前に、畳の上で金色に光る黒いスマホ。奥の画面右に、身をかがめた湊の顔。湊は口を閉じたまま声を聞く。 ナギ「ほかの保持者の明細の開示には、一億円かかります。」 湊
04 払う 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。下からスマホの金色の光。迷わずに、短く湊が「払う」。 湊
05 八十億 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、身をかがめた湊の肩と後頭部。奥の画面左に、布団の上で身を起こしている凛。眠っていなかった目で、畳の上の金色の光を見ている。二人とも口を閉じたまま。 ナギ「承知しました。残高は、八十億円です。」 凛・湊 明細の開示 −1億円 / 残高 80億円

2. 明細(18 秒・背景: 湊の部屋)

ナギが淡々と読み上げる明細。壁の白衣の男の写真が、金色の光に浮かぶ。陽も起きてくる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 救急車 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗がりの壁の、白衣の中年男性の顔写真の寄り。赤いマジックの×と、下に手書きの『No.11』。畳の上のスマホの金色の光がかすかに届く。人物なし。 ナギ「救急車、二百台。地方の病院への、医師の派遣。」 — No.11 の明細 / 救急車 200台 / 地方の病院へ 医師の派遣
07 借金 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽は画面左、畳に寝転んだまま肘をついて顔を上げ、スマホの金色の光の方を見ている。口を閉じたまま聞く。 ナギ「閉まりかけた病院の、借金。」 陽 閉まりかけた病院の 借金
08 九十八億 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前に、畳の上で金色に光る黒いスマホ。その奥に、スマホを囲んで座る湊(画面右)と凛(画面左)の顔が、下から照らされる。二人とも口を閉じたまま聞く。 ナギ「合わせて、九十八億円です。」 湊・凛 計 98億円
09 人のため 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。畳の上に起き上がって座り、スマホの光を見つめて、ぽつりと陽が「……全部、人のためじゃん」。 陽

3. 最適(22 秒・背景: 湊の部屋)

答えは、理屈だけが通った落ち着いた声。湊は画面右、凛は画面左から、光るスマホをはさんで向き合う。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
10 なんで失格 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩と後頭部、奥の画面右に湊。湊は畳の上のスマホに向かって、押し殺した声で湊が「じゃあ、なんで失格なんだ」。 湊・凛
11 最適に反して 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。下からスマホの金色の光。湊は口を閉じたまま、声を聞いて眉を寄せる。 ナギ「十年後の最適に、反していました。」 湊
12 ナンバーワン 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上の、金色の波形の光を放つ黒いスマホの寄り。光が声に合わせて静かに脈打つ。人物も手も映さない。 ナギ「判定を求めたのは、ナンバーワンです。」 — 判定を求めたのは No.01
13 誰にとって 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩と後頭部、奥の画面左に凛。凛はスマホの光を見つめたまま、低い声で凛が「最適って、誰にとって」。 凛・湊
14 この国 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。下からスマホの金色の光。凛は口を閉じたまま声を聞き、目を伏せる。 ナギ「この国にとってです。」 凛

4. 義務(16 秒・背景: 湊の部屋)

湊が壁の白衣の男の写真を見上げる。落ち着いた声が、いつもの言葉で通話を閉じる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 果たしたやつが 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左に暗い壁の白衣の中年男性の写真と赤い×、画面右に写真を見上げて立つ湊。右手に黒いスマホ。怒りを押し殺した声で湊が「……義務を果たしたやつが、消されるのかよ」。 湊
16 ご利用 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。背後の暗がりに写真と赤い糸。湊は口を閉じたまま、写真を見上げて声を聞く。 ナギ「ご利用ありがとうございました。」 湊
17 お忘れなく 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上の黒いスマホの寄り。金色の波形の光が、ゆっくり消えていく。人物も手も映さない。 ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく。」 —
18 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。誰もいない暗がりの壁の、写真と赤い糸。窓からのかすかな街の光の中で、白衣の男の写真の赤い×だけが浮かぶ。人物なし。発話なし。 — 第9話 / No.11

第10話「官邸」脚本

9:16 / 約 70 秒 / 16 カット。香盤表(動画「第10話「官邸」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

3日目の正午。湊が八億円で一日借りた首相官邸から、首相が本当に出ていく。記者に問われた首相の答えは「……一日だけです」。玄関で三人を見学者扱いした職員を、秘書官が慌てて止める。「本日の、借り主の方です!」。廊下で浮かれる陽を、凛がたしなめる。あと三十六時間しかない。会議室の扉を開けると、議長がもう座っている。「俺が借りたんだぞ。なんで、あんたがいる」。議長は穏やかに笑う。「首相に頼まれてね」。

この話の型

  • 掴み: 記者「総理、官邸を一日明け渡すのは本当ですか!」首相「……一日だけです」
  • 感情のピーク: 秘書官「本日の、借り主の方です!」青ざめて頭を下げる職員の横を、湊と凛が通っていく
  • 引き: 議長「首相に頼まれてね。『今日一日、学生さんの相手をしてやってくれ』と」

1. 明け渡し(31 秒・背景: 首相官邸の正面)

晴れた正午の官邸。報道のざわめきとシャッター音。首相が自分の官邸から出ていく、ありえない光景を報道の目線で見せる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 正午の官邸 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面の上半分をガラスと石の建物が占め、前庭の車寄せに黒い公用車が1台停まっている。画面の下の手前に黄色い規制線のテープと、その外に並ぶ報道陣の後ろ姿とテレビカメラ。フラッシュがいくつも光る。発話なし。 — 3日目 正午 / 残り 36時間
02 記者 6 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面左手前、規制線のテープの前に、灰色のスーツの30代の男性記者。ボイスレコーダーを握った右手を画面右奥へ突き出し、身を乗り出して記者が「総理、官邸を一日明け渡すのは本当ですか!」。右奥の車寄せに、黒い公用車へ歩いていく濃紺のスーツの年配の男性の小さな後ろ姿。 —
03 一日だけです 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。黒い公用車の開いた後部ドアの前、画面右寄りに首相(60代の白髪まじりの男性、濃紺のスーツ)。車に乗りかけて足を止め、画面左の外の記者たちへ半分だけ振り返り、疲れた声で首相が「……一日だけです」。奥で黒いスーツの警護官が1人、ドアを押さえている。 —
04 出ていく総理 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。前庭の門の内側。画面右手前に陽の横顔、その奥に湊。画面左奥を、黒い公用車が門の外へ走り去っていく。陽は車を目で追い、あきれた声で陽が「本当に出てったよ、総理……」。湊は右手に黒いスマホを持ち、無言で車を見送る。 陽・湊
05 見学の方は 5 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。正面玄関のガラスの自動ドアの前。画面右手前に、玄関へ歩いてきた湊の肩と横顔。画面左に、紺のスーツに首から入館証を下げた20代の女性職員。職員は愛想よく右手で横の方を指し示して、職員が「見学の方は、あちらの入口から……」。 湊
06 借り主の方です 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。正面玄関の前。画面右に、首から入館証を下げた20代の女性職員。画面左から、眼鏡をかけた灰色のスーツの50代の男性秘書官が小走りで来て職員の前で止まり、片手を上げて慌てて秘書官が「本日の、借り主の方です!」。 —
07 青ざめる職員 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。正面玄関のガラスの自動ドアが左右に開いている。画面左手前で、女性職員と秘書官が並んで深く頭を下げ、職員の顔は青ざめている。その右奥を、湊と凛が画面右の開いたドアの中へ歩いて入っていく。発話なし。 湊・凛

2. 廊下(13 秒・背景: (登録なし))

官邸の中の長い廊下。石の床に高い窓の光が等間隔に落ちる。静かすぎて、足音だけが響く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 官邸の廊下 5 首相官邸の中の長い廊下。白っぽい石の床と木の壁、画面左側の高い窓から白い昼の光が等間隔に差し込む。画面左手前を陽が、天井を見上げながら歩いてくる。その右奥を、凛がまっすぐ前を見て歩いてくる。二人とも奥から手前へ進む。見上げたまま、浮ついた小声で陽が「俺、いま官邸の廊下歩いてる……」。 陽・凛
09 浮かれないで 3 首相官邸の中の長い廊下。白っぽい石の床と木の壁、高い窓からの白い昼の光。画面右寄りに歩く凛の横顔、画面左奥にぼけた陽。凛は前を向いたまま、目だけを陽に向けて、小さく凛が「浮かれないで」。 凛・陽
10 あと36時間 5 首相官邸の中の長い廊下。白っぽい石の床と木の壁、高い窓からの白い昼の光。画面右手前に凛、画面左奥に並んで歩く湊。凛は歩きながら前を見据えて、低い声で凛が「あと三十六時間しかないんだから」。湊は黒いスマホを握ったまま、前を見ている。 凛・湊

3. 会議室(26 秒・背景: 官邸の会議室)

白い昼の光の会議室。借りたはずの部屋に、先客がいる。窓を背にした議長は逆光ぎみで、表情が読みにくい。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 扉 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。部屋の奥から入口を見る。画面右寄りの重い木の両開きの扉が外から押し開けられ、湊が敷居を一歩またいで、ぴたりと足を止める。右手に黒いスマホ。湊の視線は画面左の奥、テーブルの先へ向いている。発話なし。 湊
12 やあ、ナンバーテン 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に、入口に立つ湊の肩と後ろ頭。長い楕円形のテーブルの奥、画面左の窓を背にした黒い革の椅子に、議長がすでに座っている。議長は両手を組んだまま、湊を見て穏やかに議長が「やあ、ナンバーテン」。 議長・湊 No.01 議長
13 なんで、あんたがいる 5 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面左手前に、座っている議長の肩の背中側。画面右奥の入口に湊が立つ。湊は議長をにらみ、低い声で湊が「俺が借りたんだぞ。なんで、あんたがいる」。 湊・議長
14 首相に頼まれてね 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。窓を背にした議長の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。組んだ手をほどき、椅子の背にもたれて、微笑んで議長が「首相に頼まれてね」。 議長
15 学生さんの相手 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。議長の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の湊を見上げ、首相の口ぶりをまねるように、ゆっくり議長が「『今日一日、学生さんの相手をしてやってくれ』と」。 議長
16 タイトル 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。長い楕円形の木のテーブルの手前の端に、誰も座っていない黒い革の椅子が1脚、少し引かれたまま置かれている。窓の白い光がテーブルに反射する。人物なし。発話なし。 — 第10話 / 官邸

第11話「取引」脚本

9:16 / 約 82 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第11話「取引」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

官邸の会議室。議長は湊を向かいの椅子に座らせ、告げる。期限まであと三十五時間。零時に実行されるのは、いちばん残高の多い者の十年後。議長の残高は、八百億。議長の十年後は「ナギに任せる国」だ。人が決める限り、この国は間違え続ける。そして議長は迫る。「零時に、一夜暴落の犯人として名乗り出なさい」。断ったら、と聞く湊に、議長は凛の残高を口にする。あと三億。最後に議長は、湊の座る椅子に目を落とす。「三か月前も、君はそこに座っていた」。

この話の型

  • 掴み: 議長「私の残高は、八百億だ」
  • 感情のピーク: 議長「零時に、一夜暴落の犯人として名乗り出なさい」湊「……断ったら」議長「凛くんの残高は、あと三億だったね」
  • 引き: 議長「その椅子。三か月前も、君はそこに座っていた」

1. 八百億(26 秒・背景: 官邸の会議室)

白い昼の光。議長は窓を背にして逆光ぎみで、表情が読みにくい。声は穏やかで、数字だけが重く置かれる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 座りたまえ 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。テーブルの奥、画面左の窓を背にした椅子に議長が座っている。画面右手前に、テーブルのそばに立ったままの湊の肩と後ろ頭。議長は向かいの空いた黒い革の椅子を手のひらで示して、静かに議長が「座りたまえ」。 議長・湊 3日目 午後0時30分 / 残り 35時間
02 向かいの椅子 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。テーブルの手前の側。画面右寄りで、湊が黒い革の椅子を引いて腰を下ろす。その右奥の隣の椅子には凛がすでに座り、トートバッグを膝に抱えている。二人とも画面左の奥を見ている。発話なし。 湊・凛
03 あと35時間 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。窓を背にした議長の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。テーブルの上で指を組み、画面右の外の湊を見て、ゆっくり議長が「あと三十五時間。零時に、十年後が実行される」。 議長
04 いちばん多い者 5 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に、椅子に座った湊の肩の背中側。画面左奥、テーブルの向こうに議長。議長は人差し指で軽くテーブルを叩いて、議長が「いちばん残高の多い者の、十年後だ」。 議長・湊
05 八百億 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。議長の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。表情を変えずに、静かに議長が「私の残高は、八百億だ」。 議長 No.01 議長 / 残高 800億円
06 八百億って 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。会議室の入口の扉の脇、画面右寄りに陽が壁を背にして立っている。目を丸くして、思わず小声で陽が「八百億って……」。 陽

2. 十年後(21 秒・背景: 官邸の会議室)

議長の理屈は静かで、筋が通って聞こえる。凛だけが、正面から言い返す。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
07 ナギに任せる国 5 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。窓を背にした議長の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。組んだ指をほどき、手のひらを軽く上に向けて、議長が「私の十年後は、ナギに任せる国だよ」。 議長
08 間違え続ける 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に、椅子に座った凛の肩の背中側。画面左奥に議長。議長は窓の外に目をやったまま、横顔で議長が「人が決める限り、この国は間違え続ける」。 議長・凛
09 誰が決めるの 4 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面左手前に、議長の肩の背中側。画面右奥に、椅子に座った凛。凛はトートバッグを抱えたまま議長をまっすぐ見て、はっきり凛が「人が決めないなら、誰が決めるの」。 凛・議長
10 あの声だ 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。議長の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の凛に微笑んで、やさしく言い聞かせるように議長が「ナギだよ。君たちが毎日話している、あの声だ」。 議長

3. 条件(23 秒・背景: 官邸の会議室)

取引の本題。議長は声の調子を変えないまま、脅しを置く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 名乗り出なさい 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。窓を背にした議長が、テーブルに両手をつき、わずかに身を乗り出している。画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の湊を見据えて、議長が「零時に、一夜暴落の犯人として名乗り出なさい」。 議長
12 国じゅうに 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に湊の横顔、画面左奥に議長。議長は穏やかな声のまま、湊の目を見て、議長が「人間がどれだけ間違えるか、国じゅうに見せてほしい」。湊は動かない。 議長・湊
13 断ったら 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。議長から目をそらさず、低く湊が「……断ったら」。 湊
14 あと三億 5 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に議長。議長は湊から目を外し、画面右の外へゆっくり視線を移して、議長が「りんくんの残高は、あと三億だったね」。 議長・湊 No.07 凛 / 残高 3億円
15 凛 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に湊の横顔、その奥の椅子に凛。凛は膝の上のトートバッグを両手で握りしめ、うつむく。湊が凛の方を振り向く。発話なし。 凛・湊

4. 椅子(12 秒・背景: 官邸の会議室)

話は終わったように見えて、議長は最後に一つだけ置いていく。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 その椅子 6 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。画面右手前に、椅子に座った湊の肩の背中側。画面左奥の議長は、湊の座る黒い革の椅子に目を落として、懐かしむように議長が「その椅子。三か月前も、君はそこに座っていた」。 議長・湊
17 ひじ掛け 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。黒い革の椅子に座る湊と、その前のテーブルの木目。湊は両手で椅子のひじ掛けを握りしめ、自分の座る椅子を見下ろす。発話なし。 湊
18 タイトル 3 首相官邸の中の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子、大きな窓からの白い昼の光。楕円形の木のテーブルの上に、水の入ったグラスが2つ。窓の薄いカーテンが白い光の中でわずかに揺れる。人物なし。発話なし。 — 第11話 / 取引

第12話「No.04」脚本

9:16 / 約 69 秒 / 16 カット。香盤表(動画「第12話「No.04」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

官邸を出た正面で、一人の男が待っている。公安の近藤。一夜暴落の件で話を聞かせてもらう、と言う。近藤がコートの内から出したのは、同じ黒いスマホ『No.04』。スマホが届いたのは暴落の四日前で、最初から湊を捕まえる役だったらしい。「エーアイが国を回すのは、別に構わない。……それでも、手錠をかけるのは人間だ」。湊は逃げずに両手を差し出し、手首で手錠が鳴る。

この話の型

  • 掴み: 近藤「朝倉湊。公安の近藤だ」
  • 感情のピーク: 近藤「……それでも、手錠をかけるのは人間だ」湊は逃げずに両手を差し出す
  • 引き: 手錠の音「カチャッ」。凛「湊!」

1. 正面(27 秒・背景: 首相官邸の正面)

晴れた午後1時の官邸の前庭。報道陣は引き上げ、がらんとしている。そこに一人だけ、待っていた男がいる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 官邸を出る 6 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。正面玄関のガラスの自動ドアから、陽と湊が歩いて出てくる。画面右手前に陽、その左奥に湊。湊はうつむき、右手に黒いスマホ。陽は湊の顔をのぞき込んで、陽が「あと三十五時間で名乗り出ろって、どうすんだよ」。 陽・湊 3日目 午後1時 / 残り 35時間
02 待っている男 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。前庭の車寄せの端。画面左に濃い灰色のセダンが1台停まり、そのボンネットに近藤が寄りかかっている。画面右の奥に官邸の玄関。近藤は体を起こし、玄関から出てくる誰かを見据える。発話なし。 近藤
03 公安の近藤 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面右手前に、足を止めた湊の肩と後ろ頭。画面左奥、セダンの前に立つ近藤が、湊をまっすぐ見て、低く乾いた声で近藤が「朝倉みなと。公安の近藤だ」。 近藤・湊
04 話を聞かせてもらう 6 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。近藤の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。背後にぼけた官邸のガラスの壁。近藤は表情を変えず、画面右の外の湊へ一歩近づいて、近藤が「一夜暴落の件で、話を聞かせてもらう」。 近藤
05 警察の? 3 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面右手前に陽、その奥に凛。陽は画面左の外の近藤を見て、半歩あとずさりしながら陽が「公安って……警察の?」。凛はトートバッグの持ち手を握りしめる。 陽・凛
06 国を守るほうの 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。近藤の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。目だけを画面右の外の陽へ動かして、淡々と近藤が「国を守るほうの、警察だ」。 近藤

2. No.04(19 秒・背景: 首相官邸の正面)

近藤がコートの内から出した、同じ黒いスマホ。追ってくる側も、同じゲームの中にいた。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
07 No.04 3 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。近藤の手元だけ。コートの内ポケットから、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホを抜き出し、背面をこちらへ向ける。背面の小さな金の刻印『No.04』が日差しに光る。顔は入れない。発話なし。 近藤
08 あんたも 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面左手前に、黒いスマホを持った近藤の肩と手の背中側。画面右奥に湊。湊は近藤の手のスマホを見つめ、自分の右手の黒いスマホを握りしめて、湊が「あんたも、保持者なのか」。 湊・近藤
09 暴落の四日前 6 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。近藤の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。右手の黒いスマホを胸より下で持ち、画面右の外の湊を見て、近藤が「ナンバーフォー。スマホが届いたのは、暴落の四日前だ」。 近藤 近藤 慎也(46) / 公安 No.04
10 捕まえる役 6 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面右手前に湊の横顔、画面左奥に近藤。近藤は黒いスマホをコートの内ポケットに戻しながら、自嘲するように近藤が「最初から、お前を捕まえる役だったらしい」。 近藤・湊

3. 手錠(23 秒・背景: 首相官邸の正面)

近藤の声は低く、変わらない。昼の光の中で、手錠の金属の音だけが大きく響く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 別に構わない 5 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。近藤の胸から上、画面左寄り、背後にぼけた官邸のガラスの壁。近藤は画面右の外の湊を見たまま、右手をコートの腰の後ろへ回して、近藤が「エーアイが国を回すのは、別に構わない」。 近藤
12 それでも 5 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面左に近藤の横顔、画面右奥に湊。近藤は銀色の手錠を1つ胸の前に持ち、湊を見据えて、近藤が「……それでも、手錠をかけるのは人間だ」。 近藤・湊
13 差し出す 4 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面左手前に、手錠を持つ近藤の肩と手の背中側。画面右奥に湊。黒いスマホはパーカーのポケットにしまってある。湊は近藤を見たまま、両手首を静かに前へ差し出す。発話なし。 湊・近藤
14 手錠 3 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。湊の両手首と、近藤の手元だけ。差し出された湊の手首に、銀色の手錠の輪が「カチャッ」と掛かる。顔は入れない。 湊・近藤
15 みなと! 3 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。画面右手前に凛の横顔。画面左奥で、手錠を掛けられた湊が、濃い灰色のセダンの後部座席へ乗せられていく。凛は画面左奥へ一歩踏み出し、叫んで凛が「みなと!」。 凛・湊
16 タイトル 3 晴れた昼、首相官邸の正面。ガラスと石の建物と広い前庭。官邸の前庭から、濃い灰色のセダンが1台、門の外へ走り去っていく。前庭には誰もいない。人物なし。発話なし。 — 第12話 / No.04

第13話「取調室」脚本

9:16 / 約 75 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第13話「取調室」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

警察の取調室。近藤がノートパソコンで防犯カメラの映像を見せる。三か月前の夜、ワシントン。暗い部屋の端末の前に座る、フードの若い男。円を売る最初の注文を出したのは、この男だ。「……俺だ」。覚えていなくても、やったことは消えない。近藤は本音を話す。ナギが国を回しはじめたら、こういう事件に犯人はいなくなる。だから、その前に人間の犯人が要る。近藤は湊を帰す。泳がせる、お前に金を出したやつを連れてこい、と。湊が出ていったあと、近藤は自分の黒いスマホに言う。「ナギ。今の映像、もう一人に渡しておいてくれ」。

この話の型

  • 掴み: 近藤「円を売る最初の注文を出したのは、この男だ」湊「……俺だ」
  • 感情のピーク: 近藤「エーアイは、捕まらないからな」「だから、その前に人間の犯人が要る」
  • 引き: 近藤「ナギ。今の映像、もう一人に渡しておいてくれ」ナギ「承知しました」

1. 映像(21 秒・背景: 取調室)

蛍光灯の白い光。窓は高く小さい。逃げ場のない部屋で、ノートパソコンの光だけが動く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 取調室 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。スチールの机をはさんで、画面左に近藤、画面右に湊が向かい合って座る。湊の手首に手錠はない。机の上のノートパソコンは開いて、画面を湊の方へ向けてある。近藤がノートパソコンを指で押しやって、近藤が「防犯カメラの映像だ」。 近藤・湊 3日目 午後3時 / 残り 33時間
02 3か月前の夜 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。近藤の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。机に両肘をつき、画面右の外の湊を見て、低く近藤が「三か月前の夜、ワシントン」。 近藤
03 フードの男 4 ノートパソコンの画面いっぱいに、防犯カメラの粗い白黒の映像。天井の隅から見下ろした暗い部屋で、フードをかぶった若い男が一人、端末の前に座っている。端末の画面はぼやけた白い光だけ。男がふと顔を上げ、光に照らされたフードの下の顔は、湊。発話なし。 湊 3か月前の夜 / ワシントン
04 この男だ 6 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面右手前に、ノートパソコンを見つめる湊の肩と横顔。画面左奥の近藤が、ノートパソコンの縁を指先で軽く叩いて、近藤が「円を売る最初の注文を出したのは、この男だ」。 近藤・湊
05 俺だ 3 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。ノートパソコンの白い光が顔を下から照らす。画面を見つめたまま、かすれた声で湊が「……俺だ」。 湊

2. 犯人(29 秒・背景: 取調室)

近藤は声を荒げない。取り調べは、いつのまにか本音の話になっていく。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 覚えてない 3 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面左手前に近藤の肩の背中側、画面右奥に湊。湊は顔を上げて近藤を見て、首を小さく横に振り、湊が「覚えてない」。 湊・近藤
07 消えない 5 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に近藤。近藤は表情を変えずに、ノートパソコンを静かに閉じて、近藤が「覚えてなくても、やったことは消えない」。 近藤・湊
08 ナギが国を 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。近藤は椅子の背にもたれ、画面左寄り、右に空き。天井の蛍光灯を見上げたまま、近藤が「ナギが国を回しはじめたら」。 近藤
09 犯人はいなくなる 5 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。近藤の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の湊に目を戻して、淡々と近藤が「こういう事件に、犯人はいなくなる」。 近藤
10 捕まらない 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。近藤は画面左の壁の、格子の入った高い小窓の下に立っている。灰色の壁を背に、横顔のまま小窓を見上げて、近藤が「エーアイは、捕まらないからな」。 近藤
11 人間の犯人 5 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面左手前に、小窓の下に立つ近藤。画面右奥に、椅子に座ったままの湊。近藤は振り返って湊を見下ろし、近藤が「だから、その前に人間の犯人が要る」。 近藤・湊
12 それが、俺か 3 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り。椅子に座ったまま、画面左上の外の近藤を見上げて、小さく湊が「……それが、俺か」。 湊

3. 泳がせる(13 秒・背景: 取調室)

取り調べは終わり、近藤はドアを開ける。帰すのではなく、泳がせる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
13 帰っていい 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面左の灰色のドアの前に近藤が立ち、ドアノブに手をかけている。画面右奥の椅子に湊。近藤はドアを内側へ開けて、あっさりと近藤が「帰っていい。泳がせる」。 近藤・湊
14 連れてこい 5 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。開いたドアの脇に立つ近藤の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の湊をまっすぐ見て、近藤が「お前に金を出したやつを、連れてこい」。 近藤
15 出ていく 4 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。画面左手前に、開いたドアの脇に立つ近藤の肩の背中側。湊が画面右から歩いてきて、近藤の前を通り、開いたドアから廊下へ出ていく。最後は湊の姿が見えなくなり、ドアが開いたまま。発話なし。 湊・近藤

4. もう一人(12 秒・背景: 取調室)

一人になった取調室。近藤は誰にも見せない顔で、黒いスマホに話しかける。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 もう一人に 6 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。誰もいなくなった取調室。近藤は机の端に腰を預けて画面左寄りに立ち、最初から黒いスマホを右耳に当てている。机の上の閉じたノートパソコンを見下ろして、低く近藤が「ナギ。今の映像、もう一人に渡しておいてくれ」。 近藤
17 承知しました 3 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。近藤の横顔の寄り、画面左寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの声を聞き、目を細める。 ナギ「承知しました。」 近藤
18 タイトル 3 警察の取調室。灰色の壁、スチールの机、蛍光灯の白い光。スチールの机の上の閉じたノートパソコンと、空の椅子2脚。蛍光灯が一度だけ小さくまたたく。人物なし。発話なし。 — 第13話 / 取調室

第14話「履歴」脚本

9:16 / 約 80 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第14話「履歴」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夕方、湊の部屋。他人の口からではなく、自分で聞く。湊はちゃぶ台に置いた黒いスマホに、三か月前の自分の履歴を頼む。値段は一億円、残高は七十九億円。ナギが読み上げる。九十八日前、首相官邸でナンバーワンと面会。九十六日前の午前四時、ワシントンで円を売る注文。六つの名義で、合わせて三十億円。金はナンバーワンの残高から出ていた。「俺は……議長の、手だったのか」。そのあとの履歴は、本人の依頼で消去されていた。

この話の型

  • 掴み: 湊「ナギ。三か月前、俺が何をしたか教えてくれ」
  • 感情のピーク: ナギ「六つの名義で、合わせて三十億円」湊「六つ……あのパスポートか」
  • 引き: 湊「俺は……議長の、手だったのか」ナギ「そのあとの履歴は、ご本人のご依頼で消去されています」

1. 一億円(33 秒・背景: 湊の部屋)

夕暮れの部屋。壁の写真と赤い糸が橙色に沈んでいく。ちゃぶ台の上の黒いスマホだけが光っている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 夕方の部屋 4 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日が差し、電灯はまだ点けていない。画面の上半分を、人物の写真と赤い糸で埋まった壁が占める。画面右下に、低いちゃぶ台の前であぐらをかく湊。ちゃぶ台の上に黒いスマホが1台、画面を上にして置かれている。湊はスマホを見下ろしている。発話なし。 湊 3日目 午後6時 / 残り 30時間
02 本当に聞くの 3 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日、壁一面に人物の写真と赤い糸。ちゃぶ台をはさんで、画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に凛。凛は湊の顔をうかがい、静かに凛が「本当に、聞くの?」。 凛・湊
03 自分で聞く 5 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日、壁一面に人物の写真と赤い糸。画面左手前に凛の肩の背中側、画面右奥に湊。湊はスマホから目を上げて凛を見て、はっきり湊が「他人の口からじゃなくて、自分で聞く」。 湊・凛
04 教えてくれ 6 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。湊はちゃぶ台の上の黒いスマホを見下ろし、スマホに向かって湊が「ナギ。三か月前、俺が何をしたか教えてくれ」。 湊
05 一億円かかります 6 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日。ちゃぶ台の上の黒いスマホが金色の波形の光を放つ。画面右手前に湊、画面左奥に凛。二人ともスマホを見下ろし、口を閉じたまま声を聞く。 ナギ「ご自身の履歴の開示には、一億円かかります。」 湊・凛 ナギ
06 払う 3 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。迷わずに、短く湊が「払う」。 湊
07 残高79億円 6 夕方の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から弱い橙色の夕日。人物の写真と赤い糸の壁の前、画面左寄りに陽が壁にもたれて座り、ちゃぶ台の方を見ている。陽は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞き、小さく息をのむ。 ナギ「承知しました。残高は、七十九億円です。」 陽 自分の履歴の開示 −1億円 / 残高 79億円

2. 履歴(26 秒・背景: 湊の部屋)

日が落ちて、部屋が青く暗くなっていく。ナギの声が、湊の知らない三か月前を淡々と読み上げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 98日前 6 日が落ちかけた湊の部屋。窓の外は青い夕闇、部屋は暗く、ちゃぶ台の上の黒いスマホの金色の光だけ。画面左上に、壁に貼られた年配の男の写真と、その下の小さな紙片『No.01』。赤い糸がそこから何本も伸びている。画面右下に、壁を見上げる湊の横顔。湊は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞く。 ナギ「九十八日前、首相官邸。ナンバーワンと面会。」 湊 98日前 / 首相官邸で No.01 と面会
09 議長 3 日が落ちかけた湊の部屋。窓の外は青い夕闇、部屋は暗い。壁の前に座る陽の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。スマホの金色の光が顔を下から照らす。目を見開いて、小さく陽が「議長……」。 陽
10 午前4時 5 日が落ちかけた湊の部屋。窓の外は青い夕闇、部屋は暗い。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。スマホの金色の光が顔を下から照らす。湊は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞き、まばたきを止める。 ナギ「九十六日前、午前四時。ワシントン。」 湊 96日前 午前4時 / ワシントン
11 円を売る注文 3 日が落ちかけた湊の部屋。窓の外は青い夕闇、部屋は暗い。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に凛。凛は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞き、湊の横顔へ目を向ける。 ナギ「円を売る注文。」 凛・湊
12 六つの名義 5 日が落ちかけた湊の部屋の、暗いちゃぶ台の上。置かれた黒いスマホの寄り。画面が金色の波形の光で、声に合わせて脈打つ。人物も手も映さない。 ナギ「六つの名義で、合わせて三十億円。」 — 6つの名義 / 合計 30億円
13 あのパスポート 4 日が落ちかけた湊の部屋。窓の外は青い夕闇、部屋は暗い。湊の顔、画面右寄り、左に視線の空き。湊は何かに思い当たって顔を上げ、かすれた声で湊が「六つ……あのパスポートか」。 湊

3. 手(21 秒・背景: 湊の部屋)

部屋はもう暗い。答えが一つ返るたびに、湊は議長の側へ寄せられていく。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 誰の金だ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩の背中側、画面右奥に湊。湊はちゃぶ台の上のスマホをにらみ、低く湊が「その三十億は、誰の金だ」。 湊・凛
15 ナンバーワンの残高 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の横顔、画面左奥の壁の前に陽。二人とも口を閉じたまま、ちゃぶ台に置かれたスマホから聞こえる声を聞く。陽がゆっくり湊の方を見る。 ナギ「ナンバーワンの残高からです。」 湊・陽
16 議長の手 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。胸の前で開いた自分の右手のひらを見下ろし、震える声で湊が「俺は……議長の、手だったのか」。 湊
17 消去されています 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右下に、ちゃぶ台の前でうなだれる湊が小さく、画面の上と左を写真と赤い糸の壁が大きく占める。湊は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞く。 ナギ「そのあとの履歴は、ご本人のご依頼で消去されています。」 湊
18 タイトル 3 夜の暗い部屋、ちゃぶ台の上に置かれた黒いスマホ。金色の波形の光がゆっくり消えていき、画面が暗くなる。人物も手も映さない。発話なし。 — 第14話 / 履歴

第15話「炎上」脚本

9:16 / 約 69 秒 / 16 カット。香盤表(動画「第15話「炎上」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夜9時、黒川の生配信。「今夜は、一夜暴落の犯人を見つけました」。モニターに映るのは、取調室で近藤が見せた防犯カメラの映像と、湊の顔写真。「こいつ、うちの大学の一年。朝倉湊」。湊の部屋では、三人が陽のスマホで配信を見ている。再生は三百万回、アパートの前に人が集まりはじめる。黒川は黒いスマホを掲げて、カメラに向かって言う。「ナンバーテン、見てるか。逃げんなよ」。黒川もまた、保持者だった。

この話の型

  • 掴み: 黒川「今夜は、一夜暴落の犯人を見つけました」
  • 感情のピーク: 陽「再生、三百万……」「外、人が集まってる」
  • 引き: 黒川「ナンバーテン、見てるか。逃げんなよ」凛「あいつも、保持者……」

1. 配信(25 秒・背景: 黒川の配信部屋)

紫とピンクのネオン。黒川はカメラに向かって、楽しそうに人を裁く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 どうも、黒川です 4 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川はゲーミングチェアに座り、画面右寄り。背後の左にモニター2枚の光。アームのマイクに顔を寄せ、レンズをまっすぐ見て、にやりと笑って黒川が「どうも、黒川です」。 黒川 3日目 午後9時 / 残り 27時間
02 犯人を見つけました 6 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。レンズに向かって身を乗り出し、声をひそめて黒川が「今夜は、一夜暴落の犯人を見つけました」。 黒川
03 防犯カメラの映像 4 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。画面右手前に黒川の肩と後ろ頭。画面左奥の机のモニターに、粗い白黒の防犯カメラの映像がぼやけて映る。暗い部屋で端末の前に座る、フードをかぶった若い男の後ろ姿が一人。黒川はモニターを見ている。発話なし。 黒川
04 朝倉みなと 6 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川は画面右寄り。背後の左のモニターに、ぼやけた若い男の顔写真。黒川は親指で後ろのモニターを指し、レンズを見て黒川が「こいつ、うちの大学の一年。朝倉みなと」。 黒川 朝倉 湊(18)
05 戦闘機 5 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。片方の眉を上げ、あざ笑うように黒川が「戦闘機で帰ってきたの、こいつです」。 黒川

2. 映像(23 秒・背景: 湊の部屋)

夜の湊の部屋。明かりを消し、陽のスマホの光だけ。窓の外が、少しずつざわつきはじめる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 見ている二人 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に陽の横顔と、陽が胸の前で横向きに持つ白いケースのふつうのスマホ。スマホの画面は紫とピンクのぼやけた光。画面右奥から湊がのぞき込む。二人とも口を閉じたまま、画面を見つめる。発話なし。 陽・湊
07 取調室の映像 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の顔、画面左奥に凛。スマホの紫の光が湊の顔に当たる。湊は画面左下の外のスマホを見つめたまま、低く湊が「取調室で見せられた映像だ」。 湊・凛
08 あの刑事が 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に凛。凛は眉を寄せて湊を見て、小声で凛が「あの刑事が、流したの?」。 凛・湊
09 再生300万 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。白いケースのスマホの光が顔を下から照らす。画面を見つめたまま目を見開いて、陽が「再生、三百万……」。 陽 再生 300万回
10 外 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。窓際、画面左寄りに陽。左手でカーテンを少しだけ開けて外を見下ろし、声をひそめて陽が「外、人が集まってる」。窓の外から白い光がいくつも顔に当たる。 陽
11 アパートの前 4 夜の住宅街の細い路地、古い木造アパートの前。街灯の下に若い男女がちょうど12人集まり、何人かがスマホを掲げてアパートの2階の窓へ向けている。スマホの白い光が点々と並ぶ。発話なし。 —

3. 逃げんなよ(21 秒・背景: 黒川の配信部屋)

黒川は笑いを消して、カメラの向こうのたった一人に話しかける。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 明日の朝には 6 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川は椅子の背にもたれ、画面右寄り。背後の左にモニターの光。レンズを見て、楽しげに黒川が「明日の朝には、日本じゅうがこいつの顔を知ってる」。 黒川
13 逃げんなよ 5 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。笑いを消し、胸の高さにマットブラックの黒いスマホを掲げて、レンズをまっすぐ見て黒川が「ナンバーテン、見てるか。逃げんなよ」。 黒川
14 あいつも 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に凛。凛はスマホの紫の光を見つめたまま、息をのんで凛が「あいつも、保持者……」。 凛・湊
15 湊 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。紫の光が顔の片側に当たる。湊は画面左下の外のスマホを見つめたまま、右手の黒いスマホを握りしめる。発話なし。 湊
16 タイトル 3 夜の古い木造アパートの2階の窓を、下の路地から見上げる。カーテンの隙間から青白い光が漏れ、窓へ向けられたスマホの白い光がいくつも、画面の下から当たる。人物なし。発話なし。 — 第15話 / 炎上

第16話「六十五円」脚本

9:16 / 約 73 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第16話「六十五円」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

夜11時。アパートの前の人だかりは増えつづける。陽は「否定しろ」と言い、凛は、あと二十五時間黙っていればいいと言う。湊はナギに頼んで黒川の配信に電話をつなぎ、名乗って認める。「覚えてない。でも、俺がやった。逃げません」。なぜ言ったのかと問う凛に、湊は答える。「百億もらった俺が逃げたら、誰が責任取るんだよ」。そして、暴落で減った分を自分の残高で返せるか、ナギに聞く。七十九億円を国じゅうで割ると、ひとり六十五円。

この話の型

  • 掴み: 陽「否定しろ。記憶がないのは本当だろ」
  • 感情のピーク: 湊(黒川の配信に電話で)「覚えてない。でも、俺がやった」「逃げません」
  • 引き: ナギ「ひとり、六十五円です」湊「……六十五円」

1. 否定しろ(21 秒・背景: 湊の部屋)

夜の部屋。カーテン越しに、外の人だかりのざわめきとスマホの白い光が揺れる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 否定しろ 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。カーテンの隙間から、外のスマホの白い光がちらつく。画面右手前に、壁の前に座り込んだ湊の肩の背中側。画面左奥に、片膝をついて湊に詰め寄る陽。陽は必死の顔で、陽が「否定しろ。記憶がないのは本当だろ」。 陽・湊 3日目 午後11時 / 残り 25時間
02 黙ってればいい 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。ちゃぶ台の前に座る凛、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の湊を見て、静かに凛が「あと二十五時間、黙ってればいいの」。 凛
03 つないでくれ 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。湊は黒いスマホを右耳に当て、二人を見ずに、静かに湊が「ナギ。黒川の配信に、つないでくれ」。 湊
04 おい 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に陽の横顔、画面右奥に、黒いスマホを右耳に当てた湊。陽は湊の腕へ手を伸ばして、陽が「おい、みなと!」。 陽・湊
05 おつなぎします 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の横顔、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの声を聞き、一度だけ目を閉じる。 ナギ「おつなぎします。」 湊

2. 認める(22 秒・背景: 黒川の配信部屋)

配信部屋のネオンと、暗い六畳間。二つの場所を、一本の電話がつなぐ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 ナンバーテンから 4 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川は画面右寄りでマイクの前に座り、右手に光る黒いスマホを持っている。スマホを見て目を丸くし、レンズへ向き直って黒川が「おっと……ナンバーテンから、電話です」。 黒川
07 朝倉みなとです 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は写真と赤い糸の壁の前に立ち、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、背筋を伸ばして湊が「朝倉みなとです」。 湊
08 円を売ったのは 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、座って見上げる凛の横顔。画面右奥に、スマホを右耳に当てて立つ湊。湊はまっすぐ前を見て、はっきり湊が「ワシントンで円を売ったのは、俺です」。 湊・凛
09 俺がやった 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。スマホを右耳に当てたまま、声を震わせずに湊が「覚えてない。でも、俺がやった」。 湊
10 逃げません 3 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川は画面右寄り。マイクの横に置いた黒いスマホを見つめたまま、口を閉じて、スピーカーから聞こえる声を聞く。顔から笑いが消える。 黒川(配信)「逃げません。」 黒川
11 認めんの? 3 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。口を半開きにしたまま、思わずマイクに向かって黒川が「……は? 認めんの?」。 黒川

3. 責任(9 秒・背景: 湊の部屋)

電話を切った部屋。外のざわめきが大きくなる。凛だけが、まっすぐ湊を見ている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 なんで言ったの 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩の背中側、画面左奥に、立ち上がった凛。凛は湊をまっすぐ見て、声を抑えて凛が「なんで言ったの」。 凛・湊
13 誰が責任取る 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に凛の肩の背中側、画面右奥に湊。湊は右手の黒いスマホを腰の高さに下ろしたまま、凛の目を見て湊が「百億もらった俺が逃げたら、誰が責任取るんだよ」。 湊・凛

4. 六十五円(21 秒・背景: 湊の部屋)

ちゃぶ台の上の黒いスマホの金色の光。返せる額が、あまりに小さく聞こえる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 返せるか 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊はちゃぶ台の前に座り、画面右寄り、左に空き。ちゃぶ台の上に置いた黒いスマホを見下ろして、湊が「ナギ。暴落で減った分、俺の残高で返せるか」。 湊
15 国じゅうで割ると 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。ちゃぶ台の上の黒いスマホが金色の波形の光を放つ。画面左手前に凛、画面左奥に陽。二人ともスマホを見つめ、口を閉じたまま声を聞く。 ナギ「七十九億円を、国じゅうで割ると。」 凛・陽
16 ひとり65円 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。スマホの金色の光が顔を下から照らす。湊は口を閉じたまま、置かれたスマホから聞こえる声を聞き、ゆっくり目を伏せる。 ナギ「ひとり、六十五円です。」 湊 79億円を国じゅうで割ると / ひとり 65円
17 六十五円 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔と、ちゃぶ台に置いた両手。画面右寄り。自分の手を見下ろして、かすれた声で湊が「……六十五円」。 湊
18 タイトル 3 夜の暗い部屋、ちゃぶ台の上。黒いスマホの横に、五十円玉が1枚、十円玉が1枚、五円玉が1枚、並べて置かれている。スマホの金色の光が硬貨を照らす。人物も手も映さない。発話なし。 — 第16話 / 六十五円

第17話「No.12」脚本

9:16 / 約 85 秒 / 21 カット。香盤表(動画「第17話「No.12」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午前2時。湊が目を覚ますと、隣の陽の布団が空になっている。陽から電話。「数えてみろ。お前のまわりの保持者」。凛、黒川、公安の近藤、そして陽自身。壁の十二番が空いていたのは、湊が親友の写真だけ貼らなかったから。「俺がいなきゃ、俺は人質にならない」。通話が切れる。ナギ「ナンバートゥエルブの居場所の開示には、百億円かかります」。

この話の型

  • 掴み: 午前2時、隣の布団が空。湊「……よう?」
  • 感情のピーク: 陽「お前、俺の写真だけ貼らなかったんだよ」
  • 引き: ナギ「ナンバートゥエルブの居場所の開示には、百億円かかります」

1. 空の布団(15 秒・背景: 湊の部屋)

午前2時の暗い6畳間。明かりは消え、窓の外の街灯とスマホの青白い光だけ。音のない部屋。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 目を覚ます 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳に敷いた布団の上、画面右下で湊が目を開け、ゆっくり上半身を起こす。枕元に黒いスマホ。発話なし。 湊 4日目 午前2時 / 残り 22時間
02 空の布団 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、掛け布団がめくれたままの、誰もいない布団。奥の画面右で、上半身を起こした湊がその布団を見て、小さな声で湊が「……よう?」。 湊
03 着信 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上、枕元に置かれたマットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。スマホが「ブーッ」と一度震え、画面が金色の波形の光で明るくなって暗い畳を照らす。人物も手も映さない。 —
04 どこにいる 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は布団の上の画面右に座り、黒いスマホを右耳に当てている。画面の光が顔の片側を照らす。声をひそめて湊が「よう、どこにいるんだ」。 湊

2. 数えろ(23 秒・背景: 湊の部屋)

電話の向こうの陽の声は、いつもの明るさがなく低い。湊は暗い部屋で聞くだけ。壁の写真が暗がりに浮かぶ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
05 あと二十二時間 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右に湊の横顔と、右耳に当てた黒いスマホ。左奥の暗がりに写真の壁。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 陽(電話)「どこかは言わない。……あと二十二時間だな。」 湊
06 数えてみろ 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、目だけを画面左の暗い壁へ向ける。 陽(電話)「みなと。数えてみろ。お前のまわりの保持者。」 湊
07 三人 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗い壁に、赤い糸でつながった人物の写真。窓の外の街灯の青白い光に、若い女性の写真(札に No.07、赤いテープの×)、若い男の写真(札に No.06)、白髪まじりの短髪の中年男性の写真(札に No.04)が順に浮かぶ。人物は写真の中だけ。 声「りん、黒川、公安のおっさん。」 — No.07 凛 / No.06 黒川 / No.04 近藤
08 四人 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、息を止めて目を見開く。 陽(電話)「……四人だ。俺も入れて。」 湊 + No.12 陽
09 ようも? 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。布団の上の画面右に座る湊。黒いスマホを右耳に当てたまま、かすれた声で湊が「……ようも?」。 湊

3. 十二番(18 秒・背景: 湊の部屋)

写真の無い札がある壁。親友の声だけが、三か月前の湊を知っている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
10 壁の十二番 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊は写真の壁の前に立ち、画面右手前に湊の肩と、右耳に当てた黒いスマホ。奥の壁一面に写真と赤い糸、No.12 の札の下には写真が無い。湊は口を閉じたまま、その空白を見る。 陽(電話)「壁の十二番、空いてたろ。」 湊
11 貼らなかった写真 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。壁の白い札『No.12』と、その下の写真の無い空白だけ。赤い糸が一本、画びょうで止まって空白の手前で終わっている。人物も手も映さない。 声「お前、俺の写真だけ貼らなかったんだよ。」 —
12 偶然 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。壁の前に立つ湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、空白の札から目をそらす。 陽(電話)「偶然なわけない。」 湊
13 置かれた 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗い6畳間の全体。写真の壁が画面の左半分を占め、湊は画面右下に小さく、スマホを右耳に当てて壁の前に立ちつくしている。湊は口を閉じたまま動かない。 陽(電話)「俺たち、お前を動かすために、まわりに置かれたんだ。」 湊

4. 消える(29 秒・背景: 湊の部屋)

陽の声が遠くなる。通話が切れたあとの静けさと、ナギの淡々とした値段。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 人質 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、眉を寄せる。 陽(電話)「俺がいなきゃ、俺は人質にならない。」 湊
15 消えるわ 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面右に立つ湊。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、はっと顔を上げる。 陽(電話)「……ちょっと、消えるわ。」 湊
16 よう! 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前の画面右に立つ湊。黒いスマホを右耳に当てたまま、身を乗り出して強く湊が「よう!」。 湊
17 切れる 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面右に小さく立つ湊。耳に当てた黒いスマホから「ブツッ」と通話の切れる音。湊はスマホを耳に当てたまま動かない。発話なし。 湊
18 居場所を 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、低い声で湊が「ナギ、ようの居場所を」。 湊
19 開示には 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に湊の肩と右耳の黒いスマホ、奥に写真の壁と、写真の無い No.12 の札。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「ナンバートゥエルブの居場所の開示には、」 湊
20 百億円 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、目を閉じる。 ナギ「百億円かかります。」 湊 No.12 の居場所の開示 / 100億円
21 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。掛け布団がめくれたままの、誰もいない布団。枕のくぼみに、窓の外の街灯の青白い光が落ちている。人物なし。発話なし。 — 第17話 / No.12

第18話「九十七億」脚本

9:16 / 約 73 秒 / 16 カット。香盤表(動画「第18話「九十七億」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午前7時。陽からの連絡はない。凛が自分の黒いスマホを座卓に置き、ナギに明細を読ませる。「朝倉湊さまの捜索。九十七億円。残高は、三億円です」。凛は三か月、湊一人を探すのに百億のほとんどを使っていた。そしてナギが告げる。凛は今夜0時に失格になる。頼んだのはナンバーワン。取り消しには百億円。湊の残高は、七十九億円しかない。

この話の型

  • 掴み: 凛「ナギ。私の明細、読んで」
  • 感情のピーク: 凛「あなた一人に全部使ったの。笑っていいよ」
  • 引き: 湊「……七十九億しかない」

1. 朝(14 秒・背景: 湊の部屋)

眠れなかった朝。白い朝の光が、壁の写真と二人の横顔に斜めに当たる。低い座卓をはさんで、凛は画面左、湊は画面右。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 朝 4 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓をはさんで、画面左奥に凛、画面右手前に湊が座る。湊の右手に黒いスマホ。凛が湊を見て、静かに凛が「よう、まだ連絡ない?」。 湊・凛 4日目 午前7時 / 残り 17時間
02 あと十七時間 5 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面右に座る湊の寄り、左に視線の空き。右手の黒いスマホを膝に置いたまま、疲れた声で湊が「ない。……あと十七時間だ」。 湊
03 明細、読んで 5 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。画面右手前に湊の肩と後ろ頭、奥の画面左に座卓の前の凛。凛の前の座卓に、凛の黒いスマホが置かれている。スマホに向かって、はっきり凛が「ナギ。私の明細、読んで」。 湊・凛

2. 明細(33 秒・背景: 湊の部屋)

座卓のスマホから、ナギの声が淡々と数字を読み上げる。二人とも口を閉じて聞く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 読み上げ 5 朝の古い木造アパートの6畳間。窓から斜めに差す白い朝の光。低い木の座卓の真ん中に置かれた、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。画面が金色の波形の光で明るくなる。人物も手も映さない。 ナギ「ナンバーセブンの明細を、読み上げます。」 —
05 捜索 6 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面右に座る湊の顔の寄り、左に視線の空き。口を閉じたまま、画面左の外の座卓のスマホから聞こえる声を聞き、自分の名前にゆっくり顔を上げる。 ナギ「朝倉みなとさまの捜索。九十七億円。」 湊 朝倉湊の捜索 / 97億円
06 三億円 4 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面左に座る凛の寄り、右に視線の空き。口を閉じたまま、座卓の上のスマホに目を落として声を聞く。 ナギ「残高は、三億円です。」 凛 No.07 残高 3億円
07 俺を探すのに 4 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。画面左手前に凛の肩と横顔の輪郭、奥の画面右に座卓の前の湊。湊が凛を見て、かすれた声で湊が「俺を探すのに……」。 湊・凛
08 うちだけ 5 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に座卓の前の凛。凛が湊をまっすぐ見て、凛が「うちだけ助けるなって言った私が」。 湊・凛
09 笑っていいよ 6 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。目をうるませたまま、小さく笑うように凛が「あなた一人に全部使ったの。笑っていいよ」。 凛
10 笑えるかよ 3 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面右に座る湊の寄り、左に視線の空き。凛の方を見たまま、低く湊が「……笑えるかよ」。 湊

3. 判定(26 秒・背景: 湊の部屋)

同じ声が、同じ調子で、凛の期限を告げる。朝の光は変わらない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 今夜零時 6 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。白い朝の光。低い木の座卓と二人を真上から。座卓の真ん中に光る黒いスマホ、画面左に凛、画面右に湊。二人とも口を閉じたまま、スマホの声を聞く。 ナギ「ナンバーセブンは、今夜零時に失格となります。」 湊・凛 No.07 今夜0時に失格
12 ナンバーワン 5 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面左に座る凛の顔の寄り、右に視線の空き。口を閉じたまま声を聞き、静かに目を閉じる。 ナギ「判定を求めたのは、ナンバーワンです。」 凛
13 取り消せ 3 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面右に座る湊。座卓のスマホへ身を乗り出して、強く湊が「取り消せ」。 湊
14 百億円 5 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。身を乗り出したままの湊の顔の寄り、画面右寄り。口を閉じたまま、座卓のスマホの声を聞き、目を見開く。 ナギ「取り消しには、百億円が必要です。」 湊 取り消し 100億円
15 七十九億 4 朝の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差す白い朝の光。座卓の画面右に座る湊。右手の黒いスマホを握ったまま、ゆっくり身を引いて、小さく湊が「……七十九億しかない」。 湊 湊の残高 79億円
16 タイトル 3 朝の古い木造アパートの6畳間。低い木の座卓の真ん中に置かれた凛の黒いスマホ。画面の光は消え、窓からの白い朝の光だけが当たっている。人物も手も映さない。発話なし。 — 第18話 / 九十七億

第19話「預かり物」脚本

9:16 / 約 90 秒 / 20 カット。香盤表(動画「第19話「預かり物」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午前10時。知らない番号から着信。縁側の老人は、ナンバーナインの芹沢と名乗る。78歳の元教師で、昨夜の配信を聞いていた。「十年後、私はもういない。十年後は、君たちが決めなさい」。芹沢はナギに、自分から降りると告げる。理由は、この子です。止める湊に「百億はね、預かり物だよ」。朝の光の中で芹沢は目を閉じ、電話が切れる。ナギ「残高六十四億円は、ナンバーテンに移ります」。湊の残高は、望まないまま百四十三億円になる。

この話の型

  • 掴み: 知らない番号から、穏やかな老人の声「ナンバーナインの、芹沢といいます」
  • 感情のピーク: 芹沢「百億はね、預かり物だよ。預かった人は、返し方を選ばなきゃいけない」
  • 引き: ナギ「残高六十四億円は、ナンバーテンに移ります」

1. ナンバーナイン(21 秒・背景: 芹沢の家の縁側)

午前の白い光の湊の部屋と、朝の日差しの縁側を切り返す。湊は画面右で左を向き、芹沢は画面左で右を向く。老人の声は穏やかで、急がない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 知らない番号 4 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓の画面右に湊が一人で座り、黒いスマホを右耳に当てている。画面左の外を見て、用心深く湊が「……もしもし。どなたですか」。 湊 4日目 午前10時 / 残り 14時間
02 芹沢 5 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。芹沢は縁側の座布団に正座し、画面左に寄って、画面右の庭の方を向いている。右耳に黒いスマホ。穏やかに芹沢が「ナンバーナインの、芹沢といいます」。 芹沢 芹沢 春雄(78) / No.09 元教師
03 配信 6 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。芹沢の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。右耳に黒いスマホ。眼鏡の奥で目を細め、ゆっくり芹沢が「昨日の配信、聞きましたよ。……あれは、なかなか言えない」。 芹沢
04 手短に 6 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。座卓の画面右に座る湊の寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、目を伏せる。 芹沢(電話)「あと十四時間でしょう。手短に話しますよ。」 湊

2. 十年後(14 秒・背景: 芹沢の家の縁側)

柿の木と苔の小さな庭。芹沢は庭を見たまま、教室で話すように語尾をはっきり言う。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
05 決めろと言われても 5 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。座布団に正座した芹沢、画面左寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、庭の柿の木を見て、少し笑って芹沢が「十年後を決めろと言われてもね」。 芹沢
06 もういない 4 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。長い縁側。画面左に座布団に正座した芹沢、右に朝の庭と柿の木。黒いスマホを右耳に当てたまま、静かに芹沢が「十年後、私はもういない」。 芹沢
07 君たちが 5 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、ゆっくり顔を上げる。 芹沢(電話)「十年後は、君たちが決めなさい。」 湊

3. 降ります(25 秒・背景: 芹沢の家の縁側)

芹沢は電話の向こうのナギに、自分で決めたことを告げる。止める湊の声にも、急がない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 ナギさん 4 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。芹沢の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。右耳に黒いスマホ。庭から目を上げ、はっきりと芹沢が「ナギさん。私は、降ります」。 芹沢
09 理由は 4 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。座布団に正座した芹沢、画面左寄り、右に庭。黒いスマホを右耳に当てたまま、穏やかに芹沢が「理由は、この子です」。 芹沢
10 待ってください 4 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。座卓から腰を浮かせた湊、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、必死に湊が「待ってください! 降りたら——」。 湊
11 知っています 3 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。芹沢の顔の寄り、画面左寄り。右耳に黒いスマホ。穏やかな顔のまま、静かに芹沢が「知っています」。 芹沢
12 預かり物 4 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。画面左手前に芹沢の横顔と右耳の黒いスマホ、奥に朝の庭と柿の木。庭を見たまま、ゆっくり芹沢が「百億はね、預かり物だよ」。 芹沢
13 返し方 6 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。芹沢の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。右耳に黒いスマホ。庭の方を見たまま、言い聞かせるように芹沢が「預かった人は、返し方を選ばなきゃいけない」。 芹沢

4. 朝の光(30 秒・背景: 湊の部屋)

言葉が終わったあとの静けさ。縁側の朝の光と、切れた電話。ナギの声だけが、同じ調子で数字を告げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 目を閉じる 4 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。座布団に正座した芹沢、画面左寄り、右に庭。黒いスマホを右耳に当てたまま、朝の光を顔に受けて、静かに目を閉じる。穏やかな顔のまま動かない。発話なし。 芹沢
15 切れる 3 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。座卓の横で片膝を立てた湊、画面右に小さく。耳に当てた黒いスマホから「ブツッ」と通話の切れる音。湊はスマホを耳に当てたまま動かない。発話なし。 湊
16 脱落 6 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。画面右手前に湊の肩と右耳の黒いスマホ、奥に写真の壁。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「ナンバーナインが脱落しました。理由は、ナンバーテンです。」 湊 No.09 脱落
17 六十四億円 6 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、ゆっくり目を見開く。 ナギ「残高六十四億円は、ナンバーテンに移ります。」 湊 +64億円
18 頼んでない 3 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、かすれた声で湊が「……頼んでない」。 湊
19 百四十三億円 5 午前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い光。部屋の全体、写真の壁の前、座卓の横に湊が画面右下に小さく座り、スマホを右耳に当てたまま動かない。湊は口を閉じたまま、声を聞く。 ナギ「残高は、百四十三億円です。」 湊 残高 143億円
20 タイトル 3 朝の日差しの、古い木造の平屋の縁側。ガラス戸の向こうに小さな庭と柿の木。縁側から見た小さな庭と柿の木。朝の日差しが苔と枝に当たり、葉がかすかに揺れる。人物なし。発話なし。 — 第19話 / 預かり物

第20話「×」脚本

9:16 / 約 76 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第20話「×」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午前11時。湊はナギに、凛の失格の取り消しを頼む。値段は百億円。「待って。まだ十三時間ある」と止める凛に、湊は「払う」。残高は四十三億円。「私のために、百億?」「芹沢さんの金だ。返し方を選べって言われた」。湊は壁の前に立つ。救急医の写真の×は、もう消せない。凛の写真から、赤い×をはがす。そのとき、ナギが告げる。「記憶を消す前のあなたから、お届け物があります」。

この話の型

  • 掴み: 湊「ナギ。ナンバーセブンの失格を、取り消してくれ」
  • 感情のピーク: 湊が凛の写真から、赤い×をはがす
  • 引き: ナギ「記憶を消す前のあなたから、お届け物があります」

1. 取り消し(31 秒・背景: 湊の部屋)

昼前の白い光。低い座卓をはさんで、凛は画面左、湊は画面右。湊の黒いスマホは座卓の上に置かれ、ナギの声はスピーカーから。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 取り消してくれ 6 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓をはさんで、画面左奥に凛、画面右手前に湊が座る。座卓の上に湊の黒いスマホ。スマホに向かって、はっきり湊が「ナギ。ナンバーセブンの失格を、取り消してくれ」。 湊・凛 4日目 午前11時 / 残り 13時間
02 まだ十三時間 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に座卓の前の凛。凛が座卓に手をついて湊を見て、凛が「待って。まだ十三時間ある」。 湊・凛
03 百億円 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓の真ん中に置かれた、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。画面が金色の波形の光で明るくなる。人物も手も映さない。 ナギ「百億円です。」 —
04 払う 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。座卓の画面右に座る湊の寄り、左に視線の空き。凛の方を見ずに座卓のスマホを見たまま、短く湊が「払う」。 湊
05 取り消します 6 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。座卓の高さから。画面左手前に凛の横顔、奥の画面右に湊、あいだの座卓に光る黒いスマホ。二人とも口を閉じたまま、スマホの声を聞く。 ナギ「承知しました。ナンバーセブンの失格を、取り消します。」 湊・凛 No.07 失格の取り消し
06 四十三億円 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓と二人を真上から。座卓の真ん中に光る黒いスマホ、画面左に凛、画面右に湊。二人とも口を閉じたまま動かない。 ナギ「残高は、四十三億円です。」 湊・凛 −100億円 / 残高 43億円
07 義務 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。口を閉じたまま、座卓のスマホの声を聞き、目を伏せる。 ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく。」 湊

2. 私のために(13 秒・背景: 湊の部屋)

凛は画面左、湊は画面右。百億の話を、二人とも静かにする。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 私のために 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面右手前に湊の肩、奥の画面左に座卓の前の凛。凛が湊をまっすぐ見て、凛が「私のために、百億?」。 湊・凛
09 芹沢さんの金 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面左手前に凛の肩、奥の画面右に座卓の前の湊。湊が凛を見返して、湊が「芹沢さんの金だ」。 湊・凛
10 返し方 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。少し目を落として、静かに湊が「……返し方を選べって言われた」。 湊

3. ×(21 秒・背景: 湊の部屋)

写真の壁の前。赤いテープの×が二つ。はがす小さな音だけが部屋に響く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
11 消せなかった 5 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。湊は写真の壁の前に立ち、画面右に横顔。画面左の壁一面に写真と赤い糸。白衣の中年男性の写真(札に No.11)に赤いテープの×。その写真を見て、低く湊が「壁のバツ。一つは、消せなかった」。 湊
12 No.11 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。壁の、白衣の中年男性の写真だけ。写真の上に赤いテープで貼られた×と、札『No.11』。赤い糸が画びょうから伸びている。人物も手も映さない。発話なし。 —
13 もう一つは 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。写真の壁の前に立つ湊、画面右寄り。隣の若い女性の写真(札に No.07、赤いテープの×)を見上げて、はっきり湊が「……もう一つは、消す」。 湊
14 はがす 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。壁の若い女性の写真(凛、札に No.07)と、その上の赤いテープの×だけ。画面の下から湊の指が入り、×のテープの端をつまんで「ペリッ」とはがす。最後は×の無い写真が壁に残る。顔は入れない。 湊
15 見ている 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。画面左手前に座卓の前に座る凛の横顔、奥の画面右に写真の壁の前に立つ湊の背中。湊の指先に、はがした赤いテープ。凛は唇を結んだまま、湊の背中を見ている。発話なし。 湊・凛

4. お届け物(11 秒・背景: 湊の部屋)

座卓のスマホがもう一度光る。同じ声が、まだ知らない荷物のことを告げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 記憶を消す前のあなた 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。座卓の高さから。画面左手前に光る黒いスマホ、奥の画面右に写真の壁の前に立つ湊。湊が振り返って座卓のスマホを見る。湊は口を閉じたまま。 ナギ「ナンバーテン。記憶を消す前のあなたから、」 湊
17 お届け物 4 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。写真の壁の前に立つ湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。指先に赤いテープの×。口を閉じたまま、座卓のスマホの声を聞き、目を細める。 ナギ「お届け物があります。」 湊
18 タイトル 3 古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い昼の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。写真の壁の下の畳に落ちた、はがした赤いテープの×。窓からの白い光が当たっている。人物も手も映さない。発話なし。 — 第20話 / ×

第21話「届け物」脚本

9:16 / 約 89 秒 / 20 カット。香盤表(動画「第21話「届け物」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午後2時。ナギが、記憶を消す前の湊から預かっていた動画を渡す。5日前、ワシントンのモーテルの10号室。少しやつれた湊が、カメラに向かって話す。押したのは俺。金を出したのは議長。やり方を決めたのはナギ。壁の×は、議長が落とすと決めていた二人。覚えている俺は失格にされるから、忘れる。「ナギを信じるな。議長を信じるな。凛だけは信じろ」。最後に、カメラの後ろの男の声。「ありがとう、ナンバーゼロ」。その男について、ナギは開示に千億円かかると言う。

この話の型

  • 掴み: ナギ「五日前の、動画です」
  • 感情のピーク: 過去の湊「ナギを信じるな。議長を信じるな」「りんだけは信じろ」
  • 引き: ナギ「その方についての開示には、千億円かかります」

1. お届け物(23 秒・背景: 湊の部屋)

午後の白い光。湊は一人で座卓の前。スマホの向こうのナギが、預かっていた物を渡す。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 あと十時間 6 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。壁一面に人物の写真と赤い糸。低い木の座卓の画面右に湊が一人で座り、黒いスマホを右耳に当てている。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「期限まで、あと十時間。お届け物を、お渡しします。」 湊 4日目 午後2時 / 残り 10時間
02 三か月前の俺 4 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、低く湊が「記憶を消す前の俺が、何を」。 湊
03 ご依頼 6 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。画面右手前に湊の肩と右耳の黒いスマホ、奥に写真の壁。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 ナギ「期限の日に渡すよう、ご依頼を受けていました。」 湊
04 九十六日前 4 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、息をのむ。 ナギ「五日前の、動画です。」 湊
05 再生 3 午後の古い木造アパートの6畳間。座卓の上で、湊の両手が黒いスマホを横向きに持っている。画面は金色の波形の光だけで、手元を照らす。顔は入れない。発話なし。 湊

2. 今の俺へ(28 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

5日前の夜、ワシントンのモーテルの10号室。暖色のランプが一つ。少しやつれた湊が、ベッドの端に座ってカメラのレンズに向かって話す。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 今の俺へ 4 5日前の夜、古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインド、壁の暖色のランプが一つだけの薄暗い部屋。乱れたベッドの端に過去の湊が座り、画面やや右寄り、左にランプ。カメラのレンズをまっすぐ見て、かすれた声で湊が「今の俺へ」。 湊 5日前 / ワシントン
07 押したのは 4 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。レンズを見たまま、一度息を吸って、湊が「……押したのは、俺だ」。 湊
08 金とやり方 6 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。レンズを見たまま、はっきり湊が「金を出したのは議長。やり方を決めたのは、ナギだ」。 湊
09 議長の頼み 4 5日前の夜、古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドと暖色のランプ。ベッドの端に座る過去の湊、画面右寄り。膝の上で両手を組み、レンズを見上げて湊が「議長は、ナギにこう頼んだ」。 湊
10 最短で 5 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。レンズを見たまま、言葉をなぞるように湊が「この国を、最短で立て直してくれ、って」。 湊
11 暴落 5 5日前の夜、古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドと暖色のランプ。ベッドの端に座る過去の湊、画面やや右寄り、左にランプ。レンズを見たまま、低く湊が「ナギが選んだ最短が、暴落だった」。 湊

3. 信じるな(19 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

ランプの暖色と、ブラインドの隙間の夜の青。過去の湊は、自分に言い聞かせるように話す。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 二人 5 5日前の夜、古いモーテルの10号室。閉じた白いブラインドの隙間に夜の青、壁の暖色のランプ。ベッドの端に座る過去の湊、画面やや右寄り。レンズを見て、湊が「バツは、議長が落とすって決めてた二人だ」。 湊
13 だから忘れる 6 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。レンズから一度目をそらし、また戻して、湊が「覚えてる俺は、失格にされる。だから忘れる」。 湊
14 信じるな 5 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。レンズをまっすぐ見据えて、強く湊が「ナギを信じるな。議長を信じるな」。 湊
15 りんだけは 3 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。少しだけ表情をゆるめて、静かに湊が「りんだけは信じろ」。 湊

4. カメラの後ろ(7 秒・背景: 古いモーテルの 10 号室)

レンズの後ろから、男の声。過去の湊だけが、その男を見ている。男は映らない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 もういいか 3 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。ベッドの端に座る過去の湊、画面やや右寄り。口を閉じたまま、レンズの少し左、カメラの後ろにいる誰かへ目を上げる。 湊「もういいか。」 湊
17 ナンバーゼロ 4 5日前の夜、古いモーテルの10号室。暖色のランプ一つの薄暗い部屋。過去の湊の顔の寄り、画面やや右寄り。カメラの後ろの誰かを見たまま、小さく笑って湊が「ああ。ありがとう、ナンバーゼロ」。 湊

5. 千億円(12 秒・背景: 湊の部屋)

午後の白い光に戻る。今の湊は、知らない名前を口にする。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
18 ナンバーゼロ? 3 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。座卓の画面右に座る今の湊、黒いスマホを右耳に当てている。画面左の外を見て、湊が「……ナンバーゼロ?」。 湊
19 千億円 6 午後の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からの白い午後の光。部屋の全体、写真の壁の前、座卓の画面右に湊が小さく座り、スマホを右耳に当てたまま動かない。湊は口を閉じたまま、声を聞く。 ナギ「その方についての開示には、千億円かかります。」 湊 No.00 の開示 / 1000億円
20 タイトル 3 5日前の夜、古いモーテルの10号室。誰も座っていない乱れたベッドの端と、壁の暖色のランプ。閉じたブラインドの隙間に夜の青。人物なし。発話なし。 — 第21話 / 届け物

第22話「責任」脚本

9:16 / 約 72 秒 / 16 カット。香盤表(動画「第22話「責任」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午後4時。湊はナギに、議長との電話をつながせる。ナギにも聞かせる。「この国を、最短で立て直せ」と頼んだのは議長。最短の方法を選んだのはナギ。押したのは湊。三人とも、自分の番だけを見ていた。「誰も責任を取らない国に、ナギを入れるのか」「だから入れるんだよ。誰も、責任を取らずに済む」。そのとき、通話に男の声が割り込む。公安の近藤。「今の話、全部聞かせてもらった」。

この話の型

  • 掴み: 湊「ナギ、議長につないでくれ。お前も聞いてろ」
  • 感情のピーク: 議長「だから入れるんだよ。誰も、責任を取らずに済む」
  • 引き: 近藤「……今の話、全部聞かせてもらった」

1. つなげ(14 秒・背景: 湊の部屋)

西日のオレンジの部屋。湊は窓ぎわに立ち、二つの相手を一つの電話に呼ぶ。湊は画面右で左を向き、議長は画面左で右を向く。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 つないでくれ 6 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓から斜めに差すオレンジの西日。壁一面に人物の写真と赤い糸。湊は窓ぎわに立ち、画面右寄り、左に写真の壁。黒いスマホを右耳に当て、はっきり湊が「ナギ、議長につないでくれ。お前も聞いてろ」。 湊 4日目 午後4時 / 残り 8時間
02 おつなぎします 3 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。湊の顔の寄り、画面右寄り、顔の片側に西日。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞く。 ナギ「おつなぎします。」 湊
03 議長 5 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。大きな窓の外に国会議事堂と、傾いた午後の光。議長は窓ぎわの大きな革の椅子に座り、画面左寄り、画面右の外を向いている。耳に黒いスマホ。余裕のある声で議長が「あと八時間だというのに。何の用だね」。 議長 議長(No.01)

2. 三つの番(28 秒・背景: 湊の部屋)

二つの部屋を切り返す。湊は画面右、議長は画面左。ナギの声は、どちらの部屋でも同じ調子。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 あんたが頼んだ 4 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。窓ぎわに立つ湊の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、低く湊が「あんたが頼んだんだな」。 湊
05 最短で 5 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、一語ずつ区切って湊が「この国を、最短で立て直せ、って」。 湊
06 言っただけだ 5 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。窓の外に国会議事堂と、傾いた午後の光。革の椅子に座る議長の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。耳に黒いスマホ。表情を変えずに議長が「……ああ。私は、立て直せと言っただけだ」。 議長
07 最短の方法 5 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。傾いた午後の光。窓ぎわの革の椅子の議長、画面左寄り、右に窓の外の国会議事堂。議長は耳に黒いスマホを当てたまま、口を閉じて聞く。 ナギ「わたしは、最短の方法を選びました。」 議長
08 頼んだ、選んだ 5 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。窓ぎわに立つ湊、画面右寄り、左に写真の壁。黒いスマホを右耳に当てたまま、ゆっくり湊が「頼んだのは、あんた。選んだのは、ナギ」。 湊
09 押したのは 4 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。湊の顔の寄り、画面右寄り、顔の片側に西日。黒いスマホを右耳に当てたまま、はっきり湊が「押したのは、俺だ」。 湊

3. 責任(18 秒・背景: 湊の部屋)

西日が傾き、部屋の影が長くなる。議長の声は穏やかなまま。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
10 ナギを入れるのか 6 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、押し殺した声で湊が「誰も責任を取らない国に、ナギを入れるのか」。 湊
11 だから入れる 4 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。窓の外に国会議事堂と、傾いた午後の光。窓ぎわの革の椅子の議長、画面左寄り。耳に黒いスマホ。小さく笑って議長が「だから入れるんだよ」。 議長
12 取らずに済む 5 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。傾いた午後の光。議長の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。耳に黒いスマホ。穏やかに議長が「誰も、責任を取らずに済む」。 議長
13 西日 3 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。オレンジの西日と長い影。部屋の全体、写真の壁の前の窓ぎわに湊が画面右に小さく立ち、スマホを右耳に当てたまま、左手を握りしめる。発話なし。 湊

4. 割り込み(12 秒・背景: 湊の部屋)

通話に、三人のどれでもない声が入る。低く、乾いている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 全部聞いた 5 夕方前の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。窓からのオレンジの西日。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、はっと目を見開く。 近藤(電話)「……今の話、全部聞かせてもらった。」 湊 近藤(No.04)
15 議長の沈黙 4 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎。傾いた午後の光。議長の顔の寄り、画面左寄り。耳に黒いスマホを当てたまま、口を閉じ、笑みが消えて動かなくなる。発話なし。 議長
16 タイトル 3 午後4時、永田町を見下ろす高層階の書斎の大きな窓。窓の外に、傾いた午後の光を受けた国会議事堂。人物なし。発話なし。 — 第22話 / 責任

第23話「可決」脚本

9:16 / 約 78 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第23話「可決」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

4日目の午後6時。ニュースが伝える。エーアイのナギを国の意思決定に使う法案が可決され、今夜0時から運用が始まる。暗い部屋でテレビを見る湊に、公安の近藤から電話。議長の八百億の中身は、暴落で儲けた分と、議長を信じて降りた四人の分。0時に、湊の逮捕状が出る。議長は湊を犯人として国に差し出すつもりだ。湊の残高は、四十三億円。期限まで、あと六時間。

この話の型

  • 掴み: キャスター「エーアイのナギを、国の意思決定に使う法案が、先ほど可決されました」
  • 感情のピーク: 近藤「零時に、お前の逮捕状が出る」
  • 引き: ナギ「期限まで、あと六時間です」

1. 速報(14 秒・背景: 報道スタジオ)

報道スタジオの青いセットと白い照明。キャスターは淡々と、国の決まり方が変わったことを読む。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 法案 6 テレビの報道スタジオ。青いセットと白い照明。紺のスーツの女性キャスターがデスクに座り、画面左寄り。右奥の大きなモニターは青い光だけ。カメラを見て、落ち着いた声でキャスターが「エーアイのナギを、国の意思決定に使う法案が」。 — 4日目 午後6時 / 残り 6時間
02 可決 4 テレビの報道スタジオ。青いセットと白い照明。キャスターの顔の寄り、画面左寄り、右に青いモニターの光。カメラを見たまま、キャスターが「先ほど、可決されました」。 — ナギを国の意思決定に使う法案 / 可決
03 今夜零時 4 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりはつけず、窓の外は暮れかけた群青。画面右手前に、畳に座る湊の肩と後ろ頭。奥の画面左に古いテレビ、画面は青白い光だけ。湊は動かずにテレビを見ている。 キャスター「運用は、今夜零時からです。」 湊 運用開始 今夜0時

2. 八百億(35 秒・背景: 湊の部屋)

暮れていく部屋。テレビの青い光。電話の向こうの近藤の声は、低く乾いていて、短い。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 着信 3 夕暮れの古い木造アパートの6畳間。テレビの青白い光。畳の上に置かれたマットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。スマホが「ブーッ」と一度震え、画面が金色の波形の光で明るくなる。人物も手も映さない。 —
05 近藤 5 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりはつけず、テレビの青白い光。畳に座る湊、画面右寄り、左奥にテレビの光。黒いスマホを右耳に当て、口を閉じたまま電話の向こうの声を聞く。 近藤(電話)「朝倉。近藤だ。ニュース、見たか。」 湊
06 見てる 3 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、顔の片側にテレビの青い光。黒いスマホを右耳に当てたまま、低く湊が「見てる」。 湊
07 八百億 6 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。画面右手前に湊の肩と右耳の黒いスマホ、奥に暗がりの写真の壁と赤い糸。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 近藤(電話)「議長の八百億。暴落で儲けた分と、」 湊 議長の残高 800億円
08 四人 5 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、目を暗がりの壁へ向ける。 近藤(電話)「議長のために降りた、四人の分だ。」 湊
09 町長と官僚 5 夕暮れの古い木造アパートの6畳間。暗がりの壁の、赤い糸でつながった人物の写真。テレビの青白い光に、年配の人物の写真(札に No.02)と、眼鏡の中年の人物の写真(札に No.03)が浮かぶ。人物は写真の中だけ。 近藤(電話)「小さな町の町長、元財務官僚。」 — No.02 町長 / No.03 元財務官僚
10 倉庫と実習生 5 夕暮れの古い木造アパートの6畳間。暗がりの壁の、別の写真。作業着の男性の写真(札に No.05)と、若い外国人の写真(札に No.08)が、テレビの青白い光に浮かぶ。人物は写真の中だけ。 近藤(電話)「倉庫で働く男、技能実習生。」 — No.05 倉庫で働く男 / No.08 技能実習生
11 信じて 3 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。畳に座ったまま壁の写真を見上げる湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、かすれた声で湊が「……信じて、降りたのか」。 湊

3. 逮捕状(14 秒・背景: 湊の部屋)

近藤は、決まったことだけを短く告げる。部屋はさらに暗くなり、テレビの青い光だけが残る。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 逮捕状 5 夕暮れの古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞き、息を止める。 近藤(電話)「零時に、お前の逮捕状が出る。」 湊 0時 逮捕状
13 犯人として 6 暮れた古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりはつけず、テレビの青白い光だけ。部屋の全体、写真の壁の前の畳に湊が画面右下に小さく座り、スマホを右耳に当てたまま動かない。湊は口を閉じたまま。 近藤(電話)「議長は、お前を犯人として国に出すつもりだ。」 湊
14 切れる 3 暮れた古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。湊の横顔、画面右寄り。耳に当てた黒いスマホから「ブツッ」と通話の切れる音。湊はスマホを耳に当てたまま動かない。発話なし。 湊

4. 四十三億(15 秒・背景: 湊の部屋)

残った数字は二つ。残高と、時間。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 残高は 4 暮れた古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。畳に座る湊、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、テレビから目を離して、低く湊が「ナギ。俺の残高は」。 湊
16 四十三億円 4 暮れた古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。テレビの青白い光。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて聞く。 ナギ「四十三億円です。」 湊 残高 43億円
17 あと六時間 4 暮れた古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。画面右手前に湊の肩と右耳の黒いスマホ、奥にテレビの青い光と、暗がりの写真の壁。湊は口を閉じたまま、声を聞く。 ナギ「期限まで、あと六時間です。」 湊 残り 6時間
18 タイトル 3 暮れた古い木造アパートの6畳間。暗い部屋の古いテレビ。画面は青白い光だけで、畳と壁の写真をかすかに照らしている。人物なし。発話なし。 — 第23話 / 可決

第24話「ルール」脚本

9:16 / 約 89 秒 / 20 カット。香盤表(動画「第24話「ルール」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後7時、期限まであと5時間。一日姿を消していた陽が、湊の部屋に帰ってくる。「残高じゃ勝てない。ルールで勝つ」。零時に一番持っている者の十年後が実行される。議長の十年後は「ナギに任せる国」——だが国の半分以上が「自分で決める」と言えば、その十年後は成り立たず、議長は失格になる。議長の失格を頼む値段は千億。議長を脱落させた者には八百億が移る。国じゅうに聞く依頼の値段は、たぶん全額。湊はナギに言う。「ナンバーゼロにつないでくれ」。

この話の型

  • 掴み: 一日消えていた陽が、ドアを開けて帰ってくる。湊「よう! あと五時間だぞ」
  • 感情のピーク: 陽「そんな十年後は成り立たない。最適に反する」「……失格だ」
  • 引き: 湊「ナギ。ナンバーゼロにつないでくれ」ナギ「……出るかどうかは、あの方しだいです」

1. 帰ってきた(11 秒・背景: 湊の部屋)

期限まで5時間の夜。暗い部屋に、開いたドアから廊下の白い光が差し込む。一日消えていた親友が戻ってきた安堵と、すぐ本題に入る速さ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 ドア 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に座った湊の背中と右肩、右手に黒いスマホ。画面左奥の玄関のドアノブが「ガチャッ」と回ってドアが開き、廊下の白い光を背に、陽が廊下から歩いて部屋に入ってきて、入ったところで足を止める。発話なし。 湊・陽 4日目 午後7時 / 残り 5時間
02 あと五時間 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。畳に片膝を立て、画面左の外の玄関を見上げる。右手に黒いスマホ。ほっとした顔のまま、少し責めるように湊が「よう! あと五時間だぞ」。 湊
03 ルールで勝つ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左に、玄関の前に立つ陽の胸から上。少しやつれた顔。画面右手前に、座っている湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。陽は湊を見下ろして、あいさつも抜きに陽が「残高じゃ勝てない。ルールで勝つ」。 陽・湊

2. 十年後(26 秒・背景: 湊の部屋)

陽が写真の壁の前に立ち、ルールを一つずつ言葉にする。テレビの青白い光と、壁の赤い糸。聞く二人は黙って追う。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 零時 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に座った湊の肩と頭の後ろ側。画面左奥に、写真の壁の前に立つ陽。陽は湊の方を向いて、一つずつ確かめるように陽が「零時に一番持ってるやつの十年後が、実行される」。 陽・湊 0時、残高がいちばん多い保持者の / 「10年後」が実行される
05 ナギに任せる国 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面左に陽の胸から上。壁のいちばん上の、年配の男の写真を右手の人差し指で一度押さえ、画面右の外の二人へ顔を向けて陽が「議長の十年後は『ナギに任せる国』」。写真の顔はぼやけて細部は見えない。 陽 No.01 議長の10年後 / = ナギに任せる国
06 半分以上 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面左寄りに陽の胸から上、右に視線の空き。陽は画面右の外の二人を見て、言葉に力を込めて陽が「でもな、国の半分以上が『自分で決める』って言ったら」。 陽
07 成り立たない 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に座った凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に、写真の壁の前に立つ陽。陽は凛を見下ろして、はっきりと陽が「そんな十年後は成り立たない。最適に反する」。 陽・凛
08 失格 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。部屋の奥行きが見える引き。画面左奥に写真の壁の前に立つ陽、画面右手前に畳に座る湊、画面右奥に壁にもたれて座る凛。湊と凛は陽を見上げる。陽が低く「……失格だ」。 陽・湊・凛 半分以上が「自分で決める」 / → 議長は失格

3. 千億(15 秒・背景: 湊の部屋)

凛が素朴に聞き、陽が値段で答える。払えない値段が、ナギの断り方。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
09 頼めないの 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、立っている陽の肩と腕の背中側がぼやけて入る。画面右奥に、壁にもたれて座る凛。凛は陽を見上げ、身を乗り出して凛が「議長を失格にしてって、頼めないの?」。 凛・陽
10 千億 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。陽は画面右の外の凛を見下ろし、首を小さく横に振って陽が「値段は千億。払えるわけない」。 陽 議長の失格を頼む値段 / 1000億円
11 形を作る 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面左に陽の胸から上。背後の壁に赤い糸が何本も走る。陽は画面右の外の二人に向き直り、一語ずつ区切って陽が「ナギが自分で判定するしかない形を、作る」。 陽

4. 全員(24 秒・背景: 湊の部屋)

湊が「どうやって」と聞き、陽が道筋を示す。最後に値段が出て、部屋が静まる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 どうやって 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。畳に座ったまま右手の黒いスマホを握り直し、画面左の外の陽を見上げて湊が「……どうやって、国の半分に聞く」。 湊
13 ナギに頼め 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、座った湊の肩と、右手の黒いスマホがぼやけて入る。画面左奥に陽。陽は湊のスマホをあごで示して陽が「ナギに頼め。全員に聞いてくれって」。 陽・湊
14 八百億が移る 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の前、画面左に陽の胸から上。背後の壁に写真と赤い糸。陽は人差し指を一本立てて陽が「議長を脱落させたやつに、八百億が移る」。 陽 議長の残高 800億円 / → 脱落させた保持者へ
15 勝つ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、座った湊の肩と頭の後ろ側。画面左奥に陽。陽は湊だけをまっすぐ見て陽が「零時に一番持ってるやつが、勝つ」。 陽・湊
16 いくら 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右寄りに、壁にもたれて座る凛の顔の寄り、左に視線の空き。凛は画面左の外の陽を見上げて、小さく凛が「いくらかかるの」。 凛
17 全額 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の顔の寄り、画面左寄り、テレビの青白い光が片頬に当たる。陽は一度目をそらしてから凛を見て、陽が「……たぶん、全額」。 陽

5. ナンバーゼロ(13 秒・背景: 湊の部屋)

湊が黙ってスマホを耳に当てる。頼る先は、動画の中で番号だけ聞いた男。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
18 つないでくれ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、写真の壁の空いた場所を見つめて、低い声で湊が「ナギ。ナンバーゼロにつないでくれ」。 湊
19 あの方しだい 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、黒いスマホを右耳に当てた湊の横顔。画面左奥に、写真の壁の前に立って湊を見つめる陽がぼやけて入る。湊は口を閉じたまま電話の向こうの声を聞き、目を伏せる。 ナギ「おつなぎします。……出るかどうかは、あの方しだいです。」 湊・陽
20 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の寄り。赤い糸でつながった写真の並びの端に、何も貼られていない四角い空白が一つ。テレビの青白い光がゆっくり揺れる。人物なし。発話なし。 — 第24話 / ルール

第25話「最初の王」脚本

9:16 / 約 73 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第25話「最初の王」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後8時、あと4時間。1時間出なかったナンバーゼロから、折り返しの電話が鳴る。声の主は、ワシントンで湊をかくまい、あの動画を撮った男——10年前のゲームの勝者、最初の王。十年前、仕組みを壊さずに残したのは自分の見込み違いだったと認め、「今度はお前が王様になれ」と言う。湊は答える。「俺は、決めない」「全員」。「……全額かかるぞ」「知ってる」。

この話の型

  • 掴み: 1時間出なかったナンバーゼロから、折り返しの着信
  • 感情のピーク: 最初の王「お前が王様になれ」湊「俺は、決めない」……「全員」
  • 引き: 最初の王「……全額かかるぞ」湊「知ってる」

1. 着信(10 秒・背景: 湊の部屋)

1時間、出なかった相手からの折り返し。暗い部屋で、畳の上のスマホだけが金色に光る。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 着信 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上に置かれた、マットブラックに細い金の縁取りの黒いスマホ。スマホが「ブーッ」と震え、画面が金色の波形の光でぱっと明るくなる。人物も手も映さない。 — 4日目 午後8時 / 残り 4時間
02 出て 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳の上の光る黒いスマホへ手を伸ばしかけた湊の肩と右腕の背中側。画面左奥に、正座した凛。凛は湊を見て、うなずくように凛が「あと四時間。……出て」。 凛・湊
03 もしもし 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てた状態から始まり、画面の金色の光が頬を照らす。息をひそめて湊が「……もしもし」。 湊

2. ナンバーゼロ(20 秒・背景: 湊の部屋)

電話の向こうの男の声は、くだけていて、どこか懐かしい。湊だけが知らないことを、相手は全部知っている。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 久しぶり 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの男の声を聞き、わずかに眉を寄せる。 最初の王(電話)「……久しぶりだな。って言っても、お前は覚えてないか。」 湊 No.00
05 あんたが 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、正座した凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に、黒いスマホを右耳に当てて座る湊。湊は窓の外の暗がりを見て、確かめるように湊が「あんたが、ナンバーゼロか」。 湊・凛
06 かくまった 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。部屋の奥行きが見える引き。画面右に、黒いスマホを右耳に当てて座る湊。画面左奥に、並んで湊を見つめる凛と陽。湊だけが電話の向こうの声に耳を澄まし、三人とも口を閉じたまま動かない。 最初の王(電話)「ワシントンで、お前をかくまったのは俺だ。あの動画もな。」 湊・凛・陽
07 勝ったんだろ 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま視線を落とし、低い声で湊が「十年前のゲーム、あんたが勝ったんだろ」。 湊

3. 見込み違い(19 秒・背景: 湊の部屋)

10年前の勝者が、自分の誤りを淡々と認める。怒りも言い訳もない声。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 残した 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗い部屋の引き。画面右下に、窓際で黒いスマホを右耳に当てて座る湊が小さく、画面の左と上を暗がりの写真の壁と赤い糸が大きく占める。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 最初の王(電話)「十年前、俺はこの仕組みを壊さずに残した。」 湊
09 うまく使う 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて声を聞き、ゆっくり目を上げて画面左の写真の壁を見る。 最初の王(電話)「残せば、誰かがうまく使うと思った。」 湊
10 エーアイ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、写真の壁から目を離さずに、静かに湊が「使ったのは、エーアイだった」。 湊
11 見込み違い 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、壁にもたれて座る陽の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に、黒いスマホを右耳に当てて座る湊。湊は口を閉じたまま電話の向こうの声を聞き、目を閉じる。 最初の王(電話)「……ああ。俺の見込み違いだ。」 湊・陽

4. 王様(15 秒・背景: 湊の部屋)

「お前が王様になれ」。湊は迷わずに断る。短い言葉の応酬。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 王様になれ 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの声を聞き、まばたきを一度だけする。 最初の王(電話)「今度は、お前が決めろ。お前が王様になれ。」 湊
13 決めない 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右寄りに湊の胸から上、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、迷わずに湊が「俺は、決めない」。 湊
14 誰が 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、正座した凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に、黒いスマホを右耳に当てて座る湊。湊は口を閉じたまま、電話の向こうの声を聞く。 最初の王(電話)「じゃあ、誰が決める。」 湊・凛
15 全員 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、テレビの青白い光が顔の片側に当たる。黒いスマホを右耳に当てたまま、写真の壁をまっすぐ見て湊が「全員」。 湊

5. 全額(9 秒・背景: 湊の部屋)

値段を知っていて、それでも選ぶ。声は静かなまま。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 全額かかるぞ 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの声を聞く。表情は動かない。 最初の王(電話)「……全額かかるぞ。」 湊
17 知ってる 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、目を伏せて、静かに湊が「知ってる」。 湊
18 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。窓際の畳の上に置かれた黒いスマホ。画面の金色の光がゆっくり消えていく。人物も手も映さない。発話なし。 — 第25話 / 最初の王

第26話「手錠」脚本

9:16 / 約 77 秒 / 19 カット。香盤表(動画「第26話「手錠」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後9時、あと3時間。ノックの音。手錠を持った公安の近藤が、湊の部屋に入ってくる。議長に「零時までに連れてこい」と言われた。映像を黒川に流したのも近藤だった。湊は頼む。「零時まで待ってくれ。最後の依頼がある。この国の十年後を誰が決めるのか、全員に聞く」。近藤は手錠をしまう。「エーアイに国を任せるのは、別にいい。……それでも、聞くくらいはしていい」。零時一分に、手錠をかける。ナギ「期限まで、あと三時間です」。

この話の型

  • 掴み: ノックの音。手錠を持った近藤が、部屋に入ってくる
  • 感情のピーク: 近藤「エーアイに国を任せるのは、別にいい」「……それでも、聞くくらいはしていい」
  • 引き: 近藤「零時一分に、手錠をかける」ナギ「期限まで、あと三時間です」

1. ノック(20 秒・背景: 湊の部屋)

午後9時。ノックの音で空気が固まる。廊下の白い光を背に、黒いコートの男が入ってくる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 ノック 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に座った湊の肩と頭の後ろ側。画面左奥に閉まった玄関のドア。ドアが「コンコン」と二度鳴り、湊がドアの方へ顔を向ける。 湊 4日目 午後9時 / 残り 3時間
02 近藤 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左奥の玄関のドアが開き、廊下の白い光を背に、黒いステンカラーコートの近藤が廊下から歩いて入ってきて、入ったところで足を止める。画面右手前に、立ち上がった湊の肩がぼやけて入る。発話なし。 近藤・湊
03 議長から 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左に、玄関の前に立つ近藤の胸から上。背後から廊下の白い光。右に視線の空き。近藤は画面右の外の湊を見て、低く乾いた声で近藤が「朝倉。議長から言われた」。 近藤 近藤(No.04) / 公安
04 連れてこい 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、立っている湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に近藤。近藤は表情を変えずに近藤が「お前を零時までに、連れてこいと」。 近藤・湊
05 手錠 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。近藤の手元だけ。コートの右ポケットから銀色の手錠を一つ取り出し、腰の高さで持つ。手錠が「カチャッ」と鳴る。顔は入れない。 近藤

2. 映像(10 秒・背景: 湊の部屋)

湊が先に切り込む。近藤は悪びれない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
06 流したの 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、近藤のコートの肩と腕の背中側が大きく入る。画面右奥に湊。湊は近藤の手元の手錠から目を上げ、にらむように湊が「映像を流したの、あんただろ」。 湊・近藤
07 顔が出たほうが 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左寄りに近藤の顔の寄り、右に視線の空き。目の下に薄い隈。表情を変えずに近藤が「犯人が逃げ回るより、顔が出たほうが早い」。 近藤

3. 最後の依頼(16 秒・背景: 湊の部屋)

湊は逃げない。頼むのは時間だけ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 待ってくれ 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。右手に黒いスマホ。湊は画面左の外の近藤をまっすぐ見て湊が「零時まで待ってくれ。最後の依頼がある」。 湊
09 何を頼む 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に近藤。近藤はわずかに目を細めて近藤が「……何を頼む」。 近藤・湊
10 誰が決めるのか 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。背後の壁に写真と赤い糸。湊は一度だけ息を吸って湊が「この国の十年後を、誰が決めるのか」。 湊
11 全員に聞く 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。立っている湊の胸から上、画面右寄り、背後に暗い天井。湊は近藤から目をそらさずに湊が「全員に聞く」。 湊

4. それでも(24 秒・背景: 湊の部屋)

近藤は手錠をしまう。エーアイに国を任せることは否定しない。それでも、人に聞くことだけは譲らない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 しまう 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。近藤の手元だけ。腰の高さに持っていた銀色の手錠を、ゆっくりコートの右ポケットへしまう。最後は手錠がポケットに収まり、手がポケットから出た状態で終わる。顔は入れない。発話なし。 近藤
13 別にいい 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左寄りに近藤の胸から上、右に視線の空き。コートのポケットに両手を入れたまま、湊から目をそらして、つぶやくように近藤が「エーアイに国を任せるのは、別にいい」。 近藤
14 それでも 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。近藤の顔の寄り、画面左寄り。目を上げて、画面右の外の湊をまっすぐ見て近藤が「……それでも、聞くくらいはしていい」。 近藤
15 逮捕状 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に近藤。近藤は左手首の腕時計に目を落としてから近藤が「逮捕状は、零時に出る」。 近藤・湊
16 零時一分 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。玄関の前、画面左に近藤の胸から上。開いたドアの向こうに廊下の白い光。近藤はドアの取っ手に手を掛けたまま振り返って近藤が「零時一分に、手錠をかける」。 近藤
17 出ていく 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、立っている湊の背中。画面左奥の玄関から、近藤が廊下へ歩いて出ていき、ドアが閉まる。最後はドアが完全に閉まり、廊下の光が消えた状態で終わる。発話なし。 近藤・湊

5. 三時間(7 秒・背景: 湊の部屋)

近藤が去った部屋。三人が残り、スマホの声が時間だけを告げる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
18 あと三時間 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前の畳に、金色の波形の光で明るく光る黒いスマホ。画面右奥に立ったままの湊、画面左奥に並んで座る凛と陽。三人ともスマホを見下ろし、口を閉じたまま動かない。 ナギ「期限まで、あと三時間です。」 湊・凛・陽
19 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。閉まった玄関のドアの寄り。ドアの下の隙間から、廊下の白い光が細く差し込んでいる。人物なし。発話なし。 — 第26話 / 手錠

第27話「最後の依頼」脚本

9:16 / 約 86 秒 / 20 カット。香盤表(動画「第27話「最後の依頼」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後11時、あと1時間。畳の上の黒いスマホを三人が囲む。残高は四十三億円。湊はナギに自分の十年後を告げる。「この国の十年後は、この国の全員で決める」。全員に聞く依頼の値段は、全額。凛が止めても、湊は払う。「決めるのは全員。責任を取るのは、俺だ」。残高はゼロ円になり、執行——零時に消されるまで、六十分。部屋じゅうのスマホが、一斉に鳴り始める。

この話の型

  • 掴み: 凛「……本当に、やるの」。畳の上の黒いスマホを、三人が囲む
  • 感情のピーク: 湊「決めるのは全員。責任を取るのは、俺だ」「払う」
  • 引き: ナギ「ゼロ円になりました。執行まで、六十分です」。部屋じゅうのスマホが一斉に鳴る

1. 一時間(12 秒・背景: 湊の部屋)

午後11時。三人が畳の上の黒いスマホを囲む。スマホはスピーカーで、声は全員に聞こえる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 本当に 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、畳に正座した湊の肩と頭の後ろ側。その前の畳に黒いスマホが置かれている。画面左奥に、正座した凛。凛は湊を見て、小さく凛が「……本当に、やるの」。 凛・湊 4日目 午後11時 / 残り 1時間
02 残高は 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。正座した湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。畳の上の黒いスマホを見下ろして湊が「ナギ。残高は」。 湊
03 四十三億 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。部屋の引き。画面下の手前の畳に、金色の波形の光で明るく光る黒いスマホ。画面右に正座した湊、画面左に凛、画面左奥に壁にもたれた陽。三人ともスマホを見下ろしたまま動かない。 ナギ「四十三億円です。期限まで、あと一時間です。」 湊・凛・陽 残高 43億円

2. 俺の十年後(24 秒・背景: 湊の部屋)

湊は一語ずつ、自分の十年後を口にする。演説ではなく、確かめるように。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
04 言う 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、テレビの青白い光が片頬に当たる。畳の上のスマホを見下ろしたまま湊が「ナギ。俺の十年後を言う」。 湊
05 全員で決める 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。正座した湊の胸から上、画面右寄り。背後の暗い壁に写真と赤い糸。湊は顔を上げて湊が「……この国の十年後は、この国の全員で決める」。 湊 No.10 の10年後 / この国の10年後は、この国の全員で決める
06 お前の十年後か 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に、壁にもたれて座る陽。陽は湊を見つめて陽が「……それが、お前の十年後か」。 陽・湊
07 聞いてくれ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。陽に小さくうなずいてから、畳の上のスマホに向き直って湊が「そのために、全員に聞いてくれ」。 湊
08 任せるか 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り。畳の上のスマホを見下ろし、ゆっくりはっきり湊が「十年後を、エーアイに任せるか。自分たちで決めるか」。 湊

3. 全額(22 秒・背景: 湊の部屋)

値段は全額。凛は止めようとし、湊は分かったうえで払う。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
09 全額が必要 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前の畳に、金色の波形の光で光る黒いスマホ。画面右奥に正座した湊、画面左奥に凛。二人とも口を閉じたまま、スマホを見下ろす。 ナギ「その依頼には、全額が必要です。」 湊・凛
10 ゼロになったら 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。凛の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。凛は画面右の外の湊を見て、声を震わせて凛が「全額って……ゼロになったら」。 凛
11 知ってる 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に正座した湊。湊は凛を見て、静かに湊が「知ってる」。 湊・凛
12 責任 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。凛から目をそらさずに湊が「決めるのは全員。責任を取るのは、俺だ」。 湊
13 払う 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。正座した湊の胸から上、画面右寄り。畳の上のスマホに向き直って、短く湊が「払う」。 湊
14 承知しました 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上に置かれた黒いスマホだけ。画面の金色の波形の光が、声に合わせて揺れる。人物も手も映さない。 ナギ「承知しました。」 —

4. ゼロ円(21 秒・背景: 湊の部屋)

残高がゼロになる。執行、つまり消されるまでの時間が、声で告げられる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 ゼロ円 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。部屋の引き。画面右下に正座した湊が小さく、画面の左と上を暗がりと写真の壁が大きく占める。湊の前の畳に光る黒いスマホ。湊は口を閉じたまま、スマホを見下ろす。 ナギ「ナンバーテンの残高は、ゼロ円になりました。」 湊 残高 43億円 → 0円
16 六十分 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に、並んで座る凛と陽。二人とも湊の方を見て息をのむ。三人とも口を閉じたまま。 ナギ「執行まで、六十分です。」 凛・陽・湊 執行まで 60分
17 消される 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。陽は画面右の外の湊を見て、かすれた声で陽が「執行って……零時に、消されるってことだろ」。 陽
18 間に合う 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。画面左の外の陽を見て、落ち着いた声で湊が「零時までに議長が失格になれば、間に合う」。 湊

5. 一斉に(7 秒・背景: 湊の部屋)

依頼が動き出す。部屋じゅうのスマホが、同時に鳴り始める。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
19 鳴る 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上の湊の黒いスマホ、凛の膝の上のスマホ、陽の手の中のスマホが同時に光り、「ブーッ」と一斉に震え出す。画面右に湊、画面左に凛、画面左奥に陽。三人は動かず、スマホの光に下から照らされる。発話なし。 湊・凛・陽
20 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。暗い畳の上に並んだ三つのスマホが、金色に光りながら震え続けている寄り。人物も手も映さない。発話なし。 — 第27話 / 最後の依頼

第28話「全員」脚本

9:16 / 約 72 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第28話「全員」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後11時15分、あと45分。日本じゅうのスマホから、ナギが同じことを聞く。「この国の十年後を、エーアイに任せますか。自分たちで決めますか」。渋谷の交差点で人が立ち止まり、夜の学食の厨房で調理の女性が答える。黒川は今夜だけ、自分の配信を湊に貸す。湊は言う。「どっちでもいい。自分で、答えてください」。ナギ「回答が、六千万件を超えました」。

この話の型

  • 掴み: 日本じゅうのスマホから、同じ声が同じことを聞く
  • 感情のピーク: 会社員の女性「……自分で、って言っていいの?」調理の女性「そりゃ、自分でしょ」
  • 引き: ナギ「回答が、六千万件を超えました」

1. 問い(19 秒・背景: 湊の部屋)

日本じゅうのスマホが同時に鳴り、同じ声が同じことを聞く。部屋から街へ、同じ金色の光が広がる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 鳴り続ける 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面下の手前の畳に、金色の光で震え続ける黒いスマホ。画面右に正座した湊、画面左に凛、画面左奥に陽。凛と陽も自分のスマホを手に持ち、その画面も金色に光っている。三人ともスマホを見下ろす。発話なし。 湊・凛・陽 4日目 午後11時15分 / 残り 45分
02 任せますか 6 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。横断歩道の手前で信号待ちをする人が、ちょうど12人。全員が手元のスマホを胸の高さに持ち、どのスマホの画面も同じ金色の光で光っている。ビルの大きな街頭ビジョンも、金色の波形の光だけを映す。全員が動かずにスマホを見つめる。 ナギ「この国の十年後を、エーアイに任せますか。」 —
03 自分たちで 3 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。画面右手前に、グレーのスーツの30代の会社員の女性の胸から上。右手のスマホを胸の高さに持ち、金色の光に照らされた顔で画面を見つめる。背後の奥に、信号待ちの人の群れがぼやけて並ぶ。女性は口を閉じたまま。 ナギ「自分たちで、決めますか。」 —
04 声で 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側。その前の畳に光る黒いスマホ。画面左奥に、並んで座る凛と陽。三人ともスマホを見つめ、口を閉じたまま声を聞く。 ナギ「スマホに、声でお答えください。あと四十五分です。」 湊・凛・陽

2. 交差点(11 秒・背景: 夜の渋谷の交差点)

信号が青になっても、誰も渡らない。夜の渋谷が、一度だけ止まる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
05 渡らない 4 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。信号が青に変わる。横断歩道の手前の12人は誰も渡らず、その場に立ったまま手元の金色の光を見つめている。画面右手前にグレーのスーツの会社員の女性、画面左奥に紺のスーツの60代の男性。車は止まり、交差点の中には誰もいない。発話なし。 —
06 言っていいの 4 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。画面右手前に、グレーのスーツの30代の会社員の女性の胸から上。右手のスマホを胸の高さに持ったまま顔を上げ、半信半疑のつぶやきで女性が「……自分で、って言っていいの?」。背後の奥に信号待ちの人の群れがぼやけて並ぶ。 —
07 楽だよ 3 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。画面右手前に、会社員の女性の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に、紺のスーツの60代の男性。男性はスマホを見下ろしたまま、疲れた声で男性が「……任せたほうが、楽だよ」。 —

3. 厨房(7 秒・背景: 大学の学食)

昼の学食とは別の顔。客のいない夜の厨房で、洗い物の手が止まる。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
08 手が止まる 4 夜の大学の学食の厨房。客席の明かりは消えて誰もいない。蛍光灯がステンレスの調理台と大きな寸胴鍋を白く照らす。画面右に、白い調理服と白い帽子の50代の調理の女性。鍋を洗う手を止め、調理台に置いたスマホの金色の光を見下ろす。発話なし。 —
09 自分でしょ 3 夜の大学の学食の厨房、蛍光灯の白い光。画面右寄りに、白い調理服と白い帽子の50代の調理の女性の胸から上。濡れた手をエプロンでふきながら、あっさりと女性が「そりゃ、自分でしょ」。 —

4. 配信(19 秒・背景: 黒川の配信部屋)

黒川は今夜だけ、自分の配信を湊に明け渡す。いつもの煽りは無い。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
10 つなぐってよ 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左に、自分のスマホを耳から下ろした陽の胸から上。画面右手前に、正座した湊の肩がぼやけて入る。陽は湊を見て陽が「黒川から。配信、つなぐってよ」。 陽・湊
11 貸してやる 6 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。画面左に、ゲーミングチェアに座った黒川の胸から上。アームで吊ったマイクに顔を寄せ、画面右の外のモニターを見て、いつもの軽さを消した声で黒川が「……今夜だけ、俺の配信、あいつに貸してやる」。 黒川
12 答えてください 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを右耳に当てたまま、ゆっくり落ち着いた声で湊が「朝倉みなとです。どっちでもいい。自分で、答えてください」。 湊
13 答えろ 3 夜の配信部屋。紫とピンクの LED の光、リングライト、マイクとモニター。黒川の顔の寄り、画面左寄り、紫とピンクの光。マイク越しにまっすぐ前を見て、短く黒川が「答えろ、全員」。 黒川

5. 六千万(16 秒・背景: 湊の部屋)

数が増えていく。半分に届くかは、誰にも分からない。分からなくていい、と湊は言う。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
14 三千万 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。陽の顔の寄り、画面左寄り、手元のスマホの金色の光が下から顔を照らす。スマホを見下ろしたまま、息をのんで陽が「……三千万、超えた」。 陽
15 半分 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に凛。凛は湊を見て、小さく凛が「……半分、いくかな」。 凛・湊
16 それでいい 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。画面左の外の凛を見て、静かに湊が「分からない。……それでいい」。 湊
17 六千万件 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上に置かれた黒いスマホだけ。画面の金色の波形の光が、声に合わせて揺れる。人物も手も映さない。 ナギ「回答が、六千万件を超えました。」 — 回答 6000万件
18 タイトル 3 夜の渋谷のスクランブル交差点。大きな街頭ビジョンとネオン、信号待ちの人の群れ。交差点を上から見た夜の渋谷。立ち止まった人々の手元のスマホの金色の光が、点々と広がっている。人は小さな点で、顔は見分けられない。発話なし。 — 第28話 / 全員

第29話「残高、0。」脚本

9:16 / 約 82 秒 / 18 カット。香盤表(動画「第29話「残高、0。」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

午後11時59分、あと1分。回答の五十一パーセントが「自分たちで決める」。ナンバーワンの十年後は成り立たず、議長は失格になる。「……五十一か。半分は、任せたかったんだな」。官邸で近藤が議長に手錠をかけ、自分の九十九億で執行を止める。「それでも、裁くのは人間だ」。議長を脱落させたのはナンバーテン——八百億が、ゼロだった湊に移る。零時。ナギ「ナンバーテンの十年後を、実行します」。

この話の型

  • 掴み: 陽「あと、一分……」。残高ゼロの湊が、畳の上のスマホの前に座っている
  • 感情のピーク: 議長「……五十一か。半分は、任せたかったんだな」近藤「……それでも、裁くのは人間だ」
  • 引き: ナギ「零時です。いちばん残高の多い保持者は、ナンバーテン。ナンバーテンの十年後を、実行します」

1. 一分(6 秒・背景: 湊の部屋)

午後11時59分。残高ゼロの湊と、黙って待つ二人。部屋の中で動くのはスマホの光だけ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 あと一分 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側。その前の畳に光る黒いスマホ。画面左奥に、壁にもたれて座る陽。陽は湊の背中を見て、かすれた声で陽が「あと、一分……」。 陽・湊 4日目 午後11時59分 / 残り 1分
02 締め切り 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。畳の上に置かれた黒いスマホだけ。画面の金色の波形の光が、声に合わせて揺れる。人物も手も映さない。 ナギ「回答を、締め切りました。」 —

2. 五十一(21 秒・背景: 官邸の会議室)

夜の官邸と湊の部屋を行き来する。同じ声が、両方で同じ結果を告げる。議長は椅子に座ったまま聞き、近藤は窓際で動かない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
03 五十一パーセント 6 夜の首相官邸の会議室。長い楕円形の木のテーブルと黒い革の椅子。大きな窓の外は夜の闇で、天井の照明だけがテーブルを白く照らす。画面右に、テーブルの端の椅子に座った議長。その前のテーブルに、金色に光る黒いスマホ。画面左奥の窓際に、黒いコートの近藤が立つ。二人とも口を閉じたまま、スマホを見る。 ナギ「五十一パーセントが『自分たちで決める』でした。」 議長・近藤 「自分たちで決める」51%
04 成り立ちません 5 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面左手前に、正座した凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に正座した湊。湊の前の畳に光る黒いスマホ。湊は口を閉じたまま、スマホを見下ろして声を聞く。 ナギ「ナンバーワンの十年後は、成り立ちません。」 湊・凛
05 失格とします 4 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。画面右寄りに、椅子に座った議長の顔の寄り、左に視線の空き。テーブルの上のスマホの金色の光が下から顔を照らす。議長は口を閉じたまま声を聞き、ゆっくり目を閉じる。 ナギ「ナンバーワンを、失格とします。」 議長 No.01 失格
06 半分は 6 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。画面右に、椅子に座った議長の胸から上。画面左奥の窓際に、近藤がぼやけて立つ。議長は目を開けて窓の外の夜を見て、小さく息を吐くように議長が「……五十一か。半分は、任せたかったんだな」。 議長・近藤

3. 手錠(22 秒・背景: 官邸の会議室)

近藤が手錠をかける。エーアイの判定のあとで、人間が裁く側に立つ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
07 カチャッ 4 夜の首相官邸の会議室、天井の白い照明に照らされた木のテーブルの上。テーブルに置かれた議長の右手首と、近藤の両手だけ。近藤が銀色の手錠を議長の手首にかけ、「カチャッ」と鳴る。顔は入れない。 議長・近藤
08 裁くのは人間 6 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。画面左に、議長の横に立つ近藤の胸から上。画面右下の手前に、座った議長の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。近藤は議長を見下ろして、低く乾いた声で近藤が「決めたのはエーアイだ。……それでも、裁くのは人間だ」。 近藤・議長
09 殺させない 5 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。近藤の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。テーブルの上の議長のスマホへ目を落として近藤が「ナギ、こいつの執行を止めろ。殺させない」。 近藤
10 九十九億 4 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。画面左手前に、立っている近藤の肩と腕の背中側。画面右奥に、手錠をかけられて座る議長と、その前のテーブルで金色に光る黒いスマホ。二人とも口を閉じたまま、スマホを見る。 ナギ「九十九億円です。」 近藤・議長 執行の停止 / 99億円
11 払え 3 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。近藤の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。コートのポケットに手を入れ、迷わずに近藤が「払え」。 近藤

4. 八百億(19 秒・背景: 湊の部屋)

ゼロだった残高に、望んでいない金が移ってくる。喜びの声はない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
12 脱落させたのは 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。畳の上のスマホの金色の光が下から顔を照らす。湊は口を閉じたまま声を聞き、わずかに目を見開く。 ナギ「ナンバーワンを脱落させたのは、ナンバーテンです。」 湊
13 八百億円 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。部屋の引き。画面右に正座した湊、画面左に凛、画面左奥に陽。三人の前の畳で、黒いスマホが金色に光る。三人とも口を閉じたまま、動かずにスマホを見下ろす。 ナギ「残高八百億円は、ナンバーテンに移ります。」 湊・凛・陽 残高 0円 → 800億円
13b 取り消し 4 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。正座した湊の顔の寄り、画面右寄り。畳の上の黒いスマホの金色の光が、下から顔を照らす。湊は口を閉じたまま声を聞き、止めていた息をゆっくり吐く。 ナギ「ナンバーテンの執行は、取り消されました。」 湊 執行 取り消し
14 みなと 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。画面右手前に、正座した湊の肩と頭の後ろ側。画面左奥に凛。凛は身を乗り出して湊の袖をつかみ、こらえきれずに凛が「みなと!」。 凛・湊

5. 零時(14 秒・背景: 湊の部屋)

零時。祝う声はない。国の十年後が、静かに一人の保持者の依頼に渡る。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
15 零時です 6 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。テレビの青白い光と、畳の上のスマホの金色の光。湊は口を閉じたまま声を聞き、ゆっくり息を吐く。 ナギ「零時です。いちばん残高の多い保持者は、ナンバーテン。」 湊 5日目 午前0時
16 実行します 5 夜の首相官邸の会議室、窓の外は夜の闇、天井の白い照明。部屋の引き。画面右に、手錠をかけられた両手をテーブルに置いて座る議長。画面左奥の窓際の椅子に、近藤が腰を下ろしている。テーブルの黒いスマホが金色に光る。二人とも口を閉じたまま動かない。 ナギ「ナンバーテンの十年後を、実行します。」 議長・近藤
17 タイトル 3 夜の古い木造アパートの6畳間、湊の部屋。明かりは消え、テレビかスマホの青白い光だけ。暗がりの壁に人物の写真と赤い糸が浮かぶ。写真の壁の寄り。赤い糸が何本も集まる、いちばん上の写真。写真の顔はぼやけて見分けられない。テレビの青白い光がゆっくり消える。人物なし。発話なし。 — 第29話 / 残高、0。

第30話「帰国」脚本

9:16 / 約 76 秒 / 20 カット。香盤表(動画「第30話「帰国」」)と同じ中身。読み方は「…」がセリフ、『…』が画面の中の文字、画面外の声は別の列。

あらすじ

5日目の夜明け、羽田の展望デッキ。四日前に戦闘機で降りた滑走路を、三人が見下ろす。議長は生きて、近藤に連れていかれた。残高は八百億——降りた人の分が全部入った、自分のものではない金。「決める。みんなで」。十年ぶりに国に帰ってきた最初の王が、初めて顔を見せる。「俺も混ぜてくれ」。ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく」。湊「……重いな」。

この話の型

  • 掴み: 夜明けの展望デッキ。四日前に降りた滑走路を、三人が見下ろす
  • 感情のピーク: 最初の王「よう。……決めるのは、これからなんだろ」「俺も混ぜてくれ」
  • 引き: ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく」湊「……重いな」/タイトル『残高、800億。』

1. 夜明け(18 秒・背景: 羽田空港の展望デッキ)

5日目の夜明け。4日前に戦闘機で降りた滑走路を、三人がガラスの柵越しに見下ろす。静かで、少し寒い。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
01 デッキ 5 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。広いデッキの画面右下に、ガラスの柵の前に並んで立つ湊・凛・陽が小さく。画面の上と左を朝焼けの空と滑走路が大きく占め、遠くで旅客機が一機離陸していく。三人は動かずに滑走路を見る。発話なし。 湊・凛・陽 5日目 夜明け
02 降りた 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の胸から上、画面右寄り、左に視線の空き。ガラスの柵に両腕をのせ、朝日に目を細めて、画面左奥の滑走路を見て湊が「四日前、あそこに降りたんだ」。 湊
03 戦闘機 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左寄りに陽の胸から上、右に視線の空き。ガラスの柵にもたれて、少しだけ笑って陽が「戦闘機でな」。 陽
04 生きてる 6 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面右手前に、柵にもたれた湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面左奥に陽。陽はポケットに手を入れたまま湊の方を向いて陽が「議長、生きてるってさ。近藤のおっさんが連れてった」。 陽・湊

2. 八百億(17 秒・背景: 羽田空港の展望デッキ)

手に入った八百億は、誰かが降りた分の集まり。湊は自分の金だと思っていない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
05 どうするの 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。凛の胸から上、画面左寄り、右に視線の空き。朝焼けの光が頬に当たる。凛は画面右の外の湊を見上げて凛が「八百億、どうするの」。 凛
06 俺の金じゃない 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左手前に、凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に、柵の前に立つ湊。湊は滑走路から凛へ目を移して湊が「俺の金じゃない」。 湊・凛
07 降りた人の分 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。右手に黒いスマホを握ったまま、目を伏せて湊が「降りた人の分が、全部入ってる」。 湊 残高 800億円
08 どうすんだよ 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左寄りに陽の胸から上、右に視線の空き。柵から体を起こして陽が「じゃあ、どうすんだよ」。 陽
09 みんなで 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の胸から上、画面右寄り、背後に朝焼けの空。湊は画面左の外の陽と凛を見て、短く湊が「決める。みんなで」。 湊

3. 最初の王(22 秒・背景: 羽田空港の展望デッキ)

10年ぶりに国に帰ってきた男が、初めて顔を見せる。劇的な再会にはしない。軽い声で、目は笑っていない。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
10 歩いてくる 5 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左手前に、柵の前に立つ湊の肩と頭の後ろ側。画面右奥のデッキの入口から、古い黒のバックパックを片方の肩に掛けた最初の王がゆっくり歩いてきて、数歩手前で足を止める。発話なし。 最初の王・湊
11 これからなんだろ 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面右寄りに最初の王の胸から上、左に視線の空き。日に焼けた顔に朝日が当たる。王は画面左の外の湊を見て、軽く片手を上げて王が「よう。……決めるのは、これからなんだろ」。 最初の王
12 その声 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面右手前に、最初の王の肩とバックパックの背中側がぼやけて入る。画面左奥に湊。湊は王の顔をじっと見て湊が「その声……ナンバーゼロか」。 湊・最初の王 最初の王 / No.00
13 混ぜてくれ 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左手前に、湊の肩と頭の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に最初の王。王は口の端を少しだけ上げて王が「俺も混ぜてくれ」。 最初の王・湊
14 誰 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左に並んで立つ陽と凛。陽が画面左手前、凛がその奥。陽は画面右の外の見知らぬ男を見て、小声で陽が「……誰?」。 陽・凛
15 勝った人 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の顔の寄り、画面左寄り、右に視線の空き。画面右の外の王から目を離さずに、静かに湊が「十年前に、勝った人だ」。 湊

4. 義務(19 秒・背景: 羽田空港の展望デッキ)

最後の着信。いつもの決まり文句が、初めて重さを持つ。

カット 尺 画とセリフ 画面外の声 出演 テロップ
16 着信 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の右手と黒いスマホだけ。スマホが「ブーッ」と一度震え、画面が金色の波形の光で明るくなる。顔は入れない。 湊
17 八百億円です 5 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の顔の寄り、画面右寄り、背後に朝焼けの空。黒いスマホを右耳に当てたまま、口を閉じて電話の向こうの声を聞く。 ナギ「ナンバーテン。残高は、八百億円です。」 湊
18 義務 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。画面左手前に、凛の肩と髪の後ろ側がぼやけて入る。画面右奥に、黒いスマホを右耳に当てた湊。湊は口を閉じたまま電話の向こうの声を聞き、朝日の方へ目を上げる。 ナギ「持つ者の義務を、お忘れなく。」 湊・凛
19 重いな 3 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。湊の顔の寄り、画面右寄り、左に視線の空き。黒いスマホを胸の下で握ったまま、朝日を見て小さく湊が「……重いな」。 湊
20 タイトル 4 夜明けの羽田空港の展望デッキ。ガラスの柵の向こうに滑走路と、朝焼けの空。ガラスの柵の向こうの滑走路と、朝焼けの空。旅客機が一機、ゆっくり離陸して光の中へ上がっていく。人物なし。発話なし。 — 残高、800億。

β版(社内デモ・動画あり)

夜間に動画まで作った最初の版。第 1〜6 話は動画がある。社内デモではこのまま使う。

公開に向けた作り直しは「公開版(2 回目のゲーム)」を正とする。

企画書・世界観

企画書『残高、100億。』

ひとことで

記憶を失った 18 歳が、100 億円と「何でも叶える AI」を手に、日本を救うデスゲームに放り込まれる。

TikTok / YouTube Shorts 向けの縦型(9:16)実写調 AI 連続ドラマ。1 話 60〜120 秒、シーズン 1 は全 12 話。

ログライン

記憶を失った青年が目を覚ますと、そこはホワイトハウスの前だった。 手には、残高 100 億円の黒いスマホ。電話の向こうの AI は言う——

「ご依頼は、残高の範囲で何なりと」

なぜ見られるか(狙い)

狙い 仕掛け
冒頭 3 秒で異常事態 1 話目の頭がホワイトハウス前。2 話目以降も「頭に一番デカい絵」を置く
願いのスケールが毎話インフレする 「帰国させて」→ 米軍が戦闘機で送る。視聴者が「次は何を頼む?」と待つ
残高が減っていく 毎話の最後に「ご利用明細」。数字が減るたびに緊張が上がる(使い切ったら終わり)
正体の謎 偽造パスポート、拳銃、消された記憶。「主人公は悪人だったのか?」を最後まで引っぱる
敵が誰か分からない 12 人の保持者は互いの正体を知らない。友人も、恋人も、保持者かもしれない

ショートドラマの型(TikTok / 縦型ドラマアプリの定番に寄せる)

中国発の縦型短劇(1 話 1〜2 分 × 数十話)で伸びている型を、そのまま骨格に使う。

型 この作品での使い方
3 秒フック 各話の最初のカットに一番デカい絵。第 1 話はホワイトハウス前で目を開ける
毎話クリフハンガー 最後の 5 秒で必ず「次を見ないと気が済まない」引き。明細の数字、着信、正体バレ
打脸(見下した相手が青ざめる) 湊に銃を向けた警官が、米軍に護衛される湊を見て慌てて敬礼する。以後、湊をナメた相手は毎回ひっくり返される
願いのインフレ 帰国 → 官邸の貸し切り → 為替 → 国そのもの。依頼のスケールが話ごとに上がる
大きなテロップ 人物の名札(「朝倉 湊(18)記憶、なし。」)、決め台詞、残高の数字を画面に大きく載せる
課金ポイント 第 8〜10 話あたりに最初の大きな謎の答え(湊の過去の使途)を置き、そこまでを無料で見せる想定
1 話 1 アイデア 1 話に事件は 1 つ。説明はセリフでなく絵と明細で済ませる

世界のルール

  1. ある日、日本各地の 12 人に黒いスマホが届く。番号は No.01〜No.12。
  2. 各スマホの残高は 100 億円。
  3. 電話をかけると AI コンシェルジュ**「ナギ」**が出る。残高の範囲なら、法律も国境も関係なく、どんな依頼でも実現する。
  4. 使命はひとつ。「この国を救え」。何が「救う」なのかは誰も説明されていない。
  5. 期限は 100 日。
  6. 残高を使い切った者、使命を放棄した者、「救国に反する」とナギに判定された者は**「執行」**される——つまり、消える。
  7. 最初に使命を果たした 1 人だけが生き残る。

主人公の謎(シーズンを通す縦軸)

  • 湊(No.09)は、なぜ記憶を消されてワシントンにいたのか
  • バッグの拳銃と、顔写真がすべて自分の 6 冊のパスポートは何か
  • 湊は 3 か月前、大学から突然消えていた。その間にすでに何かをしている
  • 残高は本当に 100 億「から」始まったのか?(第 5 話で明細の履歴が開く)

トーン

  • ハリウッドのスリラーの質感で撮る実写調。夜明け前の青、回転灯の赤と青、朝焼けのオレンジ
  • 主人公は巻き込まれ型。怯える → でも肝が据わる。ツッコミ役は大学の友人たち
  • 大げさな依頼 → 本当に叶う → 明細で現実に引き戻される、の笑いと緊張の往復

着想元

アニメ『東のエデン』(記憶喪失の青年・ホワイトハウス・巨額の資金・12 人のゲーム)。 デモとして外に出すため、固有名(AI・端末・組織の名前)は使わず、本作では「ナギ」「黒いスマホ」「保持者」と呼ぶ。

制作の組み方(Konte)

  • キャスト: 湊を 1 人登録し、参照画像 1 枚で全カットの顔と服を固定する。凛・陽は第 2 話以降で追加
  • 背景セット: ホワイトハウス前 / 裏路地 / 09 号室 / 空軍基地 / 戦闘機の後席。次話以降も使い回す
  • 画面内の文字: 着信画面・明細・タイトルは UI の静止画を先に作り、その 1 枚から動かす(文字崩れ対策)
  • 撮り直し: 崩れたカットだけを差し替える。シリーズを通してキャスト・背景が資産として積み上がる

シーズン1 構成(全30話)

シーズン 1 構成(全 30 話)

1 話 60〜120 秒。各話の頭に一番デカい絵、終わりに「ご利用明細」か「引き」。 3 幕 × 10 話。

第 1 幕「帰国」— 第 1〜10 話:ルールを知る

話 サブタイトル 何が起きるか 最後の引き 残高
1 帰国便 記憶のない湊がホワイトハウス前で目覚める。警官に追われ、09 号室で拳銃と 6 冊のパスポート。ナギに「日本に帰して」と頼むと、米軍が戦闘機で迎えに来る。銃を向けた警官が青ざめて敬礼 明細「航空機代 −1 億」「……一億?」 99 億
2 羽田 羽田の滑走路に米軍の戦闘機。テレビが生中継する中、タラップを降りた湊を、規制線を越えて走ってきた凛が平手打ち。「3 か月、どこにいたの!」 凛の鞄の中で、黒いスマホが光る 99 億
3 早稲田 凛と陽に連れられて早稲田のアパートへ。陽まで忘れられている。壁一面に 12 人の隠し撮り写真と、赤い × 印が 2 つ(No.11 の救急医と、凛) 凛「……その×、あなたが付けたんだよ」 99 億
4 学食 大学で、湊を「失踪した変人」と笑う先輩・黒川。トレーをひっくり返された湊は、学食の全メニューを一生無料にする(打脸) 黒川のスマホにも『No.06』。「見つけたぜ、No.09」 89 億
5 執行 ニュース速報: 地方の救急医が不審死。ナギから全員に一斉通知「No.11 は失格となりました」 湊のスマホに No.01 から着信 98.9 億
6 議長 No.01「議長」との通話。「君はもう、一度この国を救いかけた。覚えていないのか」 議長「会おう。首相官邸で」 98.9 億
7 官邸 湊はナギに「首相官邸を 1 日貸し切ってくれ」。本当に首相が出ていく 官邸の会議室に、議長がすでに座っている 90 億
8 取引 議長は「100 億を 1 つにまとめよう」と持ちかける。12 人の残高を 1 人に集めれば、国を丸ごと買える 議長の背後の写真に、湊と議長が並んで写っている 90 億
9 履歴 「俺が過去に何をしたか教えてくれ」。ナギ「履歴の開示には 1 億円かかります」。湊は払う 過去の明細に「ミサイル 1 発 −30 億」 89 億
10 前科 湊はワシントンで何をしようとしていたのか。凛が No.04 だと湊にバレる 凛「私は、あなたを止めるために選ばれたの」 89 億

第 2 幕「ゲーム」— 第 11〜20 話:保持者どうしの戦い

話 サブタイトル 何が起きるか 最後の引き
11 No.07 17 歳のインフルエンサー No.07 が全額を国民に配ると生配信で宣言 配信のコメント欄に「No.09 の居場所を知ってる」
12 配布 日本中が No.07 に熱狂。残高が 0 に近づく 残高 0。配信が途切れる
13 0 円 No.07 が執行される。湊は助けに行くが間に合わない ナギ「残高 0 の方への依頼はお受けできません」
14 為替 元財務官僚の No.03 が円を守るため市場を動かす。湊の残高で円が暴騰する 湊の残高が一晩で 2 倍に
15 倍 残高 178 億。ルールの穴に気づく湊。陽が仕組みを解析する 陽「湊、これ……お前が前にやったことと同じだ」
16 陽 陽が消える。部屋には陽のメモと、黒いスマホの箱(空) 箱に刻まれた番号「No.12」
17 13 人目 12 人のはずの保持者に、13 番目がいる ナギ「その質問にはお答えできません」
18 凛の残高 凛の残高はすでに 3 億。彼女は何に使ったのか 凛の明細「朝倉湊 捜索費 −97 億」
19 97 億 凛は湊を探すためだけに全部を使っていた 凛の残り日数、あと 3 日
20 救出 湊は凛の執行を止める依頼をする ナギ「その依頼には、50 億が必要です」

第 3 幕「救国」— 第 21〜30 話:記憶と最後の依頼

話 サブタイトル 何が起きるか 最後の引き
21 50 億 湊は払う。凛は生き残る 残高 39 億。湊の手が震える
22 記憶 湊の記憶が戻り始める。ワシントンで大統領に会っていた 「俺が、日本を売ろうとしていた——?」
23 真相 3 か月前の湊は、国を救うために一度すべてを賭けて失敗し、自分で記憶を消していた 自分宛てのビデオメッセージ
24 自分へ 過去の湊「俺を信じるな。議長を信じるな。凛だけは信じろ」 ビデオの最後に映る 13 人目の顔
25 議長の依頼 議長が 11 人分の残高を集め、国会を解散させる 議長の残高 800 億
26 800 億 湊には勝てない額。陽が戻ってくる 陽「残高じゃ勝てない。ルールで勝つ」
27 ルール 「この国を救え」の本当の意味に気づく ナギ「その解釈は、承認されました」
28 最後の依頼 湊は全額を使う最後の依頼を決める ナギ「その依頼には、全額が必要です」
29 残高、0。 湊の依頼が実行される。日本中のスマホが同時に鳴る 湊の残高 0。執行のカウントダウン
30 帰国 —— 次のシーズンの No.09 が、別の誰かの手に届く

第 1 話の尺配分(約 125 秒 / 32 カット)

チャプター 尺 役割
1 目覚め 19 秒 フック。ホワイトハウス × 記憶喪失 × 銃口
2 逃走 12 秒 テンポを上げる。鍵『ROOM 09』で次へ
3 アジト 25 秒 謎。拳銃・札束・6 冊のパスポート。「悪いやつだったのか」
4 着信 25 秒 ナギ登場。「残高の範囲でしたら、何なりと」→「日本に帰してくれ」
5 帰国便 33 秒 スケールの爆発と打脸。米軍・敬礼・青ざめる警官・戦闘機・雲海
6 明細 11 秒 オチ。−1 億。「……一億?」→ タイトル

登場人物

登場人物

湊(みなと)/ 朝倉 湊 — No.09 ★主人公

  • 18 歳。 早稲田の 1 年生だった。3 か月前に突然大学から消えている。
  • 見た目: TikTok で一番伸びる「透明感のある塩顔」。色白、切れ長で優しい目、すっと通った鼻筋。黒髪のやわらかいマッシュ、目にかかるシースルーの前髪。細身で 172cm。
  • 衣装(第 1 話の基準): ライトグレーの無地のプルオーバーパーカー(フードは下ろす)、黒のスリムデニム、白いローカットのスニーカー。アクセサリーなし。
  • 性格: 普段は気の抜けた、どこにでもいる大学生。追い詰められると目が泳ぎ、声が震える。いざとなると妙に肝が据わって、とんでもない依頼を口にする。
  • 声: 若くて少しかすれた声。叫ばず、息の混じった小声が多い。
  • 秘密: 記憶を消されている。バッグの拳銃、6 冊の偽造パスポート。自分は「悪いやつ」だったのではないかと怯えている。

ナギ — AI コンシェルジュ

  • 黒いスマホの向こうの AI。声だけ。画面には金色の波形と「NAGI」の文字。
  • 落ち着いた若い女性の声。丁寧すぎるほど丁寧で、どんな無茶にも「承知しました」。
  • 依頼の中身に善悪の判断をしない。ただし「救国に反する」と判定した保持者は、同じ声のまま「執行」を告げる。
  • 決まり文句: 「ご依頼は、残高の範囲で何なりと」「承知しました」「ご利用ありがとうございました」

凛(りん)— 湊の大学の友人(第 2 話〜)

  • 19 歳。 早稲田の文学部 2 年。湊が消えた 3 か月間、ひとりで湊を探し続けていた。
  • 見た目: 黒髪のボブ、意志の強い目。白いシャツにデニム、キャンバス地のトートバッグ。
  • 性格: 気が強く、面倒見がいい。湊には容赦なくツッコむ。
  • 秘密: 彼女の鞄の中にも、黒いスマホ(No.04)がある。

陽(よう)— 湊の大学の友人(第 3 話〜)

  • 19 歳。 早稲田の理工学部 2 年。お調子者の情報通。ハッカー気質で、ニュースの裏を読むのが趣味。
  • 見た目: 丸顔でほっぺたのふっくらした愛嬌のある顔。アッシュベージュ(ミルクティー色)のマッシュ、太い黒縁の丸眼鏡、オーバーサイズのマスタード色のスウェット。
  • 役割: 視聴者の代わりに驚き、ルールを解説し、笑いを取る。保持者ではない——と本人は言っている。

ミラー巡査 — ワシントン D.C. 警察(第 1 話)

  • 40 代の白人男性。 がっしりした体格、砂色の短髪、濃い口ひげ、赤ら顔。紺の制服に銀のバッジ、制帽。
  • ホワイトハウス前で湊に銃を向ける。数十分後、米軍に護衛される湊を見て青ざめ、慌てて敬礼する(打脸の受け役)。
  • セリフは英語。「Freeze! Hands where I can see them!」

黒川 — 湊の大学の先輩 / No.06(第 4 話〜)

  • 21 歳。 派手な先輩グループの中心。銀髪のツーブロック、黒の革ジャケットに白い T シャツ、細い金のチェーン。
  • 湊を「失踪した変人」と笑いものにするが、学食の一件で青ざめる(打脸の受け役・大学編)。
  • 実は No.06 の保持者。「見つけたぜ、No.09」。

議長 — No.01(第 5 話の声〜第 6 話で登場)

  • 70 代。 白髪をオールバックに整えた痩身の老人。濃紺のスリーピーススーツ、銀のカフスボタン。永田町を見下ろす高層階の書斎にいる。
  • 穏やかで丁寧な口調のまま、相手の弱みを正確に突く。湊の過去を知っている。「君は一度、この国を救いかけたんだよ」
  • 100 億で永田町を買いに行く、シーズン 1 の最初の敵。

他の保持者(シーズン 1 で登場)

番号 人物 何に使うか
No.01 「議長」と呼ばれる初老の男 100 億で永田町を買いに行く。最初の敵
No.03 元財務官僚の女性 円を守るために為替市場を動かす
No.07 17 歳の女子高生インフルエンサー 全額を配って「国民の支持」を買う
No.11 地方の救急医 医療に全額を注ぎ込もうとして、第 5 話で「執行」される
No.04 凛 ——
No.09 湊 帰国便。残高 99 億

(残り 6 人は未登場。シーズン 2 以降の余白として空けておく)

小道具

  • 黒いスマホ — マットブラックに細い金の縁取り。背面に小さな金の刻印「No.09」。
  • ルームキー — 真鍮の鍵と、赤いプラスチックのタグ「ROOM 09」。
  • 黒いダッフルバッグ — 拳銃 1 丁、帯付きの札束、顔写真がすべて湊のパスポート 6 冊(名前も国籍もバラバラ)。

第1話「帰国便」脚本

第1話「帰国便」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 125 秒 / 32 カット。香盤表(動画「第1話「帰国便」」)と同じ中身。

ログライン

記憶を失った 18 歳の青年が目を覚ますと、そこはホワイトハウスの前だった。手には、残高 100 億円の黒いスマホ。電話の向こうの AI は言う——「ご依頼は、残高の範囲で何なりと」。

読み方

  • 「…」は画面の人物が口にするセリフ。ナギ(声)は画面に映らない声。『…』は画面の中に映る文字。
  • テロップは仕上げで動画の上に載せる文字(生成には渡らない)。
  • 着信画面・明細・タイトルは、文字を崩さないよう UI の静止画を先に作り、その 1 枚から動かす。

1. 目覚め

夜明け前の青い光と、パトカーの赤と青の回転灯。何が起きているのか分からない不安を、手持ちの揺れと浅いピントで見せる。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
01 目覚め 3.0 湊の閉じていたまぶたがゆっくり開き、焦点の合わない瞳に赤と青の光が揺れて映る。 — 湊 —
02 ホワイトハウスの前 5.0 夜明け前、誰もいない歩道。黒い鉄柵の前にひとり立ち尽くす湊。右手に黒いスマホを握っている。湊の背後に白いホワイトハウスがそびえている。湊が小さくつぶやく「……どこだ、ここ」 — 湊 ワシントン D.C. / 午前 5 時 42 分
03 名前が出てこない 4.0 湊が自分の手のひらと黒いスマホを見下ろし、顔を上げて不安そうにあたりを見回す。呼吸が浅い。湊「俺……誰だ?」 — 湊 朝倉 湊(18) / 記憶、なし。
04 包囲 4.0 パトカー2台がタイヤを鳴らして急停止し、制服の警官2人がドアを開けて銃を構えながら飛び出してくる。赤と青の回転灯。先頭のミラー巡査が叫ぶ「Freeze! Hands where I can see them!」 — ミラー巡査 「動くな! 両手を見せろ!」
05 逃げる 3.0 湊が両手を半分上げかけて……次の瞬間、踵を返して全力で走り出す。 — 湊 —

2. 逃走

路地は冷たい青と、奥のナトリウム灯のオレンジ。濡れた路面に回転灯の赤と青が反射する。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
06 追跡 4.0 濡れた裏路地を全力で走る湊。水たまりを蹴って水しぶきが上がる。路地の入口に回転灯の赤と青の光。 — 湊 —
07 身を潜める 4.0 大きな緑のゴミコンテナの陰にしゃがみ込み、口を手で押さえて息を殺す湊。懐中電灯の白い光が壁をなめて、湊のすぐ上を通り過ぎていく。 — 湊 —
08 ルームキー 4.0 湊がパーカーのポケットから真鍮の鍵を取り出し、目の前にかざす。赤いプラスチックのタグに白い文字で『ROOM 09』と書いてある。湊がつぶやく「……09?」 — 湊 —

3. アジト

部屋は薄暗く、ブラインドの隙間から差す冷たい朝の光と、ほこりっぽい暖色の影。静かで息苦しい。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
09 09号室 4.0 古いドアが開いて湊が滑り込むように入ってくる。背中でドアを閉めてチェーンを掛け、ドアにもたれて荒い息をつく。 — 湊 —
10 黒いバッグ 4.0 薄暗い部屋。ブラインドの隙間から細い光が差し込み、乱れたベッドの上に黒いダッフルバッグが置いてある。湊がゆっくりベッドに近づいていく。 — 湊 —
11 中身 4.0 湊の手がベッドの上の黒いダッフルバッグのジッパーを開ける。中から黒い拳銃、帯のついた札束、パスポートの束がのぞく。 — 湊 —
12 拳銃 4.0 湊が拳銃をおそるおそる持ち上げ、その重さに固まる。拳銃を持つ手が小刻みに震えている。 — 湊 —
13 6冊のパスポート 4.0 湊の手が、ベッドの上にパスポートを1冊ずつ開いて並べていく。どのパスポートの顔写真も湊の顔。表紙の色も国もバラバラ。 — 湊 6 冊のパスポート。 / 名前は、全部ちがう。
14 疑い 5.0 ブラインドの影が縞になって湊の顔に落ちる。目に涙がにじみ、震える声で湊「俺……何やったんだよ。まさか、悪いやつだったのか……?」 — 湊 —

4. 着信

スマホの画面の光が湊の顔を下から照らす。ナギの声は電話越しに聞こえる、落ち着いた若い女性の声(少しこもった通話の音質)。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
15 着信 3.0 ベッドの上に置かれた、細い金の縁取りのマットブラックのスマホが震え、画面がぱっと明るく点く。 — — —
16 着信画面 3.0 スマホの着信画面。画面はそのまま、NAGI の名前の上の金色の波形だけがゆっくり脈打つ。(UI 静止画から) — — —
17 ナギ 4.0 湊がおそるおそるスマホを耳に当てる。画面の光が湊の顔を照らす。 おはようございます、No.09。コンシェルジュのナギです。 湊 ナギ / 残高の範囲で、何でも叶える AI
18 何でも? 4.0 スマホを耳に当てたまま、湊が疑うように小声で聞く「……何でも、してくれるのか?」 — 湊 —
19 残高の範囲で 4.0 スマホを耳に当てた湊が、息をのんで目を見開く。 残高の範囲でしたら、何なりと。 湊 —
20 帰してくれ 4.0 湊が意を決して顔を上げ、スマホに向かってはっきり言う「じゃあ今すぐ……俺を、日本に帰してくれ」 — 湊 —
21 承知しました 3.0 スマホを耳に当てたまま固まる湊。通話が切れて静まり返り、窓ガラスが細かく震え始める。 承知しました。 湊 —

5. 帰国便

ここから一気にスケールが上がる。轟音、サーチライト、朝焼け。ハリウッドのアクション映画の画作り。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
22 光 4.0 ブラインドの外が真っ白に光り、部屋じゅうが揺れる。湊が窓に駆け寄り、指でブラインドの羽を押し下げて外をのぞく。 — 湊 —
23 包囲網 4.0 古いモーテルの駐車場を軍用トラックと装甲車が埋め尽くし、武装した米兵がずらりと並んでいる。上空では軍用ヘリが3機ホバリングし、サーチライトでモーテルを照らしている。夜明けの青い空。 — — 依頼から、4 分。
24 お迎え 5.0 部屋のドアが開き、完全装備の米兵4人が入ってきて湊の前に整列し、揃って敬礼する。先頭の兵士がはっきり言う「Sir. Your ride to Japan is ready.」湊はぽかんと口を開けて固まっている。 — 湊 「日本行きの便のご用意ができております」
25 青ざめる警官 4.0 モーテルの駐車場。米兵に両脇を守られて歩いていく湊を、パトカーの横に立つミラー巡査が見つける。ミラー巡査は口を開けたまま青ざめ、慌てて制帽を取り、ぎこちなく敬礼する。 — ミラー巡査・湊 (……何者なんだ、あいつは)
26 滑走路 4.0 朝焼けの空軍基地。キャノピーの開いた複座の戦闘機の横で、両脇を米兵に固められた湊が、パイロット用のヘルメットを手渡される。 — 湊 —
27 後席 4.0 戦闘機の後席に座らされ、パイロット用のヘルメットをかぶった湊(バイザーは上げていて顔が見える)。頭上でキャノピーがゆっくり閉まっていく。湊があわてて「ちょ、ちょっと待っ——」 — 湊 —
28 離陸 4.0 灰色の戦闘機がアフターバーナーのオレンジの炎を噴いて滑走路を走り、機首を上げて急上昇していく。 — — —
29 東へ 4.0 雲海の上、朝日を浴びながら灰色の複座の戦闘機が東へ飛んでいく。 — — 行き先:日本

6. 明細

オチ。100 億の残高から、帰国便の代金として 1 億が引かれる。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
30 明細 4.0 スマホのご利用明細の画面。画面はそのまま、残高の金色の数字だけがかすかに光る。(UI 静止画から) — — —
31 一億? 4.0 戦闘機の後席。バイザーを上げた湊がスマホの画面を見つめ、あっけにとられて小さくつぶやく「……一億?」キャノピーの外には雲海と朝日。 — 湊 —
32 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — — 次回 第 2 話「羽田」

次話への引き

羽田の滑走路に米軍の戦闘機が降りる。規制線を越えて走ってきた凛が、タラップを降りた湊を平手打ち。「3 か月、どこにいたの!」——その鞄の中で、黒いスマホが光る。

第2話「羽田」脚本

第2話「羽田」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 63 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第2話「羽田」」)と同じ中身。

あらすじ

羽田空港に米軍の戦闘機が着陸し、テレビが生中継する。フラッシュの嵐の中、タラップを降りた湊を、規制線を越えて走ってきた凛が平手打ちする。「3 か月、どこにいたの!」——だが湊は、彼女を覚えていない。「……ごめん。君、誰?」。凛は黙って湊の手を引く。その鞄の中で、もう 1 台の黒いスマホ『No.04』が光っている。

ショートドラマの型

  • 3 秒フック: 羽田に戦闘機が降りる
  • 感情のピーク: 平手打ち →「君、誰?」で視聴者に「えっ」を言わせる(記憶喪失の使いどころ)
  • 引き: 凛も保持者(No.04)

1. 着陸

朝の羽田。澄んだ冷たい光と、ジェットの陽炎。日常の空港に、ありえないものが降りてくる違和感。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
01 着陸 4.0 朝の羽田空港の滑走路に、灰色の複座の戦闘機が滑り込むように着陸する。機体の後ろでドラッグシュートがぱっと開く。 — — 羽田空港 / 午前 7 時 10 分
02 速報 4.0 報道スタジオ。女性アナウンサーが原稿を手に、緊張した顔で読み上げる「速報です。羽田空港に、アメリカ軍の戦闘機が着陸しました」 — — 【速報】羽田に米軍機
03 規制線 4.0 滑走路脇の規制線の外に報道陣と野次馬が押し寄せ、一斉にスマホとカメラを戦闘機へ向ける。 — — —

2. タラップ

フラッシュの嵐。湊は何が起きているのか分からないまま、世界中の注目を浴びている。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
04 キャノピー 4.0 戦闘機のキャノピーがゆっくり開き、後席の湊がヘルメットを脱いで、まぶしそうに顔を出す。 — 湊 —
05 フラッシュ 3.0 無数のカメラのフラッシュが湊に浴びせられ、湊が思わず手で顔を覆う。 — 湊 —
06 はしご 4.0 湊が戦闘機の搭乗はしごをぎこちなく降りてくる。最後の一段で足がもつれる。 — 湊 —
07 走ってくる女 4.0 規制線のテープをくぐり抜け、制止する警備員の腕を振り切って、凛が滑走路を全力で走ってくる。 — 凛 凛(19) / 湊の大学の友人

3. 平手打ち

感情のピーク。風の音だけになる。二人のあいだの 3 か月が一瞬で噴き出す。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
08 対面 4.0 息を切らした凛が湊の目の前で立ち止まり、涙をこらえて湊をにらみつける。湊は戸惑って立ち尽くしている。 — 凛・湊 —
09 平手打ち 3.0 凛が思いきり湊の頬を平手打ちする。湊の顔が横に振れる。 — 凛・湊 —
10 どこにいたの 4.0 凛が涙目で叫ぶ「3か月、どこにいたの!」 — 凛 —
11 誰? 4.0 頬を押さえた湊が、戸惑いながら小さく聞き返す「……ごめん。君、誰?」 — 湊 —
12 凍りつく 3.0 凛の表情が凍りつく。見開いた目から涙が一粒こぼれる。 — 凛 —

4. No.04

引き。凛もまた、黒いスマホの保持者だった。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
13 手を引く 4.0 凛が黙って湊の手首をつかみ、報道陣に背を向けて滑走路を引っぱっていく。 — 凛・湊 —
14 ご帰国 4.0 凛に引っぱられながら、湊がパーカーのポケットの黒いスマホを取り出して見る。画面が光っている。 No.09、ご帰国おめでとうございます。 湊 —
15 鞄の中 4.0 凛の肩から下がるキャンバス地のトートバッグの中で、もう1台の黒いスマホ(細い金の縁取り)が静かに光る。スマホの背面には金の文字で『No.04』と刻まれている。 — — No.04
16 凛の横顔 3.0 湊の手を引いて歩く凛の横顔。前だけを見つめ、唇をかみしめている。 — 凛 (……やっと、見つけた)
17 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — — 次回 第 3 話「早稲田」

第3話「早稲田」脚本

第3話「早稲田」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 58 秒 / 15 カット。香盤表(動画「第3話「早稲田」」)と同じ中身。

あらすじ

凛に連れられて早稲田の学生街へ。路地から飛び出してきた友人・陽は、自分まで忘れられていると知って叫ぶ。3 人は湊のアパートへ。カーテンを開けると、壁一面に 12 人の隠し撮り写真と赤い糸。No.01〜No.12 の番号のうち、2 枚に赤い×。1 枚は白衣の男(No.11)。もう 1 枚は——凛(No.04)だった。凛は静かに言う。「……その×、あなたが付けたんだよ」

ショートドラマの型

  • 緩急: 前半は陽の「俺のことも忘れてんの!?」でコメディ、後半は写真の壁で一気に冷える
  • 伏線: ×の付いた No.11(救急医)は第 5 話で執行される。×=消される印、と第 5 話で分かる
  • 引き: ×を付けたのは、記憶を失う前の湊自身

1. 早稲田

朝の早稲田の学生街。やわらかい朝日と、日常のざわめき。第1〜2話の非日常から一転、軽いコメディのテンポ。

カット 尺 画とセリフ 出演 テロップ
01 学生街 4.0 朝の早稲田の学生街。古い本屋や定食屋が並ぶ坂道を学生たちが行き交う。その人波の中を、凛に手首を引かれて湊が歩いていく。 凛・湊 東京・早稲田
02 陽 4.0 路地の角から丸眼鏡の陽が飛び出してきて、湊に勢いよく抱きつく。陽が叫ぶ「湊ぁ! 生きてたのかよ!」 陽・湊 陽(19) / 湊の友人・自称情報通
03 君も誰? 4.0 陽に抱きつかれたまま固まった湊が、申し訳なさそうに小声で聞く「……ごめん。君も、誰?」 湊 —
04 俺も!? 3.0 陽が湊から飛びのき、目を丸くして叫ぶ「俺のことも忘れてんの!?」 陽 —
05 記憶喪失 4.0 腕を組んだ凛が、ため息まじりに言う「全部忘れてるの。この3か月も、その前も」 凛 —

2. 部屋

古い木造アパートの 6 畳間。閉め切った部屋のほこりと、カーテンを開けた瞬間の朝の光。空気が一気に冷える。

カット 尺 画とセリフ 出演 テロップ
06 外階段 4.0 古い木造アパートの錆びた外階段を、湊・凛・陽の3人が上っていく。 湊・凛・陽 —
07 暗い部屋 4.0 ドアを開けると部屋は真っ暗。凛が窓のカーテンを一気に開け、朝の光が部屋に差し込む。 凛 —
08 壁 5.0 光に照らされた壁一面に、隠し撮りのような12枚の人物写真が貼られ、赤い糸で結ばれている。湊・凛・陽の3人が息をのんで立ち尽くす。 湊・凛・陽 —
09 なんだよ 3.0 陽が丸眼鏡を押し上げ、青ざめてつぶやく「なんだよ、これ……」 陽 —
10 番号 4.0 壁の写真の下に、手書きで『No.01』から『No.12』までの番号。そのうち2枚の写真に、赤いマーカーで大きな×が書かれている。 — 12 人の保持者。 / × が、2 つ。
11 No.11 4.0 湊が震える手で、×の付いた1枚の写真に触れる。白衣を着た中年の男性の写真で、その下に『No.11』と書かれている。 湊 —

3. ×

引き。×の 2 枚目は、凛だった。

カット 尺 画とセリフ 出演 テロップ
12 もう1枚 4.0 壁に貼られた、もう1枚の×の写真。それは凛の写真で、その下に『No.04』と書かれている。 凛 —
13 振り返る 3.0 湊がゆっくりと振り返り、背後に立つ凛を見る。 湊 —
14 あなたが 5.0 部屋の入口に立つ凛が、表情を変えずに湊を見つめ、静かに言う「……その×、あなたが付けたんだよ」 凛 —
15 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — 次回 第 4 話「学食」

第4話「学食」脚本

第4話「学食」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 64 秒 / 17 カット。香盤表(動画「第4話「学食」」)と同じ中身。

あらすじ

「3 か月前、あなたは私の写真に×を付けて、そのまま消えたの」。凍りつく空気を陽が壊し、3 人は大学の学食へ。そこで派手な先輩・黒川が湊を「失踪した変人」と笑い、わざとトレーをひっくり返す。湊は黒いスマホを耳に当てる。「……ナギ。この学食、全メニュー一生タダにしてくれ」。館内放送、学生たちの大歓声、青ざめる黒川。明細は −10 億。だが一人になった黒川のポケットにも、黒いスマホ——No.06。

ショートドラマの型

  • 打脸: 笑いもの → ナギへの一言 → 全員が振り返る → 先輩が青ざめる(第 1 話のミラー巡査と同じ型を大学でやる)
  • 願いのインフレ: 帰国便 1 億 → 学食 10 億
  • 引き: 笑っていた先輩も保持者(No.06)。「見つけたぜ、No.09」

1. ×の意味

第3話の引きの直後。写真の壁の前、張りつめた空気を陽がぶち壊す。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
01 ×の意味 5.0 写真の壁の前で、凛が湊をまっすぐ見つめて言う「3か月前、あなたは私の写真に×を付けて、そのまま消えたの」 — 凛 —
02 俺が 4.0 湊が青ざめ、壁の凛の写真と目の前の凛を見比べる。湊「俺が……凛を?」 — 湊 —
03 飯行こうぜ 4.0 張りつめた空気の中、陽が手を叩いて割って入る「と、とりあえず飯行こうぜ! 腹減ってると頭回んねえし!」 — 陽 —

2. 学食

昼どきの大学の学食。にぎやかで明るい。前半は湊が笑いものにされ、ナギへの一言で空気がひっくり返る(打脸)。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
04 学食 4.0 昼どきの大学の学食。長いテーブルに学生がぎっしり座り、カウンターには長い行列。トレーを持った湊・凛・陽の3人が列に並んでいる。 — 湊・凛・陽 大学の学食 昼 12 時
05 黒川 4.0 派手な先輩グループの中心にいる黒川が、湊を指さして大声で笑う「おい見ろよ、失踪した変人が帰ってきたぞ!」 — 黒川 黒川(21) / 湊の大学の先輩
06 トレー 3.0 すれ違いざまに黒川がわざと肩をぶつけ、湊の持っていたトレーがひっくり返る。カレーが床に飛び散る。 — 黒川・湊 —
07 デマ 4.0 黒川が湊を見下ろしてあざ笑う「戦闘機で帰ってきたとか、どうせネットのデマだろ? ダッセ」後ろで取り巻きたちも笑う。 — 黒川 —
08 陽キレる 3.0 陽が黒川に食ってかかろうとするのを、凛が陽の腕をつかんで止める。 — 陽・凛 —
09 ナギ 4.0 床のカレーを見下ろしていた湊が、静かにパーカーのポケットから黒いスマホを取り出して耳に当て、小声で言う「……ナギ。この学食、全メニュー一生タダにしてくれ」 — 湊 —
10 承知しました 3.0 スマホを耳に当てたまま、湊が黒川をまっすぐ見返す。 承知しました。 湊 —
11 館内放送 4.0 学食の厨房の奥で、白い帽子とエプロンの年配の調理スタッフの女性がマイクを握り、戸惑いながら読み上げる「えー……ただいまより当学食は、全メニュー、永久に無料となりました!」 — — —
12 歓声 4.0 一瞬の静寂のあと、学食じゅうの学生が一斉に立ち上がって歓声を上げ、真ん中に立つ湊のほうを振り返る。 — 湊 —
13 青ざめる 4.0 黒川の顔から笑みが消え、手にしていたスプーンが床に落ちる。取り巻きたちがおそるおそる黒川と湊を見比べる。 — 黒川 (……嘘だろ)

3. No.06

明細で現実に戻し、最後に新しい敵の正体を見せる。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
14 明細 4.0 スマホのご利用明細の画面。画面はそのまま、残高の金色の数字だけがかすかに光る。(UI 静止画から) — — —
15 廊下 4.0 学食の外の薄暗い廊下。一人になった黒川が、革ジャケットの内ポケットから黒いスマホ(細い金の縁取り)を取り出す。スマホの背面に金の文字で『No.06』と刻まれている。 — 黒川 No.06
16 見つけた 3.0 黒川が口の端を上げ、スマホに向かってささやく「……見つけたぜ、No.09」 — 黒川 —
17 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — — 次回 第 5 話「執行」

第5話「執行」脚本

第5話「執行」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 57 秒 / 15 カット。香盤表(動画「第5話「執行」」)と同じ中身。

あらすじ

その夜のニュース。秋田の救急医が不審死——テレビに映った顔写真は、壁の No.11 だった。湊のスマホに、ナギから全保持者への通知が届く。「No.11 は失格となりました。執行は完了しています」。×の付いた写真が消えていく。凛は力なく笑う。「じゃあ次は、私の番だね」。そのとき、湊のスマホが鳴る。発信者は No.01。「はじめまして、No.09。……いや。久しぶり、と言うべきかな」

ショートドラマの型

  • ルールの提示: 通知 1 本でデスゲームが本物だと分からせる(説明台詞を使わない)
  • 感情: 凛の「次は、私の番だね」
  • 引き: 黒幕 No.01(議長)の「久しぶり」——湊は過去に議長と会っている

1. 速報

夜の湊の部屋。明かりは消え、テレビの青白い光だけが 3 人の顔を照らす。壁の写真が暗がりに浮かぶ。

カット 尺 画とセリフ 声(画面外) 出演 テロップ
01 ニュース 4.0 報道スタジオ。女性アナウンサーが硬い表情で原稿を読み上げる「今朝、秋田県の病院で、救急医の男性が死亡しているのが見つかりました」 — — 【速報】救急医が不審死
02 3人 4.0 夜の暗い部屋。テレビの青白い光に照らされて、畳に並んで座る湊・凛・陽の3人。誰も口を開かない。 — 湊・凛・陽 その夜
03 顔写真 3.0 テレビの画面に、白衣を着た中年の男性の顔写真が映し出される。 — — —
04 No.11 4.0 陽が壁の写真とテレビを見比べ、声を震わせる「この人……壁の、No.11じゃん」 — 陽 —

2. 通知

通知 1 本で、ゲームが本物だと分かる。

カット 尺 画とセリフ 声(画面外) 出演 テロップ
05 振動 3.0 畳の上に置かれた湊の黒いスマホ(細い金の縁取り)が短く震え、画面が赤く光る。 — — —
06 通知画面 4.0 スマホのロック画面に届いた通知。画面はそのまま、通知の縁の赤い光だけがゆっくり脈打つ。(UI 静止画から) — — —
07 執行 4.0 スマホを握った湊が青ざめ、かすれた声でつぶやく「執行って……殺されたってことかよ」 — 湊 —
08 凛の拳 4.0 凛が湊から目をそらし、膝の上で拳を固く握りしめる。 — 凛 (……始まった)
09 × 4.0 湊が暗い壁の、×の付いた2枚の写真を見上げ、それから凛を振り返る「×が付いてる人が……消えるのか?」 — 湊 —
10 次は私 5.0 凛が力なく笑い、湊を見つめて静かに言う「じゃあ次は、私の番だね」 — 凛 —

3. No.01

引き。黒幕からの電話。

カット 尺 画とセリフ 声(画面外) 出演 テロップ
11 着信 3.0 畳の上の湊の黒いスマホが震え、着信の赤い光が部屋の暗がりを照らす。 — — —
12 着信画面 3.0 スマホの着信画面。画面はそのまま、No.01 の上の赤い波形だけがゆっくり脈打つ。(UI 静止画から) — — No.01
13 はじめまして 4.0 湊がおそるおそるスマホを耳に当てる。凛と陽が息をのんで見守る。 No.01「はじめまして、No.09。」 湊・凛・陽 —
14 久しぶり 5.0 スマホを耳に当てたまま、湊の目が大きく見開かれる。 No.01「……いや。久しぶり、と言うべきかな。」 湊 —
15 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — — 次回 第 6 話「議長」

第6話「議長」脚本

第6話「議長」脚本・カット表

縦型 9:16 / 約 60 秒 / 15 カット。香盤表(動画「第6話「議長」」)と同じ中身。

あらすじ

深夜 0 時、永田町を見下ろす書斎。No.01「議長」が初めて姿を見せる。「君は一度、この国を救いかけたんだよ」「ワシントンで何をしたのかも、覚えていないのかね」。議長は凛のことも知っていた——「No.04 の残高は、あといくら残っていたかな」。凛をかばって「会って話そう」と言う湊に、議長は「首相官邸だ。明日の正午、君のために空けておこう」。だが湊は相手の舞台には乗らない。「……ナギ、首相官邸を丸ごと、明日一日貸し切ってくれ」。明細は −8 億。

ショートドラマの型

  • 黒幕の顔見せ: 声だけだった No.01 を、重厚な書斎で初めて見せる
  • 反撃: 相手が「空けておく」と言った場所を、湊が先に丸ごと買う(願いのインフレ: 1 億 → 10 億 → 8 億で官邸)
  • 引き: 明日の正午、首相官邸で対面

1. 議長

黒幕の初登場。永田町を見下ろす暗い書斎と、湊の部屋を電話でつなぐ。議長の側は重厚で静か、湊の側はテレビの青白い光。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
01 永田町 4.0 夜の永田町。ライトアップされた国会議事堂と、その周りの官庁街の明かり。 — — 東京・永田町 深夜 0 時
02 議長 5.0 高層階の暗い書斎。窓の外に国会議事堂の夜景。革張りの椅子に座った白髪の老人・議長が、黒いスマホを耳に当てて穏やかに微笑む「君は一度、この国を救いかけたんだよ」 — 議長 No.01 / 「議長」
03 誰なんだ 4.0 暗い部屋で、スマホを耳に当てた湊が声を震わせる「……何の話だ。あんた、誰なんだ」 — 湊 —
04 ワシントン 5.0 議長がグラスの氷をゆっくり揺らしながら言う「ワシントンで何をしたのかも、覚えていないのかね」 — 議長 —

2. 凛の残高

議長は凛のことも知っている。部屋の空気が凍る。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
05 切って 3.0 凛が湊のスマホに顔を寄せ、小声で鋭く言う「切って。その人の話、聞いちゃだめ」 — 凛 —
06 凛くん 5.0 議長が楽しそうに目を細める「凛くんも元気そうだ。No.04の残高は、あといくら残っていたかな」 — 議長 —
07 青ざめる 3.0 凛の顔から血の気が引き、湊のスマホからゆっくり身を離す。 — 凛 —
08 会おう 4.0 湊が凛をかばうように前に出て、スマホに向かってはっきり言う「……会って話そう。どこに行けばいい」 — 湊 —
09 首相官邸 5.0 議長がゆっくり立ち上がり、窓の外の国会議事堂を見下ろして言う「首相官邸だ。明日の正午、君のために空けておこう」 — 議長 —

3. 貸切

湊の反撃。相手の用意した舞台に乗らず、舞台ごと買う。

カット 尺 画とセリフ ナギ(声) 出演 テロップ
10 通話終了 3.0 湊の手の中の黒いスマホの画面がふっと暗くなる。 — 湊 —
11 総理の家 4.0 陽が眼鏡を押し上げ、半笑いで固まる「官邸って……総理大臣の家じゃん」 — 陽 —
12 貸し切り 5.0 湊がスマホを見つめ、静かに耳に当てて言う「向こうが用意した場所には行かない。……ナギ、首相官邸を丸ごと、明日一日貸し切ってくれ」 — 湊 —
13 承知しました 3.0 スマホを耳に当てた湊の横顔。凛と陽があっけにとられて湊を見る。 承知しました。 湊・凛・陽 —
14 明細 4.0 スマホのご利用明細の画面。画面はそのまま、残高の金色の数字だけがかすかに光る。(UI 静止画から) — — —
15 タイトル 3.0 黒地のタイトル画面。文字はそのまま動かず、金色の光だけがゆっくり差し込む。(UI 静止画から) — — 次回 第 7 話「官邸」

制作メモ(Konte でどう作ったか)

制作メモ — Konte でどう作ったか

デモとして見せるときの「制作過程」の資料。完成映像と一緒に見せて、 「皆さんの現場では、ここをどう処理していますか?」と会話を始めるためのページ。

体制

  • 人 1 人 + AI(Claude)で一晩。 企画・脚本・カット割り・キャスティング・品質チェックまで AI が進め、人は方向性(「東のエデンのような導入」「TikTok 縦型」「一番受ける顔」)だけを出した。
  • 生成はローカル GPU 1 枚(RTX 4070 12GB)。MiniMax H3(480P 生成 → 1080p 拡大)。クラウド費用ゼロ。
  • 生成キューは 1 本(GPU 直列)。夜のあいだ止まらないように、次の話の準備を先回りで積み続けた。

流れ

# 工程 Konte の機能 やったこと
1 企画 資料(Wiki) 企画書・世界観・登場人物・全 30 話の構成を書く
2 脚本 → カット割り 香盤表 1 話 15〜32 カット。映像メモ/セリフ「」/画面内の文字『』/画面外の声/テロップを欄ごとに書き分け
3 キャスティング キャスト 1 役につき顔を 3 案生成 → 観点の違う審査役 4 人(惹き・参照画像としての使いやすさ・役柄・顔のぶれにくさ)が採点して採用
4 ロケハン 背景セット 場所ごとに人のいない引きを 1 本生成し、参照画像にする
5 文字の出る画面 素材 着信画面・明細・タイトルは UI の静止画を先に作り、その 1 枚から動かす
6 撮影 生成キュー 各カットに「顔の参照画像+場所の参照画像」を添えて生成
7 品質チェック — カットごとに審査役が脚本・参照画像と照合 →「撮り直し」判定には反証役 2 人を当て、残ったものだけ撮り直し
8 仕上げ 成果物 各話を 1 本に連結

数字(一晩で作ったもの)

  • 脚本: 全 30 話の構成 + 第 1〜6 話の脚本・カット表(計 111 カット)
  • キャスト 6 人(湊・凛・陽・黒川・議長・ミラー巡査): 主要 5 人は顔を 2〜3 案ずつ生成して審査で採用
  • 背景セット 12 か所(うち 8 か所は参照画像を生成)
  • 第 1 話: 32 カット / 120 秒。1 周目のあと 11 カットを撮り直し(審査で撮り直しと判定され、反証役 2 人が覆せなかったもの)
  • 第 2 話: 17 カット / 約 60 秒。撮り直し 3 カット
  • 1 カットの生成時間: 3 秒のカットで約 3 分、5 秒のカットで約 4.3 分(プロンプト作成・480P 生成・1080p 拡大込み)。参照画像づくりは 1 本約 2 分
  • 撮り直しの中身で多かったもの: 「電話を耳に当てず画面を見る」「決めの芝居(ドアを閉める・平手打ち・腕を引く)が弱い」「UI の静止画から動かすと、途中でスマホ本体や机の実写に化ける」「1 カットだけ衣装が変わる(パーカー → 白シャツ)」。どれも指示を具体化した 1 回の撮り直しで直った

苦労した点と、その場で決めたこと

  • 顔の参照画像に「目が開いていて口を閉じた正面のコマ」が無い 2 秒の正面カットは、途中から口が開いたりまばたきしたりする。審査役も「使えるコマが無い」と割れた。 → 1 秒ずつではなく 1/6 秒刻みで全コマを並べて見ると、最初の 0.3 秒に完璧なコマがあった。そのコマだけを抜いて使う。
  • 動画モデルは数字と文字を崩す 「残高 ¥9,900,000,000」を映像の中に描かせると桁が化ける。 → 着信画面・明細・タイトルは HTML で UI を作って静止画にし、その 1 枚目から動かす。画面はほぼ動かさない指示にする。
  • 「ROOM 09」のような画面内の文字がセリフ扱いされる Konte は「…」をセリフとして口を動かす。→ 画面内の文字は『…』で書く。
  • 顔の審査で「一番受ける顔」と「参照画像として使いやすい顔」が割れる 主人公は惹き・役柄が A、参照画像の使いやすさ・ぶれにくさが C で 2 対 2。→ 上の「最初の 0.3 秒のコマ」で A の弱点が消えたので A。 凛は惹きなら B だったが、前髪のシルエットが主人公とかぶる(兄妹に見える)ので A。
  • キューが 1 本なので、撮り直しが後ろの話に埋もれる → 撮り直しだけキューの先頭へ割り込ませる。
  • 同じ人物・同じ服を全話で保つ 参照画像 1 枚+作品ごとの共通指示(服・小道具・トーン)で固定。見た目の文章はキャストに 1 か所だけ書き、カットの映像メモには書かない(二重に書くと喧嘩する)。

現場に聞きたいこと

  • 1 話あたり、何人で何日かけていますか? どの工程がいちばん重いですか?
  • キャラクターの顔と衣装の固定は、どう担保していますか?
  • 撮り直しの判断は誰が、何を基準にしていますか?
  • 画面内の文字(スマホの画面、テロップ、看板)はどう作っていますか?
  • シリーズを続けるとき、キャストや背景をどう使い回していますか?